美月視点
昔のことを思い出しながら、ゆっくりと、遠回りをして私達の部署の部屋へ行った。そして扉を開けると結月姉がギター弾いていた、それと歌っていた。私が泣いていた時、私が好きな[Alexandros]先生の Adventure を弾いてくれた。そして結月姉が今弾いているのもAdventure だ。そして、私が部屋にいることに気付いて
「元気なさそうだったけど大丈夫?」
と聞いてくれた。「大丈夫ですよ」と言うと、なら良くないな、と結月姉は言う。どうしてですか?と聞くと、結月姉はこう言った。
「美月が大丈夫って言う時は、大丈夫じゃないから」と言った。そして私は、「よくわかってますね、私の事を。」と言った。そのあとに、結月姉はこう言った。「いつだって僕と時雨ちゃんが、いや、いつだって僕たちは君を連れてくから!」
その言葉を聞いてハッとした。
「それ、Adventure の歌詞ですよね?」そう聞いたら、大正解!と言って笑顔を見せてくれた。
私はこの人の笑顔が大好きらしい。
#1Adventure 終わり
#2大人は信じてくれない へ【続く】
「ないと思いますよ。」
即答。平然を装っているのか、はたまた平然なのか。迷いも驚きも感じられない流れるような回答に、瑛瑠は内心、やっぱりかとも思う。
「チャールズと話していると、性格がねじ曲がりそう。」
教えてはもらえない。それを悟って、今度こそ寝ようと、ため息をひとつついて立ち上がった。
のを、チャールズが腕を引っ張ったせいで、再びソファに身を沈められる。
「何をするの!」
「ですから、ないと思いますよ。」
彼女に会ったことは。
相変わらず何を考えているのかわからない表情ではあるが、こう2回繰り返すことは今までになかったように思う。ましてや、腕を引っ張って、強引に引き留めることなんて。
反応しあぐねていると、チャールズはとりあえず掴んでいた腕を離した。
「お嬢さまからの信頼が、緩やかに下降している気がしますが、私の気のせいでしょうか。」
否定はできない。曖昧に微笑むと、それに重ねるように美しい微笑みが返ってきた。
「沈黙は肯定と見なします。」
日頃の行いのせいである。チャールズは、今一度胸に手を当ててこれまでの思わせ振りな数々の言動を省みるべきだ。
さて、そんなことは言えない。
「どうして断言できるの。」
車も中古、嫁も中古。しょぼい人生だ。嫁はワンオーナーなだけまだマシだが。
どうも、ブラウニーです。
なぜブラウニー。
褐色だからです。褐色だから、ブラウニー。
それをきいたわけじゃない。そのブラウニーが何の用だ。
あなたが愚痴りながらその褐色の飲みものを飲んでいるから来たのです。愚痴は解決の外部委託。外部委託しているから自力で解決するスキルがいつまで経っても得られない。わたしは自力で解決するスキルを得るヒントを与えに来たのです。
そう言ってブラウニーは、ひひひと笑った。
俺は愚痴ってるわけじゃない。これはおのれを笑っているだけだ。ユーモアという語はヒューマンから来ている。笑いのセンスが低い、他者を馬鹿にした笑いしかない、おのれを客観視した笑いがないということは、人間のレベルが低いということだ。ヒューマンとは、自己客観化人種のことを指すのだ。
ブラウニーは沈黙した。脳の処理能力を超えた圧倒的な情報量にフリーズしてしまったのだ。
なにかと気になる。
ただただ、キミの心が救われるのなら
どんな言葉でも紡いでみせる。
なぜ?
