回復魔法のご利用は適切に!_13
「へっ」
間抜けな声をあげたエリザベスを抱え直し、シオンは伸びたつる植物をちぎって美術室の窓を蹴破って侵入した。
「強引すぎませんこと!?」
「だって時間ないでしょ!あ、リサちゃんは危ないから窓のそばにいてね」
「え、ええ…」
美術室の机や椅子が2つの扉の前に積まれている。不審者が来たときのバリケードの要領だ。教卓には学校の清掃員が耳から血を流して座り込んでいた。シオンは眉を寄せて清掃員に詰め寄る。
「…リサちゃんの足すっごく痛そうだったんですからね。反省してもらいます」
シオンは驚いて声も出ない清掃員をつる植物でギッチリと縛りだした。
「し、シオンさん!そんなに締めたら健康上問題がありますわ!そこまでしなくても私がいつでも魔法を撃てるようにしておけば大丈夫ですわ」
「…うーん…そっかぁ…」
清掃員の口につる植物を噛ませ、シオンはスマホを取り出す。
「通報でいいよね?」
「ええ、手早く通報してしまいましょう。恐らくまだ通報はされていないかと思いますわ」