幼さを受け止めきれないから、僕は君が鼻をかむ理由も、はにかむ気持ちだって、察してやることにした。
ねえ、恋をしたことはあるかい。誰かの死を見つめたことはあるかい。何もない空を、一人で飛んでいったこと、夢に出てきそうな夜。
世界の全てを知っているさ。知らないことと知っていることの境目だって、くっきり。
幼さを受け止めきれないから、僕は世界が僕の目の前にあると信じた。
愛があることだって、未来の行く末だって、そうすれば信じることが出来そうで、ひとりごちた。
ねえ、ぜんぶ知ってたいね。そうすれば、怖くないから。目を開けたままでいれるから。
今じゃない。
いつか遠い未来に、あれでよかったんだ。そう思える生き方をする。
よる、ことばを探して
眠れなくなったのは
あったかい布団のなか。
仕方がないから枕許の電灯を焚いた。
人とは決定的に違う部分が誰しもある。
けれど、それは悪いことだとは思わない。
人と違うからこそ、自分は成長できるところがある。
雨傘の優しい音をあの少年に
晴れた日の眩しい感覚を彼女に
透明で誰にも内緒の想いを君に
漣の夜風の中の十日余りの月を僕に
傾いた街を 下手に矯正した神様は
主人公とヒロインに 詩的な美しさを
僕に暗がりとのにらめっこを
くれたんだって。
今晩の自転車の夜風は、冷たかった。
好きってなんだろう
どんな風になると好きなのかな
ドキドキしたら?
目で追ってしまったら?
ずっと触れていたいと思ったら?
でも今もずっと君を想ってる
これって恋かな
そうだ、恋だ
彼からもらったのど飴、ギターを弾いてぼろぼろになったピック、くしゃくしゃになったレシート、湿ったハンケチーフ、それから家の鍵。
コンビニからの帰り道、つめこんだポッケから何かを落としてしまっても
しようがないことでしょう。どれも大事だけれど悲しいけれど、責めはしないで。
この部屋が寒いのは、きっと、このほしの半分が闇に覆われているからで
あなたがやさしいのは、きっと、今までつらかったからだ。
そして僕があたたかい気持ちでいられるのはここにあなたがいるからだ。
霞むホームに
こすも を見つけて
寒風あたる背中は
1時35分みたいな傾き
また今日も、
来てくれたことへの
かってな嬉しさに
先日助けたバッタが
恩返しに来ないかな、
なんて思う
伸ばした私の足、つま先で
向かい合わせ 君がふいに遊ぶ
目が合ったかすらわからず、なんとなく笑った
「あなたがいないといきていけない」
誰が言ったのか誰が歌ったのか、そんなわけないのにそんなこと言うのね
潜り込んで息をとめた、浴槽、ガラスの中
宇宙船から落っこちる夢を見た
重力もないのにずんと落ちていった
見ているようで見ていない君の目ん玉を、ときどき覗く
気づいてるようで気づいてない君のさまを知りながら、見ていた
いつか恋でもすればいいのにね
きんぎょが金魚鉢の中ゆらゆら揺れているのを眺めているような気持ち
まつ毛が濡れていないかを気にして、目をそむけた