表示件数
0

×烏の微笑み×

「おかえり。洋汰」

玄関の戸を開けたとたんに父に言われた。

「…ただいま……」

(……ん?なんで父さんがいるんだ?)

「父さん……仕事は…?」

そう聞くと父はこう答えた。

「あぁ、休んだよ」

「……?!…なんで?!」

真面目な父がなんの理由も無しに会社を休むはずがない。

「……お前のためだ。ちゃんと昨日の続き、説明しないとな」

「……」

(……もういいよ!)

仕事を休んでまでしなくていいのに。

「じゃあ、話の続きといこうか」

もう、いいのに……。

父は高位の吸血鬼一家に生まれた。
本当なら同じ吸血鬼と結婚するはずだったのだが、運命的にある人間の女性に出会ってしまい家を抜け出しその女性と結ばれたという。

「彼女との間に生まれた子供がお前だ」

子供が生まれ幸せの絶頂だった父と母。
そんな二人にある災難が襲いかかる。

To be continued……

0

日暮れ時。

あぁ もう一日が終わるのか
そしてまた 新しい日が訪れるのか

満員電車の中 
ただ スマホを見つめる人
ただ 黙々と本のページをめくる人

友達と 恋人と 上司と 
楽しそうに 嬉しそうに 話す人
いつも同じ 何も変わらない 普通の

車窓から入る 黄昏の光に
一日の終わりを感じる
そして来る明日への 希望を感じる

そんな力が 彼にはあるのだ

1

イノチ

また明日って簡単に言うけど
明日生きてる保証はない
だから生きてることに感謝して
精いっぱい生きようと思う

もちろん楽しい事ばかりじゃない死にたい時だってある
だけどボクは死なない
生きたくても死んでしまう人が
沢山いるから・・・・・・死ねない


ボクは死ぬのが恐いから
死にたくない
でもボクはいつ死ぬか分からない
だから・・・・・・だから・・・
今のうちに言っておきたい

ありがとう そして さようなら

0

君はあたしを好きだと言ったのに

待っててって言ったのに

あの子のもとに行ってしまいました

あの温もりをもう一度
あたしのものにしたかった。

0

キスするときの君の顔も
声も顔つきも変わるのも
君の匂いも
離れてくれない
あの時で止まったままなのに
君はもう日常に戻っていくの

0

れもんぱん

積接着剤なしでつむ、積み木
数ミリのズレが気になって

ピカピカ自転車、雨ざらしだと
さびついちゃうよ

こむしが口に飛び込むぜ
それでも買いにいくんだろ
レモンパン

0

×烏の微笑み×

今日から高校生。
嬉しいはずの入学式。
でも僕、枝斎 洋汰は浮かない顔だ。
昨日父に言われた言葉が頭から離れなかったから。

「わ……あの人、ピアスしてる」

「入学早々、校則違反かよ」

そんな悪口も一切耳に入らないぐらいに呆然としていた。

_____「……どういうことだよ…普通の人間じゃないって?」

昨日の父との会話だ。
このピアスについて父に思いきって聞いてみた。
そうしたら予想もしていなかった言葉が返ってきた。

“お前は普通の人間じゃないんだ”

「お前だけじゃない。俺もだ」

父は落ち着いて話し出した。

「俺は…俺は吸血鬼なんだ。だからお前は吸血鬼の血が入ってる。母さんは人間だから、お前は混血なんだよ」

“吸血鬼”?
“混血”…?

「そのピアスはお前の中に眠ってる吸血鬼の本能を抑えるためのものだ。だから決して外すなと言ったんだ」____________

(吸血鬼ってなんなんだよ。そんなの空想の中の生き物だと思ってたのに……)

訳がわからない。
なんだよ、吸血鬼と人間の混血って。

「ああぁ…もう!」

つい、声に出して叫んでしまった。
周りの人が恐がっているような顔をした。
あぁ、入学早々恐がられちゃったよ…。

(父さんのせいだ!)

「はぁ……」

大きなため息を一つ。

(しょうがない。また一人で三年過ごすか…)

そう思っている僕を睨んでる奴がいることはあえて気付かないふりをしよう……

0

×烏の微笑み×

小さい頃からよくいじめられていた。
僕が耳にピアスをしているから。
チャラ男チャラ男!と罵ってくる。
別にチャラい訳ではない。
物心ついたときからこのピアスをつけていた。
自分の意思ではなく勝手につけられた。
そして、決して外すなと言われた。
父に。

「なぁ、父さん。このピアスなんなの?」

夕御飯のとき、思いきって父に聞いてみた。
明日から僕は高校生だ。
せっかくの高校でまたいじめられないように、理由をしっかりと知りたい。
父の顔をじっと見つめて待っていると、父はため息をついてからこう言った。

「洋汰、そんなこと知ってどうする?知ったって何の得もないぞ?」

「知りたいんだ!知らなきゃまたいじめられるんだよ!!」

そう言うと父は目を見開いて驚いた。
あっ、いじめられてるって言ってないんだった。
うちは父子家庭だ。
だからか、父はすごく僕に対して甘い。
いじめられてるなんて知ったら学校に乗り込んでくるだろうと思ったから言わなかった。

「ほう。いじめられてたのか…そうか。だったら言うしかないか……」

父が悩んでいる。
これは至って珍しいことだ。
うちの父、枝斎 朱治郎は非常に頭が切れる。
だから、悩むなんて一切ない。
何事もズバッと言う。
そこがたまに傷だが。

「実はな…お前は普通の人間じゃないんだ」

「……えっ……?」

“普通の人間じゃない”………?!

To be continued……

0

登場人物。-烏の微笑み-

荒岳 横也(あらたけ よこや) 男
波瑠 雄夛(はる ゆうた) 男
緡川 薫(さしかわ かおる) 男
木成 隼(きなり はや) 女
保志 蓮(ほし れん) 女
夜須 國榛(やす くにはる) 男
先生 大倉 淕(おおくら りく) 男
ユクリア 男
ナナユリ 女
サルーナ 女
枝斎 朱治郎(えさい しゅうじろう)
枝斎 洋汰(えさい ようた) 男