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食事

ジンジャーエールの炭酸の涼やかに弾ける音に耳を澄ませて

ちぎった丸パンを口に運ぶ食事の
なんと満たされていることか

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LOST MEMORIES ⅢCⅦⅩⅠ

「そうなるだろうな。
歌名が結構な案件をあげたから、こちらの話に戻ってもいいか?」
軽く同意した英人は起動を戻す。
そして、望の頷きを得たあと瑛瑠を見るので、瑛瑠はゆるく首を振った。英人がこちらを見たのには、促す意をもっていたから。
「やはり、考察は英人さんにお願いしたいです。」
文献を漁って、最後の考えに至ったのは英人だから。そちらの方が筋が通っているというものである。
少し目を瞬かせ、英人はわかったと頷く。
「何らかのプロジェクトだと仮説立てた理由だが、それは僕が漁った文献による。内容は、歌名の話した人間界への派遣プロジェクト。資料と当時の記憶が一致しているから、たぶん同じものと捉えていいだろう。」
そのあとは、瑛瑠にした説明をふたりにも繰り返す。毎年派遣されていたことや、歌名のいうように、10年前に終止符を打たれたこと。そして、なぜ今さら遣わされたのかということ。
「そもそも、何のための派遣だったのかははっきりしていない?」
しばらく黙って聞いていた望に問われると、英人は苦虫を噛み潰したような顔で
「何かの監視ってことしか。」
と答える。
お互いに、狐が大いに関わっていると思いつつ、繋がりが見えないため口に出せない。
重い空気が下りたとき、望が口を開いた。
「気になる点がひとつある。そこから、たぶん導ける。」

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お願いですから

こんな私を怒ってください
素直になりたくない私を
哀しさを認められない私を

貴方といたいと願ったのに何もできずに
ただ見ているだけの私には
自分を戒める人はもう貴方しかいないのです

私を叱ってください

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片恋受動態

勝手にひっくり返された砂時計に巻き込まれた.

砂の落ちきってしまう瞬間が怖くて

またひっくり返してしまう.

今はまだ落ちる砂を眺めていたい.

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Advent 12/25 PART2

字数制限で書き込みが2つに分かれちゃった… 本編スタート!↓

「とにかく撮るよっ!」
とにもかくにも6人と後ろのクリスマスツリーが、画面にうまく収まるように鈴は調整した。
「撮ったらLINEにあげてよ」
「そんなの当たり前だよ!」
「言っとくけどそのスマホイチゴの」
「じゃ、今の言うべきは鈴へじゃなかったな」
「う…」
「あ、今の言葉刺さったな参太」
「それじゃ撮るよーっ」
「あーはいはい」
とやっと撮ろうとするところへ、
「はいチーズじゃつまんないから、メリークリスマス!にでもしたら?」
ここでリイから発案。
「お、ナイスアイディアリイ!!」
「へへーん」
リイにしては珍しく(?)自慢げだった。そして―
「行くよーっ、せーの!」
「メリークリスマス!」
彼らの声が、都会の空にちょっとだけ響いた。

「Advent」これにて完結!! 予定からずれたけど、何とか完結できてよかったーっ! 明日は「the greeting from writter ~作者からのごあいさつ~」つまりあとがきです。こっちもお楽しみに(?)

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Advent 12/25 PART1

「…あ、来た来た!!」
「えマジ⁈」
「来なかったら困るでしょ」
なかなか来なかった人物が、やっと姿を現して、みんな騒ぎ出した。
「おーい!」
遅れた本人は、笑いながらこっちへ走ってくる。人混みでうまく進めてないけど。
「遅いぞ参太」
「ほんとゴメン。やっぱりこの人混みキツイよ…」
遅れた本人、参太はちょっと息切れしている。多分慌てていたのだろう。
「あ~、わかる。これはキツすぎるよね」
「東京の通勤ラッシュはこれ以上もあるぞ~」
「うわ! じゃイチゴ東京に生まれなくって良かった!」
「あれだったら雪夜にでも守ってもらえばいいじゃん」
「ええええええ! そういうこと言わないでくださいよ鈴!」
「ごめんごめん~ だって一緒にここ来たし」
「…」
全員がそろって安心したのか、雑談が始まった。
「移動時間どれくらいかかった?」
「2時間とか…」
「私30分~」
「いいなぁリイ、こんなに近くって」
「逆に長いほうがよくない?」
「おいおい、コウあんた開き直ったのか~」
「あ、でも移動時間長くても短くても、楽しめるっちゃ楽しめるか」
「そっちが開き直んのか」
あきれる参太、笑うリイ、何も言えないコウ。
「あ、そーだ。クリスマスプレゼント持ってきたんだけど」
「え見せて!」
「ほら、ちゃんと全員分作ったんだよ~」
「えカワイイ!」
かわいいモノに飛びつく女性陣。対して男性陣は
「…女子だね」
「当たり前だけど?」
「あ、わかった。うらやましいんだろ~」
「そんなわけないし!」
「あ、男子分もあるよ~」
「おう、サンキュー!」
男性陣は男性陣でプレゼントを受け取った。中身は手作りのストラップ。イチゴが勉強の合間を縫って作ったもの。
「ふーん、よくできてる」
「そのリアクションつまんな!」
「別によくね⁉」
「まーいいから、いいから」
よくわからないツッコミの応酬を続ける2人を、リイはなだめた。
「あ、写真撮ろうよ!」
「いいね!」
「去年も同じこと言ってたぞイチゴ」
「え~別にいいじゃん」
「とにかく撮ろっ、ライブ始まっちゃうし」
「でもどうする? 誰かに撮ってもらうのか?」
「あー…自撮りで!」
「じゃ、あたしがやるよ。一番腕長いのあたしだし」
「何その自慢~」