あまりものテディ
幼いころ抱きしめて寝ていたテディベア
テディベアだからテディなんて安易な名前をつけて遊んでいたあれは確か引っ越すときに捨ててしまった。
誰からも愛されるテディベアが
いま思うととても羨ましく思える。
誰からも笑顔を向けられ
誰からも抱きしめてもらえる。
そんなテディベアに僕はなりたかった。
時にストレスの捌け口として向けられるちからにも負けぬ丈夫さ。
抱きしめたときのやわらかさ。
寄り添われているという安心感を与える存在。
涙を流すことなど1度もない強さ。
透き通った瞳。
そのなかの1つとして持つことができなかった出来損ないの僕。
売れ残ったあまりもののテディベア。
そんな僕を抱きしめてくれるのは誰?