中途半端に開けたファスナーの間から見える
あの娘との想い出
「今日は寒いから」と
上までしっかり閉めさせた
貴方はニッコリ笑って
「ありがとう」なんていうけれど
私はただ遠回しに「私だけ見て」と
いっているだけなの
「言葉」という武器によって
いつの間にか誰かの血が流れている
いつの間にか誰かの血を流している
いつの間にか自分の血が流れている
「感じない」
それはそう だって目に見えないから
「だからいいじゃん」
そうかな だってSOSはそこらじゅうに転がってる
目を凝らせ 闇の中に落とした大切なものを見つけるみたいに
耳をすませ 多くの雑音の中から聞きたい音を見つけるみたいに
「気付き」という名のSOSを発見せよ
相手のSOSを救う事は相手の為だけじゃない
自分の為にもなるんだ
救われたきゃ救え
この戦争の勝ちは愚かさしか産まない
この手を離したらきっと貴女とは二度と会えないのだろう。
貴女がくれたこの感情を教えてあげることは出来なくなるのだろう。
離したくない。離れたくない。
僕は貴女と共に。
僕の話を聞く君は
何時だって笑顔で
僕にはそれがとても嬉しくて
ついつい長話をしてしまう
それでも君が笑顔だから
僕は安心して話す事が出来る
君の眼が光を写す事はないけれど
それでも君はまるで見えているみたいに
僕の話を聞いてくれる
そんな君が
今日はどうしてか泣いている
瞳に泪をいっぱいためて
「どうしたの」
聞いても聞いても
君は口を固く閉ざして開こうとしない
哀しくなって
イライラして
行き場のない感情を
何処にやればいいのかさえもわかんない
やっと口を開いた君は
「…ごめんね…。これだけは、キミに話せない」
苦しそうにそれだけ言うと
君は部屋から出ていった
どうして、、、
どうして、話してくれないんだろう
君に隠し事してる僕が言えたことじゃないけど
秘密を作られると
哀しくて
辛い、、、
おめでとう 誕生日
ありがとう 出会ってくれて
君の笑った顔
リスみたいに膨らむほっぺ
気遣い屋な性格
変な所で出てくるこだわり
君に何回助けてもらったか分からない
小さな頃から何だかんだで一緒だね
お互い素直に言葉を発したことはないけど
言いたい事はお互い分かってる
君がいたからあの時の1年は乗り越えられた
ありがとう
言っても言っても切りがないからこの辺で
「これからもよろしく」
君に世界を教えたくて
真っ新なキャンパスに筆を走らせる
一つ一つ彩を重ねるごとに
想いを込めてゆく
外に出れない君のため
僕がただ一つ得意とする事で
君に世界を見せてあげる
「ほら見て、外はこんなに綺麗なんだよ」
絵を持って君の元を訪ねる
どうしてだろう
君の表情は晴れない
ただ哀しげに眼を伏せるだけ
「ごめんね…。私、眼が見えないの」
震える君の声
「そんなっ…嘘だ。だって君は…」
だって君は普通に歩ける
今だって、普通に眼を開けて
僕の眼を見て話してる
「普通だって言いたいんでしょ。歩けるし、眼を合わせて話せるから。…でも、これは眼で見て判断してるんじゃないの。声で、音で判断してるの」
神様は意地悪だ
どうして彼女に光を与えなかったのだろう
何も言わない僕に君は
「ごめんなさい、言わなくて。怖かったの。君に嫌われるんじゃないかって…」
「嫌いになんてならないよ。僕は君を嫌いになったりしない」
「じゃあ…これからも此処に来てくれる?」
君はまだ不安そうで
組み合わせた手は彩を失くして白い
「もちろん。次来る時は面白い話を持ってくるよ」
君は嬉しそうに微笑んだ
その笑顔に僕の心はチクリと痛んだ
僕は彼女に隠している事がある
僕は普通の人と違う
眼の色だったり、髪の毛の色だったり
肌の色だったり…
僕がこんな姿だと知っても
君は変わらない笑顔を
僕に向けてくれるのだろうか…
君に拒絶されるのが恐ろしくて
僕は君にこの事を伝えられずにいる
狡い僕を許してほしい
鏡の向こうの表情が、
果たして本当に自分のものなのかどうか
僕はまるで得心がいかずにいた。
才能がある、という夢を見る。
運動ができて、勉強もできて、友達が多くて、彼氏もいる。
わたしはなんでも持っていて、欲しいものなんてない。
僻む声さえもない。
すべて自分の思い通り。
満たされている。
目が醒める。
醒めたら、夢は、消えた。
そして、わたしは空っぽの現実と向かい合うために、ブラウスの袖に手を通して、制服のスカートをはいて、髪を結び、ローファーを履く。
さあ、なにもない現実と、今日も戦おう。
やかんを片手で持てるくらいには、大人になった
お弁当を自分で作れるくらいには、大人になった
ウソを吐いているの人が見分けられるくらいには、大人になった
だけど。
ウソが下手な子供
まだ信じてる子供
諦めきれない、子供。
それでも、
泣きわめけないくらいには大人。
久々に顔を見た
あの子は青い瞳をもうしていなくて
青ざめた顔をした老人は
まわりまわって母の手を引いておもちゃ屋へ
あーもう変わっちゃったんだなって
変わらないカレンダーだけをみて
笑うのです