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眼球

寒い冬の朝

小さな針に刺されるような

凍てつく寒さに目を開く

知らない間に冬になった街

ひとり置いていかれた僕

凍結した路上

鼻の奥を刺す冷気

それらすべてを知らなくて

ふっと無邪気に息を吹いた

白い煙のように

溶けて消えた

可笑しいくらいに眩しい朝陽見上げて

ころん

目が落ちた

眼球が

ひとつ淋しく転がった

僕の残った目

落ちた目

絡み合う視線

まるで物を隠すように拾う

指先に刹那触れたアスファルト

冷たさが指先にこびりついた

ぎゅっと眼球をもとにもどして

さあまた街に出掛けよう






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茨の矢

あなたの冷たい唇

なぞったあの瞬間

今も横切ってゆくのあたしの目の前

死んだあなた

矢を射った

張りつめた弓

茨の矢はあなたをを貫いて

血を流したハートのエース

オリオン

あなたを夜空に浮かべて

ずっと見ていた

あなたに会いたい

今すぐに

でもあなた

あたしのことを許してくれないかしら

それとももう忘れてしまったかしら

オリオン

あなたが好きよ


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⛥オリオン座⛦

皆様お馴染みのオリオン座です。狩猟の女神アルテミスとその恋人オリオン。しかしその仲を良く思わなかったアポロン(アルテミスの兄)の仕組みによって、アルテミスは自らの手でオリオンを矢で射って殺してしまうことになる。そして甦らせることも許されず、せめてオリオンを空にというアルテミスの願いによってできたオリオン座。
若干悲しいお話でした。(ギリシャ神話より)

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奪い去る

縋りついたマフラーの
僅かに温もりが残っている手を
そっと胸に引き寄せて

雪上に残して消えていった足跡を
ただ点々と追っていくのみ

晒した手の温度を
冬は無慈悲にも奪い去っていく

胸が痛むのも構わず
必死に掻き寄せるけれど

あなたがいない冬は
冷酷な玄冬の寒さを思い出し
肩を震わせてしまう

空は涙を流さずに
ただ走馬灯のようにゆっくりと
重たい雪を私に積もらせるばかり

あなたの残したすべてが
私から音もなく去っていったとき

熱い雫が一滴
頬を伝っていった

恋の、これが最後の滴である。

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或るぼっち少年の冬の考察

冬。恋人達が外気温と反比例して熱くなる季節、だと思う。まあ、イベントが多いものな。クリスマスとか、冬至とか。このことに、最近になって気付いた。
まあ、一人でも良いんだよ。僻んじゃいない。
ネックウォーマーと手袋で完全武装して帰途につく。これだと頭が少し寒いな。来年は帽子を買うなりしてみようかな?
マフラーはあまり好きじゃない。理由は特に無い。何となくだ。
冬の夜の帰り道は好きだな。星がよく見える。少し首が痛くなるが、それだけの価値はある。

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星談議

A「夏の大三角は、ベガ、アルタイル、あと何だっけ?フォーマルハウト?」
B「馬鹿、それは南の魚座だ。デネブだよ。むしろよくフォーマルハウト知ってたな」
A「そうだったね。じゃあ、冬は?」
B「シリウス、プロキオン、ベテルギウス」
A「じゃあ春」
B「アルクトゥルス、スピカ、デネボラ」
A「じゃあ秋は?」
B「ペガスス座の星4つが秋の大四辺形ってことになってる」
A「じゃあ、冬のダイヤモンド、全部どうぞ!」
B「リゲル、シリウス、プロキオン、カペラ、ポルックス、アルデバラン」
A「おー。さすがだ。けど僕は、他のどの三角形よりも、冬のダイヤモンドが一番好きだな」
B「ほう。その心は?」
A「だって、ただでさえ綺麗な冬の星を、6つ並べてダイヤモンドに喩えてるんだぜ。これ以上無くロマンチックってもんだろう?」
B「そうですね」
A「なぜ敬語?」
B「いやさ、冬のダイヤモンドのポルックスって星あるじゃん?双子座の弟サイド。神話でも兄に先立たれて、ダイヤモンドでも兄さんと分断されるって、ちょっと可哀想だな〜、て思ってさ」
A「君はそんなことを考えて生きてたのかい?」
B「それが何?」
A「星が綺麗で素敵だね、それで終わりで良いじゃないか」
B「お前はものを考えなさ過ぎなんだよ」
A「君こそ難しく考え過ぎだぜ。もっと楽天的に生きろよ。シンプルは美徳だぜ」

3

夏の日

ある晴れた冬の日。
学校に向かう道の途中で、
凍結した路面で滑って
後頭部を強打した。
一瞬ぼんやりとした意識の後、
不意にこんなことを思いめぐらす。

嗚呼、夏が恋しい。
太陽の光輝いて
青と緑に溢れる夏が。
それに比べ冬はどうだ。
すべてが灰色の世界、
白々しいイルミネーションだけが
虚栄を張って、
夜空の星と競って瞬く。
コートは重くのしかかる。
毛糸のマフラーは鼻を突く。
かくも駅前を敷き詰める
マスクの人々にくしゃみを一つ。
あわれリゲルは燃え尽きた。
シリウスとうに砕け散った。
一人残された子犬は、
空き箱の中濡れそぼる。

収拾がつかないので立ち上がった。
見ればあの日のフルーツジュース。
そこで漸く悟るのだ、

僕の夏は糸冬わったのだと。

1

無題

冷たい風を受けて思い出した。
「今日からマフラー巻いていいんだっけ。」
クローゼットから取り出したマフラーは昔、貴方に貰ったもの。
貴方がいなくなってもう何年かな。溢れそうな涙を深呼吸で押し込めて、家を出る。
マフラーに貴方の香りが残っている気がして息を吸い込む。離れたくなかったな。ずっと一緒にいたかったのにな。
今更、そんなことを思って切なくなる。
真冬に突然終わった恋。
忘れたかった。忘れたくなかった。

5

畢宿の季節になりました.

秘密のお菓子があるの.素敵なお菓子よ.
でもね,何処に在るのかは誰も知らないの.

噂によると,星屑みたいにきらきら光るんですって.魔法みたいに溢れ出すんですって.

そんなことより,三つ星レストランに行きたい……?
ふふ,それもそうね.

ご覧なさい,外は星が降っているわ.
もう,雨降り星の季節なのね.


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

畢宿(ひっしゅく/あめふりぼし)
また、雨降り星とも。

畢宿=おうし座の星(おうし座は冬の星座)

0

カシオペア座

鍵に導かれ
カシオペア座の元へ
現れる白い扉
どこまでも続く階段
君の目的は?

階段を抜けた先
待つのは森と海
勇者が集いし時に開かれる鉄の扉