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笑わない世界、笑えない世界 No.2

私は空を見上げた。雲のすきまから見える太陽は美しい。少し向こうに天使のはしごが見える。いいな。私もああいう風に照らされてみたいな。
「クルミ!早く来なさい!」
母だ。
「何でしょうか」
「何でしょうか、じゃないでしょう!早くこれを片付けなさい」
「はい」
机に置いていた食器を台所へ運ぶ。カチャンカチャンという音を立てて流し台に置いて行った。
「できました」
「よろしい。勉強をしなさい」
「はい、分かりました」
私は2階にある自分の部屋へ行くため階段を駆け上った。
机に教科書やワークを出して早速取り掛かった。来週テストだからこのワークを終わらさなければならない。
「クルミ!こっち来て!」
また母の声がした。私は急いで階段を降りて母のもとへ行く。
「今日はやっぱり勉強しなくてもいい」
「えっ、でも。来週…」
「黙りなさい!今日はいいと言っているの」
「は、はい。分かりました。片付けてきます」
再び私は階段を上って部屋のドアを開けた。出していた物を棚や引き出しに片付けた。
「これ、観よ」
「え?あ、はい」
降りてきて言われた。今日の母はどうしたものか。変に優しい。
言われて観たテレビ番組は、相変わらずつまらないものだった。
バラエティー番組なのに、ニュース番組を観るかのように黙りこくってジッとしていた。

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第8回

三分後
落ち着いた・・・私としたことが。
でもこいつ、ヤッバイ。
一口をフォークの先っぽ位に切って食べてんよ。だから遅っっっっそい。
「氷結」
いや凍らせて非常食にしようとすんなし!?
すぐに私が溶かして口に押し込む。
「モガモガ・・・ゴクンッ。な、何をするんで・・す・・・か・・・」
私のハンパない圧力で黙らせる。テヘッ。
さて食事も終えたし観光でもしよっかなあ~。
青い海、沢山の木、倒れてる人、そして綺麗な空。
ん?倒れてる、人?やばい・・・これはやばいぞ・・・
私のめんどくさいレーダーがガンガン反応してる・・・
面倒くさい事にならないよう、そーっとスルー・・・
「どうしました?大丈夫ですか?」
ガッデム!!私のお人好しが勝手に!!
それじゃスルーできないじゃんか・・・
「あ・・・あなた方は?た、助けて下さい・・・み、水が・・・
無くなってしまって・・・ゴホッゴホッ」
「ウォーター」
「ガボッ!!ガボガブ!ブエッファー!!りょ、量が多すぎ・・・」
「あ?問題でも?」
「い、いえ。えーっと私はマユカ。こんな事言っても信じらんないかもだけど、
私、転生者なんです・・・」
「!?」
「てんせー?」
「マジか!?」
「はい。」
「(声を小さくして)実はわたしもだ・・・」


続く

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笑わない世界、笑えない世界 No.1

ここは笑わない世界…いや、笑えない世界です。
まずはこの世界のご説明をいたしします。少し長くなるかもしれません。少々お付き合いください。
その前に、自己紹介をしておきましょうか。
ワタクシは渡辺と申します。28歳です。趣味はギターを弾くことですかね。
まぁ、ワタクシのことは置いといて。
早速説明に入ります。

先ほども言いましたがここは、笑えない世界です。笑うのが禁止の世界です。
それは昔、ある王がいました。
その王は、少し短気な人でした。
ある日、王が間違いをしたんです。それはすごく簡単なものだったのに、大きな間違い、失敗をしてしまったものですから、噂はすぐに行き渡りました。
そして、王はこの世界の笑い者になりました。
それに怒った王は近くの者を殺してしまいました。
そして言いました。
「これ以上俺のことを笑うとこんな風になるぞ」
と。
それから人々は、笑えなくなりました。
王のことで笑っていなくても、「王のことを笑っていた」と言う悪者がいるんです。それもあって、何でも笑えなくなりました。
王が亡くなった後も、「笑わない」という文化は受け継がれていきました。そして、その頃のことを誰も知らなくなって「歴史」になった今でもそれは受け継がれています。

お付き合いいただきありがとうございました。ざっと説明しましたが分かりましたかね?また、何か分からないことがありましたらご連絡ください。
では、ワタクシはこの辺で。

次回からはクルミという14歳の少女の話が始まります。
時々ワタクシが出てくるかもしれません。その時は…。
では、またいつか。