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あなたの愛に包まれながら

身体が動かなくなってから、もうどれくらいが経ちましたかねぇ。
私が起き上がらなくなったあの日、ご主人たちはその瞳からたくさんの涙をこぼしながら私を見つめていらっしゃいました。ご主人たちの使う言葉は、私には理解できませんが、きっと、私が消えてしまうと心配されたのでしょうねぇ。私もすぐにでも消えてしまうものだと思っていましたよ。
けれど、ついに、ここまで生きることができました。ご主人と、ご主人のつがい──パートナーと言うのですか?その二人の匂いが混ざり合った、新たな命がこの家にやってくるまで。その子の匂いを感じることができて、ホッとしましたよ。

さて、ご主人。

そろそろ、時間のようです。

あぁ、ご主人、そんなに泣かないでください。涙の匂いは塩辛くていけません。私まで開かないはずの目から雫が溢れそうではないですか。

あぁ、ご主人。
あなたは今、その体温で私を包んでくださっているのですね。
わかりますよ。ご主人のことですから。それに、ご主人が私のことを可愛がってくれる時には、いつもとは違う匂いがするのですよ。今日はもう──今までで一番の、私の拙い言葉では表せないような匂いが、しています。

あぁ、ご主人。私は幸せ者です。
ご主人の優しさに包まれ、ご主人の愛の匂いを感じながら、向こうへ逝くことができるのですから。

あぁ、でも、もし、神様がいるのならば。
あと少し、あと、ほんの少しでいいのです。この幸せな体験を、私の魂に染み渡らせるだけの時間があればいいのです。
あと、ほんの少しだけ。

このままでいてもいいですか?

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Do you want to continue?

いや、うん。
たしかに私にも非はあると思うよ?
君の気持ちに気づいていながら……いや、君の気持ちに期待をしながら、私だって、何もしてこなかったんだから。
それなりに一緒に出かけてさ、機会なんていくらでもあったと思うし、あの時君の手に触れてさえいれば全く違った未来があったと思う。
思うけどさ。

先に想ってくれたのは、どう考えたって君でしょう?

もともと私、君のことなんて眼中になかったんだもん。アウトオブ眼中だったんだもん。
それなのに、君は私に話しかけてくれて、それなりに仲良くなってからも、電話やらお出かけやらしてさ。きっと二人の気持ちが重なったときだってあったと思うんだよ。

……気づいてたんだよ。

うん。確かに、君からの告白を待ってた。待ってしまっている私がいた。
でも、その頃にはとっくのとうに君の気持ちが変わってた。君さ、優しいから気づかなかったじゃん。
いつのまに心変わりしたのよ。

分かるんだよ?

だって、それまで私にむけてくれてた視線があの子のほうに向いてるんだもん。君って好きになり方がワンパターンなんだね。もうちょっと工夫した方がいいよ。

ねぇ、私、今、傷ついちゃってるんだよ?

どうしてくれんのよ。この感じ。
あんたまさか告白してないからセーフとか思ってないよね?
思いっきりアウトだから。バカ。
もう私のMP真っ赤っかだよ?
メンタルポイントが真っ赤っかなんだよ?
ゲームじゃないから特効薬なんてないんだよ?
おまけに私には一途っていう呪いが発動してるんだよ?
ゲームだったら1-1で即死だよ?
ゲームじゃないから生き返れないんだよ?

本当に、君は。

私史上最高の仲間だったよ。

私史上最強の敵だよ。

早くあの子と付き合っちゃってよ。

……じゃないとログアウトもできないじゃん。