「私、何を成せたんだろうか」 彼女と私の声が一致した。吐く息と言葉の共鳴が劇場の中に生まれた。彼女は生きた。彼女は生きていたのだ。 私が虚無になればなるほど、彼女は涙を流した。 私の人生は虚無だった。 同じように、彼女の人生も虚無だった。 その果てしない一致が、どうしようもなく、演技にはできなかった。演劇の中で演技が剥がれ落ちた時、なぜかそれは美しくなったのだ。 夢中だった。 高校生の私が、最後の演劇に挑んでやっと、芝居の何かを得たのだった。
私の苦しみばかり続く。 それは 地平線より長く 寿命より短く 駆け足を始めた痛みが、そのまま、鎖骨から心までを一気に貫く。 この痛みを誰かに叫ぶこと それはきっと誰かを苦しめるでしょう 秘密の共有は苦しみの楔 私はそう知っている だからこの不遜で最低な痛みを 私だけが感じることに意味がある 苦しみを私の中に幽閉する 私は世界のヒーローなのだから。
君とすれ違った気がするんだ。 裾と裾がすれて、 道を違えただけの話さ。 君と出会った気がするんだ。 架空で架空じゃない校舎の隅で。 はじめの会話を忘れた私は、愚か者だろうか。 いつも背中合わせで いつも電波の向こうで いつもなんとなくの距離で いつも「さよなら」ばかりで どうして私たちは近づけやしないのだろう。 それでもわたしたちは 多分どこかで 繋がっている。
私はいつだって待つ側で たくさんの人が「またね」と去っていった そして、君もまた私に手を振る 時は流れ人は変わり 君のことなんにも知らないけど それでも私は変わらず君の前にいるから それでも私は君に1番に「おかえり」って言うから さよならなんかじゃない 「いってらっしゃい」