青い春の半透明が目に焼きついて
どうしようもなくひとりになりたくなる
重なり続ける過去に魔法を
喉をやく炭酸水が時間を止めた
埃をかぶったピアノと共鳴している
本棚の背表紙の群れを穿つ声
凍えた心臓もあいしてあげるから
そばにいて、ときみは泣いた
月にウサギって居るんだよ。本当さ。
嘘だと思うなら連れてってあげるさ。
来週の日曜でいいかい?
月面歩行なんて誰もが憧れるデートだろ?
こっちから見る月はすごく綺麗だけどさ
あっちから見る地球はもっと綺麗なはずさ。
放射冷却に照らされる
舞台のうえのぼくらの熱
汗すら凍る沈黙のなかを
そっと そっと歩いてゆく
銃の反動がひどくリアルで
思わずぼくは心臓をまさぐった
脈拍をいろどる無数のアドリブ
にじむ輪郭 したたる涙
ぼろぼろになった脚本を閉じて
きみは笑顔でぼくにナイフをむけた
緞帳の裂け目からこぼれる台詞
それはきっと 現をも超える
背負うものは重たくないよ
それはいつだってあたたかい
産声さえも或いは芸なら
さよならピカロ、来世で遭おう
離すもんか、と握った人は忘れたけれど
繋いだ手は驚くほど鮮やかだ
明日の天気はわからないけれど
誰かさんは言っていた、「さようなら」と。
これで終わりなのだとしたらやり残しはいくつだろう
「またいつか」は大嘘だと僕らはずっと信じてた
まさか、本当に「いつか」があるなんて!
離すもんか、と掴んだ腕はこんなにも、こんなにも頼りなかったなんて
誰に言っても信じてもらえないだろう
「またいつか」が叶ったね、と君は笑っていた
悲しさ 哀しさ 愛しさ
愛という文字にカナしさがあるのは
愛という物にはある種の苦味があって
愛する存在に時折涙を流さずにはいられないからではないだろうか
アイするが故にカナシくもありイトしくもある
朝焼けの喉に麦酒を流し込んで
ぬくい眠りに浸かろう
ジェンキンス暫しは目を瞑って
起きたなら、また陽射しは眩しいから
だから、それまで、どうか安心していて
中身がない箱にリボンの付け方だけこだわって
宛名の無い 内容すら御座なりにして
切手の角度を気にした葉書
そんなんだから