LOST MEMORIES 406
「理不尽じゃありません?」
そこまで痛いわけではなかったが、これ見よがしに額をさすって見せる。
なんかなんていう理由で額を弾かれるなんてと英人を睨むけれど、彼はどこ吹く風である。
「もう行くぞ。送る。」
いつもの調子でそんなことを言うものだから、瑛瑠は苦笑して立ち上がる。
「じゃあ、お願いします。」
そう言って英人を見るが、彼の目はこちらを向いていなくて。
瑛瑠の足元に向けられた視線を辿ると、地面には何かが落ちている。
不思議に思って拾い上げたそれは、どこかで見たような、真っ赤な花の付いた針のようなもので――
「それ!」
小さな女の子。艶やかな黒髪が目に飛び込んできた。髪はふたつの小さなおだんごにされていて可愛らしく、一切の曇りのない瞳を持つ彼女は、5歳くらいの紛れもない美少女であった。
ブランコで見かけた子どもはこの子だったのだろう。
「返して!それ、アカネの!」
泣きそうなその声に、ふたりは顔を見合わせた。