ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 11.ゴブリン ①
この街に、夏がやって来た。
学生服は夏服へと切り替わり、商店街の定食屋には”冷やし中華始めました”の張り紙が見られるようになった。
駅の自販機でアイスを買う人も増えたような気がする。
…もうすっかり夏である。
わたしはどうかと言うと、相も変わらずだった。
学校では1人、退屈な時間を過ごすことが多いままだ。
時々数少ない友達と連んだりはするけど、なんだかんだ1人でいる事の方が多い。
でも、それで良かった。
最近は週末に”彼ら”と会う事が楽しみとなっていた。
わたしの知らない世界を生きる”彼ら”と他愛のない時間を過ごす。
それがわたしの数少ない楽しみとなっていた。
…もちろん、毎週のように”彼ら”と会っている訳ではない。
今日のように、会わない日もあるものだ。
今日のわたしは、ショッピングモールではなくいつもの駄菓子屋に向かっていた。