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プロ野球物語〜広島カープ編〜①

舞台は戦後間もない年の広島県内某所。
職業野球,のちにプロ野球と呼ばれる野球リーグの選手団の試合を観るためにこの街の運動場に多くの観客がやって来た。

つい数年前まで行われていた戦争により投下された爆弾で家も勤務先も,そして人によっては家族まで失った広島の人々を元気付けてきたものは、戦争が激化するまでの間この地にあった多くの会社の工場や学校で学んだり働いたりする男性を中心に娯楽として浸透し、県内から多くの名選手や強豪校を輩出するまで発展した球技,野球。
しかし,戦前からそんな野球を職業とする選手が集まるリーグが日本にはあったけれど、肝心の広島にそのリーグに所属する球団がない関係で野球王国,広島県出身の名選手の多くが地元の広島を去り遠く離れた関西や関東でプレーするという悲しい現実があった。
それゆえ,多くの広島の住民が満員の観客に形を変えて地元で行われた野球の試合に訪れたのだ。

その試合から2年と経たないうちに広島の人々を元気付ける平和の象徴として、野球チームを新たに結成すると言う朗報が広島を駆け巡る。

新球団の名前には2つの候補があった。
ひとつは、戦争という名の暗雲から平和になって晴れた空に輝く虹のようになって欲しいという意味から付けられたレインボーズ。
そしてもう一つは,地元・広島を流れる川がコイの名産地であることや広島城の別名が鯉城であることにちなんで魚のコイという意味を持つカープス。
話し合いの末にカープスという名前に決まったが、現地の学生から英単語の文法上の誤りを指摘されて球団名はカープに改められた。

これはそんな広島のカープというチームが地元の人から愛されて支えられていくつもの困難を乗り越えて成長するまでを描いた物語。

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魔法少女学園都市レピドプテラ:天蟲の弔い合戦 その⑱

ササキアは朦朧とする意識の中、ロノミアを睨みつけていた。霞む視界の中、ロノミアは斬馬刀を振り上げ、次の攻撃に入ろうとしている。しかし、衝撃が彼女の体内を大きく損傷させており、ササキアは既に回避も防御もできない状態にあった。
「さーぁコイツで締めといこうか。せっかくだから、『全部乗せ』だ」
ロノミアもまた、“破城”を握る両手や踏みしめた膝は小刻みに震えており、体力の限界も近い。
「私の懸けた魂の分、全部、ぜーんぶ、ブチ壊し抜け!」
“破城”が振り下ろされる。ロノミアの魔力の全てを乗せた一撃は、一閃の軌道上に深く破壊の痕跡を残し、ササキア達の背後、校舎そのものを両断し、刀身自体も反動によって粉砕した。
「……ヤマ子ぉ」
振り下ろした姿勢のまま動かないロノミアが呼びかける。
「……くぁちゃん?」
「もう、結界消して良いぞ」
「うん」
アンテレアが結界を解除すると同時に、ロノミアの手の中にあった“破城”の残骸も消滅した。
「『時間切れ』だ。……うん、悔いは無い。最後にたっぷり暴れられた」
言いながら、ロノミアはその場に尻餅をついた。
「くぁちゃん?」
ボンビクスが、不安げな表情でロノミアに近付く。
「何だよその顔? 私の魔法はもうおしまい。それだけさ。まぁ……これから総務局にたっぷり怒られることにはなるだろうけど」
軽い口調で言うロノミアに、双子は変身を解いて抱き着いた。
「何だよいきなり」
「……くぁちゃん、もう私たちの師匠やってくれないの?」
「くぁちゃん、捕まっちゃう?」
「変な心配する奴らだなぁ……私に教えられることは全部教えたし、そもそも悪いことしたんだから捕まるのは前提だ。……あぁ、モリ子、ヤマ子」
双子が顔を上げ、ロノミアを見つめる。
「お前らは、何も心配しなくて良い。お前らの処遇については、私に考えがあるから。お前らの師匠からの、最後の贈り物だ。有難く受け取れよ?」