こくりと琥珀色の液体を流し込み 「お」「め」「で」「と」「う」 虚空に散らばった文字がゆらゆらと ことりとグラスを置いて あぁ...大人になったな、なんて 去年と同じ言葉をなぞる ひとりふたりさんにんよにん たいせつな人たちの顔が 流れていくのを眺めながら 静かに夜が深けてゆく
君が寂しいと言ってくれることすら 嬉しいが込み上げてきて 夢と現実の垣根を超えて 笑っている君の目の前に居れることが 何よりもしあわせな時間で 距離が遠くなるなんて 私と君を阻む理由にすらなれやしないんだよ
世界に手を伸ばして、空を切り切り傷ばかりに惑い惑いつ 世界にそっぽ向いて、過去は褪せ色のない今に怯え怯えつ 世界に飲み込まれて、ちっぽけな歯車みたいに回り回りつ 世界の正規に染まり染まって 並普通の部品だと諦め諦めつ それでもどこかで夢を見ている 誰も私を知らず、私も世界を知らない それが世界の全てであった頃を 明日の憂いを知らなかった頃を
知らないものほど知った口を聞く
か くけこ ま むめも ぎぐげご あ うえお にぬねの あ うえお さし せそ あ うえお や ゆ あい えお ば ぶべぼ
大学にある、新しい図書館 一人でぐるぐる探検したら きらきら綺麗な星の辞典 手にとって パラパラめくって よし、この子にするぞ 部屋に戻ってお茶を飲みながら ほっと一息 本をめくる まぶしくて 綺麗で 繊細な 美しい星達が 夜間旅行へ連れていく シリウス ベガ アルタイル 今だけは現実を忘れて 星の世界を旅行しよう
血が出て 鉄臭い 絆創膏は? 君に電話しよう なんでもいいから話そう 僕たちがロボットになる前に接続しよう 血が止まるまで ヒマなんだ 君に電話しよう てきとうなこと話そう 僕たちがロボットになる時に 僕たちが鉄になる前に
ねえ、 僕、ちゃんと君が好きだよ 大事な妹だもの ねえ 僕、ちゃんと君が大事だよ 素敵な友だもの 君が朗らかに笑う顔 あの時から何も変わらない 眩しい笑顔を その瞳を どうかまた僕に照らしておくれ ねえ 僕、ちゃんと君を思ってる 君がこんなにも、 こんなにも いとおしくてたまらないから
4月に入って以来 かつての仲間がバラバラに それぞれのスタートを切っていく 前には誰かいて後ろにも誰かいる だから人の波に呑まれながらもどこか安心してる でも暦はお構い無しに正確な時を告げる 4月最初の月曜日 自分を取り囲む世界が一斉にスタートを切る ここでの初めの1歩は差が残酷に露にされる そこでは前と後ろに雲泥の差が生まれる だから他人の波に呑まれながらどこか焦りを感じる
昨夜の雨は別れを嘆く私の気持ちが流した涙のようだった。 そんな雨に打たれて桜はその花から花弁を散らす 花弁は元の花から散って初めて別の花の花弁と出会うことができる。風に乗り、雨水に流され、気まぐれに任せてどこまででも行ける。 そんな旅の先に待つのは育ちも境遇も違う新たな出会いと“一人前”という肩書き ここからは私一人でやっていかなくちゃ、そう覚悟を持って今日もひとひらの花弁が散っていく