水素と酸素をだきしめて
きたいはいつかかなうといいね
まじわった瞳のさき、見えているものがおなじなのか
向こう側に手を伸ばしたい
不自然なかたちをえらべば
きみも首をかしげるでしょう
これはアスコルビン酸なんだよと言えば
じゃあこれはパントテン酸だときみはひとつ手にとった
うまらないパズルみたいだ
水素と酸素をこぼしながら
きたいはいつかとまるといいね
おじさんは微笑む。
「答えは今出さなくてもいいんだぞ。」
そう言って、ぐしゃっと頭を撫でた。
「おじさんもなぁ…人間は許せない。だから、薊のことは止めんよ。
だがな、人間にもいいやつはいるんだ。」
朔を見て微笑む。
そうなのだ。だから、朔は目的を聞かれて答えられなかった。人間を殺したいとは思わなかったから。
薊はそっぽを向いた。絶対に赦さないんだから、そう呟いて。
おじさんは苦笑した顔を薊に向けた。
「もう10年は待てよ?お子さまもいいとこだからな。」
頬を膨らませた薊は、初めて打ち解けた顔をした。
そっか。今お仕事帰りかな。
なんて、
言ってる場合じゃない!
もうなんでこんな時に...
泣いてる姿なんて見せられないよ。
あと少しだもん。
きっとバレない。
大丈夫。
...大丈夫。
のはずだったのに。
私の向かいに腰を下ろす男の人
思わずいつものように目を合わせてしまった
ぱっと目が合えば
男の人が驚いた顔でこちらを見ていた。
恥ずかしい...。
最悪。
...
夜も遅く人も少ない帰り。
電車の中。
瞳から溢れる涙を抑える事も出来なくて。
下を向いて自分の降りる駅を待つ。
あと3駅
といったところで新たな乗客。
慌てて涙を手の甲で拭えば泣いてるのが
バレないように結んでいた髪の毛を下ろした。
入ってきたのは3人の男の子達。
「まじかよ。www」
「へー、お前がなぁ。笑」
と話をしながら
長身のお兄さんと
金髪のこちらもまた長身のお兄さんが
笑いながら斜め向かいに座る。
それに続いて一番後ろから...
あの男の人...
...
ブーッブーッ
《新着メッセージがあります。》
なんだろう。
開いてみると、
相手は彼氏だった。
《今日の夜会えないかな?》
最近話なんてほとんどしてなかったのに
いきなり連絡がくるなんて...。
...悪い予感がした。
胸がぎゅっと苦しくなった。
...
当たって欲しくないときに限って
悪い予感は当たってしまう。
その日の夜。
呼び出されて話を聞けば
案の定別れ話で。
...今までずっと。
浮気されてたんだ、私。
...
僕らの終わりを見に行こう。
最期の細胞が息絶えるまで 最高だねって言えるような。
夢も希望も未来も全部 汚れた靴で踏みしめてやる。
僕らはいつだって 史上初の僕らなんだ。
何一つ有り触れてなどいないんだ。
さあ 今から はじめようぜ。
僕ら、僕らをはじめようぜ。
いつもと同じ朝
いつもと同じ電車に乗る
いつものようにあの男の人の向かいに座る
何をやっている人かは分からないけど
男の人とは思えないほど綺麗でオシャレ。
話したことはない。
目が合うと会釈するぐらい。
今日もほらね。
少し顔を上げれば目があった
ぺこっと会釈すれば
男の人は会釈し
すぐに手元のスマホに目線を落とす。
私はこの一連の流れが好き。
話したことは1度もないのに。
何でだろう。
安心する。
ぼーっとしながらそんなことを考えると、
自分のスマホが震えた。
...
画伯の寝癖
スケッチブックのくるくるの向こう
後頭部にまくらをのっけたまま
まだまだ言いたいことばかり隠してる
イズモは禍々しくも神々しい『何か』と進行を始めた
それは、少し時を遡る...
「イズモ様、連れてまえりました...」
「うむ、ではお前...」
「なんでございましょう...イズモ大神官様...」
「うむ、そこに立っているだけでよい...ロマノフ!」
「はっ!」
ロマノフは杖を構えた、杖から怪しい光が漏れ、信者に触れた
信者の悲鳴が木霊する...
そして信者は、闇のエネルギーを発し、一対の角を持つ、人形の戦士となった
「ふむ...」
「イズモ様...」
ロマノフは不安気だった
「中々良いではないか...」
イズモはカードを1枚取り出し、戦士に投げつけた
戦士はカードに封印された
「ははは...次だ!」
誕生するものは毎回違う、例えば竜だったものもいるし、異形の怪物だったこともあった、その度にイズモはカードに封印していった...
こんなことを繰り返し、ついにイズモ本人が戦場に出ていった...
リュウセイはさっきの出来事を思い返していた
「(プリン様...生きておられたのですね...私は...もう...それだけで胸が一杯です...)」
そしてレイナと交わした約束...この異変が終った後、再びレイナに使える...
リュウセイは天を仰ぎ、月夜を切り裂くような咆哮をした...
レイナは帰り際、あの瞬間を思い出していた
「(リュウセイ...貴方ってば、何にも変わってないわ...温もりが...あの時のなんだから...)」
レイナもまた、あの約束が叶うのを楽しみにしていた...