夢の狭間で切られたしっぽ 戯れの猫が咥えて駆けてゆく 腐食したマーマレード 網戸ごしの昼下がり 朝顔が咲いていたプランターに 吹きだした種が芽をだした 一瞥した太陽に中指を 飲み干したあくびの予兆 光と影の両生類 今宵は水底 攫われたしっぽに思い馳せ、
帆に命が宿り 水平線は水芭蕉 パレードは誰が為にゆく 駆け寄る少女の為にだろうか 少し伸びた背に戸惑う 水夫の照れ笑いに 死神すら顔を顰めていた
できたての琥珀で眠る蜉蝣 指で掬えば、甘い黄金糖 あした髪を切る予定だから いまのわたしを目に焼きつけてね
電池切れだぜ 六等星 隣の芝が何色でも 光った色があんただぜ 無様もまた美学 当たって砕けた流星が 誰かの夜を照らすことも
ぼくの網膜じゃ既存しない 奇天烈色、さんざめく 埋め立て地の夕凪は 人工的なにおいがした 鏡面を跳ねた鯵が、波紋が 退屈な明日に波を起こす 逃げ水に沈んだ帰路に舟をだせ 金曜日だし、終末だし そのままプランクトンへ還ろうか
雨雲を巻きとったフォークが 山並みに突き立つと 選び損ねた言葉を祀る墓標となるのです ナポリタン色に染まる背景 ラブとライクを往来する小舟は 手を振る君のさざなみに 忽ち、難破舟となるのです
奇しくも あなたのようで 真綿のような 雲がカモメを攫ってゆく 繋げた貝殻は臥せた日々の数 形状記憶の猫背を伝う 飲み比べた苦汁の滴 面影が背伸びする 諦め色の空に浮かぶ 真綿のようで あなたのような 群雲
指切った、指切った それは紙か約束か 滴った、滴った 淡い血液か溜め息か がんばった君には赤いリボンを 解いて手繰りよせたなら ああ 君だった、君だった
帰巣本能狂う空 約束をわすれたツバメは 訳もなく泣いている 誰も救われない物語で ひっそりと迎えるエンドロール ツギハギの怪物は岬へと帰る 何かを待ってる錆びた塔 二つの名前を削った跡
肩をなでる感触の音 解き放った黒い髪で 君の目を奪う 投げ捨てた白いシャツは 汐風に溶けて水色になった 首をすくめて笑う癖 鎖骨の上下が白波のようで 奪われた僕の目は ラムネのくびれで揺れていた