二年前より少し伸びた髪と短くしたスカートで最後の春が始まりました。次に春が来るときは私はどこで桜を見上げているのか。分からない。分からないことが嬉しい。続く毎日、眠る教室、放課後が笑う。タイムリミットがあるからこそすごく愛しく思えるんだ。
切り替えってムズいね。うん。たいへんだ。
わたしには切り替えってムズいね。うん。
たいへんだ。わたしにはだめだ。
うーむ。どうしたらいいんだろう。むむむ。
明日は、早起きしよう。
腹筋して、体暖めて、学校行ってクラス替え見よう。
そして、君にクラス聞いて、離れたねー!って笑う。
でも、それは妄想で、
君はもう私には話しかけてくれないだろうから、
色んなルートを使って君のクラスを聞こうかな。
私の情報網舐めんなよ。
どうせ、私とは一緒にならないだろうから、
聞いても、?って思われるだけだもんね。
本当にいきなり話してくれなくなったよね。
あの子と付き合うようになったからかな。
名前も呼んでくれなくなったし。
これでも、私は淋しいっていう感情ぐらい
もちあわせてるんだよ。
こんなこと、君にはゼッタイ伝わんないんだろうな。
なんてったって話しか
けてくれないから。私から話せるワケないでしょうが。もやもやしたまま始業式はいやだから、
いっそのこと笑いかけてやろうか。
って考えてたら、切り替えできないかなぁ。
さめた心にひをつけて
あかりであかるく照らしましょ
ひかりに疲れてしまったのなら
ひかげにはいって休みましょ
君がつらいなら
いえばいい
思う存分
気の済むまで
清々しいほど
君らしい言葉で
いえばいい、...
いえばいい。
ゆったりと動く時間。
少女はこれまでで一番ゆったりとした時を感じていた。
蒼蛍が時々顔に留まったりしたが、少女はそれを全く気にせず蓮の花を眺めていた。
「蓮の花は胎盤のカタチをしています。
即ちこの花はこの世に生まれ出る事を示しているのです。」
少女は聞きなれない声に振り返った。
「おっと失礼しました。
私の名前は松室祝、此処の番人です。」
「そんなの聞いていないわ、邪魔しないで。」
少女は咄嗟にそう言った。
その言葉は少女にとっては考えられない程乱暴な言葉使いだったが、少女はきっとそれ程蓮を見ていたかったのだろう。
松室祝と名乗ったモノはそれに言い返す事は無く、そこにただ立っていた。
少女はまた、目の前に倒れ込んだ。
春になれよ、私
水玉模様におぼれて
背伸びをして
花に手を伸ばせ
涙の沼に落ちたら
沈んでしまう
救いあげるの、私が
私を強くして
春の夜は、いつも
心もとない私しかいない
あなたはどうして優しいの。そんなにがんばって見返りを求めてないとは思えない。いや、思いたくない。その理由の無い優しさを他の誰でもないわたしにだけくれない?
「いつ気がついた。」
朔は立ち止まる。遠目に見えるのは、訝しげに朔を見ていた方の岡っ引きだ。
朔はため息をつく。
「だいたい、自分の身に危険が及ぶであろうことは予測していました。貴方にあのような眼で見られてからずっと。
―僕達に罪を被せて解決ですか。」
相手がゆっくりと近付いてくる。
「いや…それだけではぬるい。お前たちは一応、人間としての体だ。人間を犯人に仕立てあげ、此の手で裁いてやるのさ。他の奴等も同罪としてな。」
丁寧に弓を構える。此の距離ではずす事はまずないだろう。――相手が朔でなければ。
視えた三秒後の世界に、朔に矢が刺さる未来はない。
射たのを見るなり体制を低くし、素早くもう一度射た矢を空中で翻りかわす。再び向けられたものは矛によって進むことを阻まれる。
片膝を立て、矛を相手の顎下に突き付けた朔。
その岡っ引きは、ただただ動揺する。
「ぬ、主は何者だ!?」
朔は目をそらさずに、細く伝える。
「僕は、ただの旅人だ。」
あなたの大好きにはきっと優先順位が
あって、それはいくら私なんかが頑張っても、
生まれたときから、または、
私が生まれる三年前から決まっていたとわかってる。
しかもそれは、1位の人がどんなにダ
メダメでも一生変わらない、
変えられない順位なんでしょう。
わかってるけど、わかってるから!
悪あがきぐらいさせてくれ。
山間に沈む夕陽が綺麗だったから
眩しさも忘れ、目を奪われてしまった
閉じた瞼の裏に結ばれるのは
君の残像
ドラマみたいに雨が綺麗にふってきて
私の足元を濡らします
もし、ほんとにドラマなら
君と、私と、2人で描いた未来で笑えたはずですよね
あなたがいなくなった街に、
もう2度とこんなに綺麗な雨はふらないでしょう
あなたがいなくなった街に、
もう2度とあんなに綺麗な虹はかからないでしょう
すべてを受け入れなくてもいい、
1ミリでも、受け入れられたら楽なんでしょう