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第三回ショートポエム選手権授賞式閉会のことば(前編)

総応募作品数39。想定を大幅に上回る参加数に私は歓喜してございます。
こんばんは皆さん、memento moriです。
3年前に私がほんの思いつきで始めたこのショートポエム選手権(もうそんな前なんだね……)、再び開催することが出来たことを本当に嬉しく思っています。

さてさて、前置きもそこそこに、今回のテーマについてお話していきたいと思います。
今回は『夢』をテーマとさせて頂きました。皆さんが描く多種多様な『夢』のかたち、シンプルなものから複雑に意味が織り込まれたものまでたくさんありました。それを観ているだけでもとても楽しませていただきました。
そして恒例、裏テーマ、というものを今回も設定しておりました。それは、
『日常』
です。
眠っている間の夢というのは、起きている間に蓄積された記憶を整理している最中の処理によって引き起こされるものだそうです。夢、と聞くと、どこか非現実的な、空想のようなものを思い浮かべてしまいます。「夢物語」という言葉があるほどですね。ですが、夢というものはむしろ私たちの現実によってできているものです。現実そのもの、とさえ言えるかもしれません。
将来への希望を 夢 と呼ぶのは、それが決して絵空事というのではなく、現実、日常の延長線にこそ存在するものなのだからかもしれません。
こんなような思考実験から、『夢』と『日常』を乖離することなく、同一の直線上に見ている作品を少し期待していたのですが、その意図をくみ取ってくれたのか知らずか、なかなかどうしてそういう作品もチラホラと見受けられました。私の賞にも一つ上げさせていただきましたしね。裏テーマには賞は設けませんでしたが、「しめしめ」なんて思ってくれたら幸いです。(笑)

後編へ続く

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ショートポエム選手権授賞式〜*紫乃*〜

『ショートポエム賞』
「獏」 Tohofantasy
>>>この作品ははたった15文字にも関わらず確実に「詩」で考えれば考えるほど広がっていき、ショートポエムというコンセプトからしても素晴らしい作品だと思い選ばせて頂きました。勿論単純に字数が少ないということではなく、15文字の中に情操を生み出す技量がすごいと思います。
獏が食べてくれたのは睡眠時に見た夢なのか、それは悪夢なのか、いや悪夢とは限らない、或いはもっと違った意味の夢だったのか、それはどんな夢だったのか?深読みなのですが作品には「ぼく」以外出てこないのに「ぼく」以外の人物の存在さえ考えてしまいました。そして「食べてくれたんだね」という表現には優しさ、哀愁、安堵、色々な筆舌しがたい感情が感じられます。

『立体詩賞』
「無意識下の心象風景」何かが崩壊している者
>>>文字の集合に過ぎないのにタイトル通り立体の「無意識下の心象風景」に入り込んで深層を揺蕩っているような感覚がします。自分の精神は自分で理解しているような気がしてでももっと奥深くの精神世界は底が知れず自分でも分からない、そしてそこは無闇に掘り返すべきではない領域だったと掘り返した後で知る絶望。
平面の記号の集合に過ぎないのに人を引きずり込むような立体感に惹かれました。空白の使い方や改行の仕方が違えばまた違う心象風景が作り出せたのかと思うととても面白いと思います。恐らくこれはパソコンで書かれたのかと思いますがスマホ版で見ても良かったです。

受賞者の皆様おめでとうございます。