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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その③

「えー……1位ぃ」
全てのレヴェリテルムがゴールし、ヴェロキタスがその順位を発表する。
「“ヴェロキタス”、タイムは2分59秒6。2位ぃ、“ヴェナトー”、タイムは3分1秒0」
「クソぉ……調子は悪くなかったのに……」
ヴェナトーが悔しそうに地団太を踏んだ。
「3位ぃ、“クルスス”、タイムは3分42秒1」
「無理だよ3000mは、僕の“クルスス”はスタミナ微妙なんだから」
「元気出せよクルスス。えー第4位ぃ、“エキドナ”。……タイム、20分フラット」
「鈍足!」
「ねぇこれ『駆け比べ』して良かったやつかなぁ⁉」
ヴェナトーとクルススの言葉に、エキドナは申し訳なさそうに身を縮こまらせる。
「いやぁ……おれの“エキドナ”、皆さんのレヴェリテルムと比べて足は遅くて……精々が早歩きくらいの速度しか……お恥ずかしい限りで」
「別に良いさ。スピード自慢なら有り余ってる。お前の“エキドナ”にも強みはあるんだろ?」
ヴェロキタスの問いかけに、エキドナは顔を上げた。
「はい! “エキドナ”はパワーとタフネスに関しちゃ、そうそう遅れは取りません!」
「へぇ……?」
立ち尽くしている“エキドナ”に、“ヴェロキタス”が突進を仕掛ける。その胴体に頭突きが直撃したものの、“エキドナ”はぴくりとも動かず受け止めた。
「何……だと……!? 10m級のアリエヌスだってひっくり返したことのある“ヴェロキタス”の突進を……!?」
「はい、パワーには自信があるので!」
「自信満々じゃねぇか。あぁ良いよ、お前はうちのパワー担当だ! レヴェリテルムが二足歩行なのも便利だ。地味にうちにいなかった重機役だ!」

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受信2:10ゼタクリック前

レポート1405
995原住生物と再び接触、一体の鹵獲に成功
記憶メモリーからおおよそこの星の戦闘の現状は把握した
私の支配下におく改造を施し都市に帰還させる
解析してみたが面白い仕組みの兵器だ、『思考』を『物質』に変換させるらしい


レポート1406
都市内に潜入成功
どうやら私が995原住生物と思っていたものはただの兵器だったらしい
旧995原住生物の名称を995鉱物兵器に更新
この995は有機生命体のものだった、以後はこちらを995原住生物と呼称する
それにここは一番エネルギー値が高い
もしかしたら『原石』があるかもしれない
調査を進める


レポート1763
調査を開始してから5ゼタクリックが過ぎた
少しまずいことになった、995原住生物による995外生物の掃討作戦によって惑星■■■■■側も本気になったらしい
都市もいつまで持つのか予測してみたがあまり長くはなさそうだ
それに妙な反応が惑星外縁付近にある、それを見ていると魂に刻まれた恐怖が呼び起こされる
嫌な予感がする
危険な賭けだが、戦闘で破壊されるくらいなら無理矢理にでも原石の確保に向かうことにする
5ゼノクリックの内に絞り込んだ候補地は3つ
とにかく時間がない、私も995に降下しようと思う


レポート----
\(*^▽^*)/

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その②

4人がやって来たのは、施設中央に広がる芝敷きのトラックだった。
「あの……何するんです?」
「ん? 決まってんだろ?」
エキドナの問いにヴェロキタスがそう答え、彼のレヴェリテルムを展開した。赤銅色の金属物質で構成された、長い尾と首を有する四足歩行の無翼竜“ヴェロキタス”。他二名も、自分たちのレヴェリテルムを起動した。青みがかった金属物質で構成された無翼ヒポグリフ“クルスス”、白銀の金属物質で構成された狼“ヴェナトー”。3体の金属生命体が立ち並び、エキドナを興味深げに眺めている。
「……レヴェリテルムお披露目会?」
「まぁ似たようなもんだ。お前のレヴェリテルムも出せよ」
ヴェロキタスの言葉に、エキドナもレヴェリテルムを起動した。黒鉄色の金属物質で構成された、背丈およそ1.8mのコミカルな着ぐるみ風の、二足歩行のハリモグラ、“エキドナ”。その短い両足が力強く芝を踏みしめる。
「すげぇ! デカい!」
「二足歩行だー」
「腕ふっと」
3人が口々に感想を述べる。
「よっしゃ、取り敢えず全員、自分のレヴェリテルムに乗れ」
3人は素早くレヴェリテルムの背中に飛び乗ったが、エキドナだけは状況についていけない。
「え……何を?」
「あー? 決まってんだろー? 『駆け比べ』だよ。今回の距離はどうする?」
「1400!」
「3000で良いじゃん」
「お前ら自分の得意を言うんじゃねえ。エキドナ、お前のレヴェリテルムの得意はどの辺りだ? そこで勝負してやるよ」
「おいこらヴェロキタス、自分のレヴェリテルムが全距離対応だからってズルいぞ」
3人の言い合いを聞きながら、エキドナは思案の末に口を開いた。
「多分……スタミナは、それなりに……ある、かと……?」
「よっしゃ3000だ並べー」
3人はレヴェリテルムを操り、スタートラインに着いた。エキドナも少し考え、“エキドナ”の力強い両腕に自らを抱え上げさせ、他3体に並んだ。
「よっしゃ。それじゃあ用意……スタート!」
ヴェロキタスの合図で、4体のレヴェリテルムが一斉に走り出した。

