すっかり日が落ちてしまって。
とりあえず狐について次回話し合うということ。なんとなく気になるので、この喫茶店や鏑木先生についても網を張っておこうという結論に達する。
そして結局、花の旦那さんには会えず、瑛瑠は少し肩を落としていた。
「今はまだ会えないって。」
そう花にウインクであしらわれてしまった。
「まだって引っ掛かるよね。」
歌名とふたりで話しているところへ、送ってくと声をかけられる。
きっと断っても無駄だと思い、瑛瑠は黙って好意に甘えようとありがとうを言いかけたのだが、それは歌名によって遮られた。
「もう遅いから、ふたつに分けて送ってくって言うんでしょ!」
「ああ。」
「そんなのずるい!」
また何か言い出したぞと瑛瑠は苦笑する。もちろん、瑛瑠だけではない。
「私だって瑛瑠と帰りたいのに、英人くんと望ばっかり送ってって!」
「ふたりそれぞれ送るには距離が開きすぎている。」
「ふたりだけで帰らせるわけにもいかないしね。」
さて、瑛瑠は無言を決め込んだ。
すーつも良く似合うし、
きんべんで、努力してることも知ってる
でも、まだまだ
すてきなところはたくさんあるよ
きくばりも出来て
みんなと仲良いとこもあこがれだ、それに
にっこりと笑う顔が可愛くて、いつもわたしは
とまどってしまう、何たって
どきどきが止まらないの、故に私の想いは
けっきょく伝えれそうにないから、汲み取って
24時間じゃ足りないと言うのは
1日が24時間だから
「愛してる」じゃ足りないと言うのは
愛の最上級が「愛してる」だから
何につけても「足りない」と言うのは
満ち足りることなどあり得ないから
満ち足りることなどあり得ないのは
その実満ち足りようとしていないから
あなたは今、満ち足りていますか?
ピタン。ピタン。
どこかで雨垂れの音が響いている。薄暗い闇のなかに、パタパタと虫のはばたく音が聞こえる。それ以外は全く静寂のなかだ。
ピタン。ピタン。
神聖トルフレア王国の王都ケンティライムには、都の中心に二つの大きな建物がそびえている。一つは王宮ケア・タンデラム城、そしてもう一つが、ケンティライム特別収容所だ。
収容所、と言えども、上階の殆どは治安維持本部や裁判所等で埋まっており、収容所としての役目を果たしているのは五階にまで及ぶ地下だ。その最も下にある地下五階は、凶悪な犯罪者が収容され、「惡獄層」と呼ばれていた。その惡獄層の奥にいくつかある独房の一部屋に、一人の少年がその身を横たえていた。
「No.2」と呼ばれるその少年は、二日の間何も食べず、また何も飲んでいなかった。華奢な体は薄い灰色の囚人服に包まれ、濡羽の前髪の奥の翠緑の瞳は、よりいっそう暗い輝きをたたえていた。
その少年の名は、ネロと言った。
鼻につきそうな前髪の間から
今日も元気なあなたを見てる
上げたり分けたりは恥ずかしい
切るだなんてもってのほか
とか思ってたら
君が目の前までやって来て
頭を撫でたと思ったら
いきなり髪をかきあげた
顔を赤くしていたら
おでこを触りながら
「なんか熱っぽくない?」
とか
当たり前だろ…。
結月視点
とある日。大規模な暴走をAIが起こしたため、僕らが処理に行かされた。
本当に、機械に乗っ取られると人の生命力は格段に上がる。まるでゾンビだ。そいつらの処理が終わった後、事件は起きた。
少しだけめまいがして時雨ちゃんに助けられた。
ありがとう、そう言った次の瞬間、連絡が入った。
その連絡の内容は、特殊部隊部隊長の長嶺涼香が、殺されたというものだった。それは、僕の上司であり、姉のような存在だった。急いで現場へと向かうと、涼香の遺体が、地面に横たわっていた。「涼香!涼香!起きろ!元気になったら、一緒にバンドやってくれるって言ってただろ!」
僕がどんなに叫んでも、涼香からの返事はない。
それが昨日のこと。そして僕は思う。
どうしてこうなった。僕は警察組織から追放されかけている。
【続く】
晴れていると
あなたが笑っていると思って嬉しくなります
雨が降っているのを見ると
あなたが一人で悲しんでいるのかと悲しくなります
でも、雨が上がって虹がかかったら
きっとあなたはまた、
歩きだしているんでしょう
そして私も
歩き出せるのです
100年間も純度100度の
人間味を味わってきておいて
味気ない人生だったなんて言わせない
凍てつく空に白く浮かべた吐息
指先刺すように細く針に変えたつらら
春日灯籠 緋色に灯しては
沫雪にちらつかせて 揺らめく夢現
刹那音にも成りきらぬ恋残し
ぽつり落とした紅椿
鮮やかに映える間もなく粉雪にじませ
せめて散り際ほんの少し華やかに
誰か気付いてあげて うもれる前に
咲かなければ散らぬものを
ひとたびに色付いてしまうのならば
玉響でさえ最期まで美しく染めていたいなんて
ひとにぎりに翔ばした花びら
爪紅染めた小指からめて 指切り拳万
嘘吐いたら針千本 そんな嘘を交わしては
指切った
いつまでもいつまでも壊さずに
夢見ておやすみ子猫ちゃん
どこか遠くで鴉が鳴いている
早くお帰りこの戸が開かぬうちに
ぜんぶ散りばめた灯籠の
そっと緋移し袖移し
恋蛍の如く最後に舞わせて
指先触れてはつららを流しましょう
どこかの先生が怒鳴りました。
「なぜ、言われたことをやらない」と、
生徒達はただ「はい」と答えたのみでした。
しかし、一人の勇敢な少女は
「そんなこと一言も聞いてない」と、先生に刃向かいました。
少女は正しいことをいいました。
ですが、 少女は「嘘をつくんじゃない」と怒られてしまいました
少女の友達は言いました
「何でもハイといえばいいんだよ。たとえそれが嘘でも理不尽なことでも」
またねさよなら
それだけの
関係をつづけるのは君のやさしさなの
傘を貸してくれたみたいな
決めたことだと
言うけれど
あめの日だってゆらがなかったのに
今になってゆらいでるの
秋時雨に傘をささないぼくを
どうか笑って、マドンナ
またねあしたね
それだけの
感覚がズレていくのはあめのせいにして
約束はわすれないように
君はいつでも
そうだった
簡単に決意してしまって
曲げることはどうしてもいやがったね
秋時雨に傘をささないぼくを
どうかおぼえていて、マドンナ
秋時雨に傘をさしてもきっと
君は出てこない。マドンナ。