ざんざん ざあざあ
雨粒、きゃらり
こんなに素敵な金曜日には
制服なんて着ていたくなくって
被害者ぶった仮面は放り投げて
傘は凍えてる捨て猫に
自由を迎えに行こうよ!
ずっと先まで続いてるような灰色
雨のにおいの空気を吸いこんで
虹の予感にこころが揺れて
みずたまりでタップダンスとか
どこか遠くで空を見上げるきみに
はじめまして の、笑顔を
ワイシャツの一番上のボタン、
取れかかっているのが気になりました。
私しか気付いてないのかな?
私しか気付いてなければいいな
誰か教えてあげて私じゃ声にならないから
あーあ 他の女子が教えちゃった
私が伝えられていたらあの娘みたいに
「ありがとう」って笑顔を見せて貰えたのかな
それから何日かして彼は髪を少し短くした
今度は誰も気付いてない
彼も誰かに言わなさそう
私と彼と二人の秘密。
冴えた銀糸に晒されて
凍える貴女の まあるい ほっぺた
僕が温めてあげたいと思うのは
いけないことかしら
褪せた箱庭に へたり込み
翳る貴女の まあるい ほっぺた
僕が照らしてあげたいと思うのは
いけないことかしら
今だけは その首輪を外して
僕へ身を委ねて
みんな みんな 悪いのは僕
だから被害者の お面の下で
どうぞ安寧を貪って
僕の腕の中では 薔薇色であってほしい
柔らかな貴女の まあるい ほっぺた
風を切ったあの時
夏の夜空を見たあの時
綺麗な星を見たあの時
白い息が出たあの時
雪の降りそうな寒さのあの時
君は自転車で駆け抜けていた
ただ、追いかけていた
大切な人のことを
伝えることを伝えずに
後悔したあの日の事を
忘れない君の心は
自転車のペダルに精一杯の力を乗せた
あの人に届きますように
泣き叫んで駆け抜けたあの日
君の思いは
静寂へ吸い込まれた
H28.9.30 23:22
真っ白なそらが呼んでいた
天気予報は見ないままで
湿気てきた冷たい風をただ吸っていた
雨、降れよ
って
そっと呟いたら
瞬いた瞼にひとつ
落ちて、
枯らした花瓶は机に置いたんだ
いつものディナーはなしにしようか
ボウルには ただ 夢
相手の気持ちになって考えて考えて
相手の言って欲しい言葉を発する
それを繰り返して
言葉は重みを増してくる
その言葉を受け取ったほうは
大切に大切に懐に入れて
大事にしなきゃいけないんだ
それが通すべき義理だと思うんだ
言わなきゃ伝わらないだろ?って、誰かが言っていた。
その横で、言わないで伝わったときは感動だよねって君は言った。
伝わったときは、ラッキーだなって。
例えばさ、君が素敵だ。とかね。直接言うより、僕の言葉が誰かに伝わって、君のもとに届いたらなって。そのあと君は恥ずかしそうに頬を染めた。
素直じゃない、その愛のある言葉に私はときめきました。
きみの小さな身体を抱きしめたとき
背中には確かに翼が生えていて
ぼくはその肩甲骨のあたりをまさぐって
まだ幼い鳥の羽根を剝いだ
何度水に落っこちても
何度でも飛ぼうとするから
ぼくはまたきみを腕に閉じ込めた
夢なんか見るなよって目を瞑らせた
星を映し込んだ水面に潜って
きみは夜空を泳ぐようになった
遠く羽ばたいていこうとするきみと
海のような瞳に溺れてしまったぼく
束縛のためだけにあった両手
きみの自由など許せる筈ないでしょう
さよならカノープス、大好きなきみ
もう二度と瞬かなくても構わない