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ソウルオブストーン

それからはさっきまでが嘘みたいにサクサク進めた。
というより、道自体が変わっていってるような?
進み続けるとかなり大きな部屋に出た、上空には光の塊が浮かんでいて各所にエネルギーを流しているようだった。
「すっげぇ…」
「これは…魂か?」
「魂?ソロウの種族は見えるのか?」
「君たちの言語の魂とは少し違うかな。アヴァスのコアとおおよそ同じだ………そういうことか」
「ど、どうしたんだ?」
「この原石を初めて見た時からこれが何なのかずっと考えていた、それが今ようやくわかった。これはつまり■■■■■の魂だ」
どうりで、構造式に見覚えのあるわけだ
ようやく思い出した
こうなると、アヴァスは■■■■■の子孫ということになるのだろうか
「このデカイヤツの魂がレヴァリアイトだって…!?」
「■■■■■は自分の魂を取り戻すためにアリエヌスを惑星に放っていた、だが中々手元に戻らないために待ちかねて■■■■■自ら出てきた…それがあの総攻撃の真相か」
「待ってくれよ、じゃなんで俺たちの星にレヴィアイトがあったんだ?」
「■■■■■は星喰いだ、当然サイズも惑星並みだ。だから元々この惑星の資源としてアリエヌスたちが使っていたのだろう。だがあの宇宙船…アリエヌス達が何をする気だったのかは知らないが、それがノアの惑星に落ちて利用を始めた…といったところだと思う」
なんとも。■■■■■含めてハタ迷惑な種族だと思う
「ならば私のやるべきことは一つ…■■■■■を倒したのは私の先祖達だ、そのケリをつける。ノア、悪いがこの原石はもらってもいいかな?」
「ど…どうする気だ…?」
「私の魂と原石を同時に■■■■■の魂にぶつける、これで恐らくヤツは数千年は動けなくなる」
「ソロウはそれで大丈夫なんか?」
「いや、私は無理だろう。だが、やらねば」
そうして私は手に持っていた原石を胸の魂の中に押し込む、凄まじいエネルギーが循環しているのを感じる
「ノア、君に会えてよかった」
私が手をかざすとノアは空間の歪みとともにどこかに飛ばされた
「私にだって、できるはずだ」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その①

パッセリフォルムズ南部に広がる、一周約2000mの広大な芝敷きのトラックと付随建造物。
現在は“ランギヌイ”の専用軍事施設として利用されている大型施設の一室を、1人の少年が訪れようとしていた。
入口まで立ち止まり、一度大きく深呼吸をしてから、決意してドアノブを握った。
「失礼します! 本日より“ランギヌイ”に配属になりました……」
勢い良く扉を開いた彼を出迎えたのは、火薬の破裂音と飛来する紙テープ。要約すると、『クラッカーの炸裂』だった。
「……?」
「あれ、喜んでねぇや」
「やっぱり無言クラッカーは駄目だったよ。ようこそーくらい言わなきゃ」
「普通目の前に火薬炸裂したらビビるってー」
呆然とする少年を前に、クラッカーを持った3人は口々に言い合う。
「……まぁ細かいことは置いといて。ようこそ“ランギヌイ”へ!」
リーダーらしき少年が口を開いた。
「俺はここでアタマ張ってる“ヴェロキタス”のストゥルティオ・カメルス。長いし『ヴェロキタス』で良いぜ」
「僕は“クルスス”のドロマイウス・ノヴァエホランディアエ。『クルスス』で良いよー」
「こっちは“ヴェナトー”のジオコクシクス・カリフォルニアヌス。『ヴェナトー』って呼んでくれぃ」
口々に自己紹介する3人に、少年は頭を下げた。
「あ、どうも。おれはストリゴップス・ハブロプティルスです。……皆さんのその通称っぽいそれは?」
ハブロプティルスの問いに、3人は同時に答えた。
「「「レヴェリテルムの名前」」」
「あっはい……おれのレヴェリテルムは、“エキドナ”です」
「じゃ、お前は今日から『エキドナ』な」
ヴェロキタスが答えた。
「それじゃあエキドナ、早速行くぞ」
ヴェロキタス達3人は、ハブロプティルス――エキドナを連れ、部屋を出た。

