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空仰ぎ。

太陽が
月に
負けたら

夜が来た

太陽が
月に
勝ったら

朝が来た

太陽と
月の
静かな戦い

美しい戦い

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-季節 Ⅴ-

「何かあったんですか?...ここで」
唐突に聞いてみた。
「えっ?!...いや別に....その.......えっと...」
完全に焦っている。絶対何かあったんだ。

フッと、彼が笑った。その顔には、気のせいかもしれないけど''切なさ''があった。

「鋭いね、白帆さん」
苦笑いする桜尾さん。やっぱり、何かあったんだ。
「まだ君のことあまり知らないし、君も僕のことあまり知らないだろう?また、そのうち話すよ」
さりげなく拒絶された。
聞いてはいけないことだったのか。
「わかりました。そうですね」

彼は安心したように笑い、奥へ入っていった。

改めて店内を見渡してみる。
骨董 というよりは 雑貨 という感じのものがたくさん置いてある。

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机の片付けをしていたら……

人の心とはもろいもの。
「心の裏側には
情熱を失ったあとの
傷あとが隠されている」
って書いた紙を見つけた。

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無題

「先輩、魅力ってなんですかね〜」

「そうだなぁ、ほかのやつはどうか知らんけど、
俺にとっての魅力ってのはたぶんお前の全部、
かな。」

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無題

君の微笑みは何時だって
噎せ返る程の偽りに満ちて
だけど そんなこと構いやしなかった
昨日の夜
真っ白いネオンに曝されるまで

昨日の夜
飽きるほど繰り返した待ち合わせの
慣習通り君が遅刻する1時間の間に
僕の目は醒めてしまった

解れた夢の中
最後の角から駆け出す君の荒い呼気
その態とらしさに急に嫌気が差してしまって
発作的に薬指の枷を投げ捨てた

側溝に落ちていったシルバーを
驚いたふりで目で追って
それから たっぷりの間の後
くしゃりと歪んだ君の顔は
息を呑むほど素晴らしかったけれど
やっぱり それは本物には程遠かった

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-季節 Ⅳ-

「いらっしゃい.....あれ?」
入った瞬間店員から声がかかった。
「白帆さんですよね?!」
あれぇ???
この声、この顔...
「桜尾です。朝会った」
やっ...やっぱり...。
何で桜尾さんが??
もしかしてここ....
「ここ、僕の店なんです。開店したのは昨日なんですけど、白帆さんがお客さん第1号です」
「え...本当ですか?」
「はい。この店開くためにこっちに越してきたんです」
店を開くため?こんな人気のない田舎に??
普通、こんなところに店開くだろうか...。
「昔から骨董品が好きでさ、色々買ってたんだ。家にためてたんだけどかなりの量になっちゃって、兄弟が迷惑がってさ。それでどうせ売るなら自分で店開こうかなって」
いきなり馴れ馴れしく喋りかけてきた...。
「あっ、ごめんね。いきなり馴れ馴れしくしちゃって。嫌だよね」
この人、エスパーか?
「いえ、大丈夫です。ところでどうしてこんな田舎にお店を?もっと都会にすればよかったのに」
彼は少し考えこむような顔をした後、
「特に理由はないよ?ただ何となくここが好きだから」
「へぇ。そうなんですか」
「じゃ、ゆっくりしていってね」

''ただ何となくここが好きだから''

そういう彼はどこか遠くを見据えていた。

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勇者

「君は勇者さ。」
神様は言った。
僕は剣の代わりにペンを持って、
問題用紙へ飛び込んでいく。

火を吐く古典に、呪文を唱える化学式。
僕は剣一本で戦う。

すべての問題を解き終えた後
チャイムが鳴った。

僕の机には大量のよだれと真っ白な問題用紙だけが、
置いてあった・・・。

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-季節 Ⅲ-

(つまらない...)
今年、大学に入学した。
高校とは違って好きなことが
好きなように勉強できると思って
楽しみにしていた。
でも...
私には「好きなこと」がなかった。
今まで、ただ何となく
やらなくてはならなかったから
勉強していた。
何となくで今まで過ごしてきた。
それに今更気づいた。

もう何も考えず、とぼとぼと
家路を辿っていた。

あと一つ交差点をまがれば家、というところまできた。
何やらやけに目立つ
一軒家が目に入った。

『骨董屋』

思わず吹き出してしまった。
何の捻りもない、単純な店名だ。

私は引き寄せられるようにその店に入っていった。

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忘れたくない

いつも何故か、私を見てくれない

いつも何故か、私にだけ冷たい

いつも何故か、私に見て見ぬ振りをする

そんな君が、何故か好き
諦めた恋なのに、忘れられない、
忘れたくない

今私がいるこの場所と
今君がいるその場所は
同じ空の下で繋がってるんだよね

そう思ったら、また頑張れる

忘れたくない、一生の片思い