聞かないで、
人のため
ということに
理由なんか必要ない。
キミが誰のために泣いているのか、
それだけが気になったとしても。
よくある話
付き合って色々あって結婚して
そんな風に幸せになれたなら
なんでもいいって思ってました
好きになることも
好きを認めることも
好きを止めてしまうことも
とてもとても簡単なことではなかった
貴方に明日伝えるさよならに
私が泣いていい資格なんてないでしょう
言いたい想いは沢山あって
だけどいざ目の前にすると足が竦む
あんなに会いたかったはずなのに
帰り道、大好きな音楽を聴きながら
冬に近づいていく街並みに少し寂しさを感じて
こんな時隣にいてくれたらどんなにいいだろう
どんなに幸せなんだろう
東から魑魅魍魎がやってくる
街は夜
濃紺に浮かぶおかしな色の月を背景に
統一感のない一団が騒ぎながら
てんでばらばらな足並みで西を目指して練り歩く
最初に見えたのは首のない旗手
動く死体、動く骸骨がガシャガシャと音を立てて歩き
魔女の笑い声が空からいくつも聞こえる
顔をホチキスで繋ぎとめたような男や
蝋燭の炎の目を持つかぼちゃが酒を酌み交わして騒いでいる
半透明の貴婦人が蝙蝠の紳士と腕を組む
まるで異界から来たような奇行
そんな不気味な、でもどこか楽しそうなその中に
いつもは純情なスカートも
今日は陽気で子供らしい、どこか意地悪な色をしているそれの君が
その移動するパーティーの中に混ざって
楽しそうにステップを踏んでいる
それはもう、目も当てられないほど様になっていなかったけれど
一夜限りのそのパレードも
朝になればこの街から出ていってしまう
その、祭りの後の感傷的な姿になる前に
今はこの雑然とした騒音に感覚を麻痺させて
君と一緒に、その奇妙な動きの踊りを一晩中踊っていよう。
今日は最高の日だった
今日は最悪の日だった
今日がどんな日でも関係なく明日は来るね
明日も
明日こそいい日になればいいな
明日はいい日だ
裾揺らしたフレアスカートが
タイトスカートへと変わるとき
夏も終わりね、と瞳を伏せる
移ろう誰かに絆されて
感傷的なあの人の
ため息がふと恋慕になる
射止めた心も顧みずに
全部ホチキスで留めたから
痛いでしょうさよならは
もう終わりね、と瞳を伏せる
傷痕に唇を寄せて
ーーダルケニア国 ネウヨルクーー
「キャス、帰ったよ!」
「どうしたの、あなた。今日はえらくご機嫌ですこと」
「ほら、見ろよ!アーネストから手紙だ!」
「まあ!あの子、やっと手紙を書いたのね!それで、なんて書いてあったの?」
「まだ開けてないんだ。今読むよ。どれ...」
―――父さん、母さん、ウィル、元気ですか。僕がトルフレアに来てからすっかり年月が経ってしまいました。時が過ぎるのは本当に早いものです。暫く手紙を書かなかったことを許してね。忘れてたってのは、まあ、それもあるんだけど(ごめんよ)、何もかもが新しいことばかりで、そりゃもう大変だったんだ。最近になってやっと落ち着いたって感じかな。とにかく、ここには新しいものがいっぱいさ。
今は僕の下宿の数百メタ先にあるパン屋で仮働きさせてもらってます。仮働きといっても、ダルクよりずっとお給料がもらえるんだ。まあ、そのぶん物価は高いんだけれども。と言うことで少しだけどお金を送ります。こっちに来るときにはいろんなものを用意してもらったからね。僕のできることをしなくっちゃ。これで何か美味しいものでも食べてください。
じいちゃんとばあちゃんによろしく。あとリタにもよろしく言ってください。風の噂でダルクの人がトルフレアに来る予定があると聞きました。誰が来るんだろう。会えることを楽しみにしています。
アーネスト
「元気にやってるみたいだ。安心したよ」
「そうみたいね。それにこんなにお金を送ってきて。やっぱり王国は違うのねえ」
「アーネストも頑張ってるんだ。俺もがんばんねえとな」
「そうね......新しい家族もできることだし」
「うん、そうだ.........何だって?!」
「なんかおかしいなと思ってお医者様に見てもらったの。そしたら......」
「...............」