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腹の中

目が覚めると私はスクラップの山の中にいた
ヤツの腹の中だろうか、あの巨大なヤツの
まぁ思念体である■■■■■の胃袋というのは意味がわからないが、この際考えないことにする
ここからどうしたものか…
「ギャー、よるなー!くるなー!」
遠くでそんな声が聞こえる、声からして恐らくノアだろう
私は起き上がってその方向に駆けていくとコードのようなものに絡まったノアがいた
「…どうしたらそうなるんだ?」
「こっちが聞きてぇよ、抜けようとすると絡まるんだコレ」
ノアを持ち上げてコードを払う、よく見るとコードはノアの胸付近に集中して絡まっていた。
…まさか、ノアの剥き出しのコアのエネルギーを狙っていたのか?
「ありがとうソロウ」
「早いところ抜けてしまおう、ここはアヴァスと相性が悪いみたいだ」
「そだな」
二人は奥に向かって歩き始めた。


そのまま数時間は彷徨ったであろう、一向にたどり着かないどころか現在地がどこかもわからない始末だった。
あの巨体に飲み込まれたのだから広いとは予想していたが…
「つ…つっかれたぁ…エネルギーが足りなくなりそうだ」
私も少し疲れた、休むとしようか
「うむ、そうしよう…私もギアが軋み始めてきた。そうだ、ここで原石を使えないだろうか」
「使うって?」
「少し切り出して我々のエネルギーにするんだ、そうすれば回復も早くなると思う」
そうして私は原石を取り出した
「うん?なんか、片面だけ光強くなってねぇか?」
「そうだろうか?」
スキャンしてみると確かに、発光が少し大きくなっていた
「ちょっと回してみてくれねぇか?…うん、ここだけ方向が変わらないならそっちが出口とか?…まぁ、今来た道指してるけどこれ」
まぁありえる線ではある
現状、手がかりもないので原石に従うことにした
数分休んで光に従って二人は再び進みだした。

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PLANET

「あれだ、見つけたぞ」
原生林を抜け、渓谷を超えた先の洞窟に二人はいた。
「や…やっとついた…すごい道を通るなソロウ…」
「回り道をすると3日はかかるところだったので直線距離を突っ切ったんだが…やはり少し無理があったか」
「お気に…なさらず…」
「そうか?」
そうして私は腕をブラスターに変形させ、洞窟の壁に向けてエネルギー弾を発射して一つの鉱脈を露出させた。
「E2Cdo…不純なやつだからどれだけ抽出されるか微妙だが、これで動きはするだろう」
「すっげぇ…」
「よし、早いところ戻ろう」
鉱石をたらふく抱えて洞窟を後に二人は元来た道を引き返していく。
「わわっ、なんだこりゃ地震?」
「…いや、スキャンしてみたがプレートは動いてないぞ?一体何が…」
渓谷に差し掛かった辺りで何回も立て続けに地震が起こり、進むどころではなくなってしまった。
「とりあえず、地震が収まるまでここにいよう」
「賛成だ…」
『見つけたぞ■■■■■■■■!』
上空からそんな声が聞こえて振り返ると数万はあろうかという果てしないほど巨大な人型の何かがそこにいた。
「な…なんだ…!?」
『お前を破壊する!』
「ん?あれ、コイツの体のアレ…アリエヌスじゃねぇか?アリエヌスの塊…?」
「なんだと?まさか…!?」
人型から拳がこちら目掛けて振り下ろされ、辺りの地形ごとすべてが押しつぶされた。
「あ…あぶねぇ…」
「助かったよ、ノア」
拳が上がり、その隙間からノアの張ったバリアの中の二人が出てきた。
『ほう?だがこれはどうかな』
今度は凄まじい強風が吹き荒れ、二人はなすすべなく人型の中に吸い込まれた。

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『見つけたぞ、■■■■■■■■…貴様らは滅ぼす全てだ』


乾いた風と共に荒野に一つの声が響く。
「第3防衛ラインを突破された!残すは最終のここだけです!」
「くっ…生存者は」
「ダメです、反応なしです」
そうなるとここにいるカテルヴァが3つ、アヴァス15人だけが首都を守る最後の砦ということになる。
「ついに我々も覚悟を決める時が来たということか…」
遠くに目をやると巨大な砂塵が見える、数はおそらく数千…いや数十万。
なるほど、この数では他の所も抑えられないわけだ。
「今日までお前たちと一緒に居れて私は幸せだった、だがそれを今日で終わらせたくない。カテルヴァ全員で生きて帰るぞ絶対に」
「隊長…!いや今は連合隊長の方がいいすかね?」
「締まらんなぁ、好きに呼べよ」
ちょっとした笑いと一緒にみんなが一丸となって覚悟を決めたその時、隣のカテルヴァの一人が走ってきた。
「報告!アリエヌス、進路反転!」
「なんだと…!?どこに向かったというのだ」
「それが、なぜか一箇所に集まってるみたいで…」
「一箇所に?ポイントは?」
連中にそんな生態あったか?
「それなんですが…封鎖エリアみたいで」
「なんだと?」
封鎖エリア…確か何か大きな事故があって人が住めなくなって、それをアヴァスに調査させたところ行方不明になったから封鎖されたエリアだったか?
「一体…何が起こっているんだ?。まぁいい、奴らがまた反転してきた時を考えてここを固めるぞ!全員配置につけ!」
「おうよ!」
カテルヴァがそれぞれ街周囲に散開し、静寂が訪れた。