自分が幸せかどうか人と比べてばかりいる。
幸せな人を見て自分が不幸だと感じたり、不幸な人を見て自分が幸せだと感じたり。 本当に嬉しいことに出会って幸せな人も、死にたいくらい悲しいことに出会って不幸な人も、わたしの幸せには関係ないのに。 いつも、そう。
絶対的な尺がないから、他の人に結果を委ねている。 何と比べるでもなく、ただ1人で幸せだと確信できるような、そんなあなたであってほしい、なんて。
君に届けたいこの想い。
でも、
どうやっても届かなくて。
君は、鈍感だから。
この想いに気づいてくれない。
前に、言ってたよね?
「彼女欲しい」って。
だったら、、、
僕が彼女じゃ、ダメ?
生きてるからには力一杯笑っていこう枯れるまで泣いて生きていこう
我慢なんてするやつは阿呆だ馬鹿だ
それが誰のためになるなんのためになる
生きてるからには力一杯笑っていこう枯れるまで泣いて生きていこう
みんな笑ってない中自分だけ笑うと可笑しい?
みんな泣いてない中自分だけ泣くと可笑しい?
そんなの気にするのは阿呆だ馬鹿だ
生きてるからにはありのままの自分で生きていこう
一番可愛いのは誰でも自分なんだ
自分を好きなだけ愛して可愛がって他人なんて気にしないで生きていけばいい
幾多の星が飛び散る時
海が全てを満たす時
魂は真実を知る
己が何者かを知る
「どうしたの?」
「…薊だけは心配…。だから、俺もついていきます。
紗那のこと、よろしくお願いします。」
一礼して蒼も走る。
「あ、蒼君!?」
蒼は、このとき妹と離れたことを、後に後悔する。
「行っちゃったわ…。
しっかりしたお兄ちゃんね。」
「うん!さな、お兄ちゃん大好き!」
他愛もない会話をしながら、紗那を送り届ける。
薺は朔を背にかえると、布団はしかれ、水と手ぬぐいまで用意されている。十分だ。
「二人とも、ありがとう。」
朔を寝かせると、薺もほっとした様子で。
「蒼君、本当にありがとう。わざわざ一緒にやってくれて…ごめんね。」
蒼は首を振った。
「いえ…こちらこそ、ごめんなさい。勝手な行動して…。」
「いいえ、とっても有り難かったわ。ありがとう。
妹ちゃんが待っているわ、行ってあげて。」
「蒼兄、ありがと。」
珍しい薊のお礼にくすぐったくなる。
「いや…、朔に付いててやれよ?」
「うん!」
微笑んで、蒼は鬼柳家を後にした。
事件は、この夜のことだった。
ドンドンという音に目が開いた。扉付近には既に薺が寄っている。重く眠たい眼をこすって朔が起き上がろうとすると、母は「朔はここにいなさい。」と、静かに、それでも強くいい放った。
不自然なことに、扉から漏れる緋がある。よこにいる薊が熟睡していることから、もう夜中のはずなのに、外が明るい。
「おい!いるんだろう!?出てこい!!」
この家に向けられている。そんなことくらい、小さな朔でもわかった。思わず薊を起こす。起こさなければ、そう思った。
「薊!起きて、薊!」
「兄…様?」
薺は扉を開けた。と同時に、声にならない悲鳴をあげたのを、朔は見ていた。
「母さん!」
「来ないで!!」
「来いよ。」
外にいる誰かが、薺を力ずくて引っ張り出した。
「母様!?」
起きたばかりの薊は、何が起こっているのか、さっぱりわからなかった。それは、朔も同様であるが。
「お前だろう!?俺達の子供を殺したのは!
紗那を殺したのは!!」
死ぬほど寂しかったよ なんて
泣き笑う貴方は嘘吐きね
私がいなかったからといって
貴方の世界が灰色になるでなし
私がいなかったからといって
貴方の笑顔がくすんでしまうこともなし
それなりに賑やかで
それなりに楽しい日常生活を
案外 満喫していたくせに
目の眩むような甘い言葉も
情熱的に音を立てるキスも
息が詰まるほどのハグも
それなりに本音だけれど
心からのと言ったら真っ赤な嘘だわ
分かるのよ だって
私も すっかり おんなじだから
そういえば…
そろそろ半年になるな。
伊藤君が転校してきてから。
半年の出来事を簡単に言うと、
ずーっとそのままだった。
優里香と木村君は仲良く続いているようだ。
あかりは木村君の親友の山口君と付き合い始めた。
私は、何も変わっていない。
伊藤君には何も言えないままだ。
そんな時、バス停でまた、伊藤君にばったり会った。
「相葉さん!」
「何?」
「西田そうたの最新の小説読んだ??」
「あぁ…まだなんだよね。」
こんな話になるなら買っておけばよかった。読んでおけばよかった。そうしたら、会話が盛り上がったのに。
「そうだと思ったー!あはは」
「なんかごめんね…」
「なんであやまるの?これあげる!」
そう言って伊藤君が差し出したのは。
「『君への物語』?」
「その小説!相葉さんにあげようと思ってさ!」
「えええ!!…ごめん!ありがとう!!」
「謝らないでよ、あはは」
そう言って伊藤君は少し目をそらした。
なぜか、それからはあまり話さず、バスに乗って、帰った。
どうしたんだろう、なんかおかしいな。
「蒼、ありがとう。」
「お兄ちゃんかっこいい!よかったね、朔っくん‼」
紗那にかっこいいと言われ、上機嫌の蒼。
しかし、案の定、家につく頃には朔は震えていた。風邪の手前といったところか。
「母様!」
薊が駆けた。
帰りの遅い子供達が心配で見に来たのだ。
「朔!」
いつの間にか肩を貸していた蒼は、少々安堵の表情を浮かべた。
「蒼君、ありがとうね。紗那ちゃんも。」
薺は驚くも、微笑んで二人にお礼を言う。そして、薊に向いた。
「薊、先帰ってお布団敷いておいてくれるかしら?」
「うんっ!」
真剣な表情だ。そして家へと走る。
「二人のことは私が送っていくわ。」
朔をおぶった薺が言う。
ありがとうと言った紗那に対して蒼の反応が悪い。
きっと誰もが溺れる間際を彷徨って、切れかけたカラダを何度も縫って、今日も戦っている。それが目に見えるものなのか、はたまた見えないものなのか。
回りすぎて正面がわからなくなるときもある。正解を間違いと言われ、正義を偽善と笑われる、そんなこともあるかもしれない。
それでもここは、それぞれの色が輝き、それぞれの言葉がメロディをつけ、ポロンポロンと飛び立つ。
ただここにいる。それだけでいい、それ以外何もいらない。ここには、今日も言葉が踊ってる。