嘘は要らないよ
僕はぬくもりがほしいだけ
無いならいいや
僕はここからいなくなるから
「あ~いや、アタシは寿々谷の人じゃないよ。もっと田舎の方。大学行く時よく電車で通るから、学校帰りによくここでライブしてるだけ」
「へぇ~」
「まぁ、寿々谷は異能力者多いからね…普通はもっと少ないよ。アタシも高校生になって町の外の学校行くようになるまで、同級生に異能力者いなかったから」
「そうなんですか?」
そう聞き返すと彼女は、バスロータリーの方へ目を向けた。
「まぁね、アタシが住んでるところは、もともと人が少ないってのもあるけど。でも寿々谷は多いよ~ それで昔から、異能力者たちの間では有名でね… ま、こういうところはどこの国にも最低1つはあるらしいけど」
そうなんだ…とわたしは心の中で呟いた。
ずっと、この街はありふれた地方の街だと思っていたのに、実はかなり普通じゃないことが、不思議で仕方なかった。
「そういえばセレンさん、何でここで能力使ったんです? 人が多くて目立つのに…」
1番わたしが気になっていたことを尋ねると、セレンさんは苦笑した。
2年前。あなたと出会ったあの日から、私は、あなたとひとつでいた。あの日から私は、あなたに恋をした。ずっと2人で歩んだ2年の道。
楽しかったり、笑ったり、時には叱られて落ち込んだり、2人で頑張った。
見事、第1志望の高校に受かって2人で目指した道が終わった。
そして、私は、あなたから巣立って行った。
巣立たなければ行けなかった。
あなたから貰ったたくさんの思い出、言葉、全部私の大事な宝物。
しかし、巣立ってしばらく経ち、改めて、。
あなたしかいない。
こんなに苦しいほど好きなのも、思い出すと苦しくなっちゃうのも、笑顔を見ると元気がでるのも、全部あなたしかいない。
数学も、私に1番わかりやすく数学を教えてくれたのもあなただけ。あなたが1番わかりやすい。
ねぇ、巣立ってしまったけど、私は、あなたの所に戻っては行けないのですか。
私は、あなたがずっと好き。
私の脳の中には、あなたしかいない。
ねぇ、会いに行ってはいけませんか。
もう、いい。
もうやめてもいい。
誰もいない。
なにしても、いつやめても。
じゆう。
じゆう、というそくばく。
そくばくを甘受して。
なみだがあっても。
だまさなくていい。
えがおに臆さなくて、いい。
でもこのとき、ない。
なみだがない。
えがおがない。
ながれる、めぐる。
感情がない。
ないことだし、もうやめよう。
やめよう。
やめたい。
なのもかも、やめたい。
全部自己責任で。
全部一斉にやめよう。
感情のない顔でぜんぶやめよう。
いいよ、だって。
なにもないじゃん。
何もないって考えたいじゃん。
かなしくない、何を失っても。
なにをうしなっても、悲しくない。
もうやめよう。
辛くて 苦しくて
それでも精一杯、笑って
寂しくて 泣きたくて
それでも一生懸命、生きて
今の私がいるから
好きな人から「ばーか」って言われたい私は
Mっすかね??w
ねえ、人間ってよくわかんないね。
戦争ばっかりして
たくさんの人を殺して
反省は一瞬で
同じ過ちを繰り返す。
それなのに
見ず知らずの人にも
戦争で敵だった国から来た人にも
優しくて
思いやりがある。
ひとりひとりは素敵なのに
人間のなかで実権を握ってるひとたちが欲張りなのかな。
ややこしくて頭がこんがらがっちゃうや。
君がいなくても
それなりには楽しいけど
君がいなかったら
あんなにドキドキしたりしないわよ
勢いあまって好きだと言ってしまう私だけれど
残して行ったあなたを想うくらい
一途なの
みっともないなんて言われても
そんなこと知らないし
みんなから外れていても
それが素の私だから
時々、何もかもが面倒になって
親に当たって
そうやって発散の真似事だけして
分かったように軽くあしらわれたりして
また言葉にできない気持ちが募るのです。
なんだか、何もうまくいきません。
だから、その気持ちを言葉に託すのです。
ただ、混乱してしまっているのも、確かである。
望は好きだと言ったではないか。今は答えなくてもいいとは言っていたけれど、それは答えが欲しいとも言っているわけで。
「つかぬことをお聞きしますが、望さんは好きな人とこうなりたいという理想像はお持ちなのですか?」
瑛瑠ではなくあえて好きな人としたため、理想像があるのかではなく理想像はあるのかと尋ねる。
こう聞いたのも、望は未来を見ていない気がしたから。
案の定、彼はくすっと笑って、
「今のところ、何も考えていないよ。」
そう言う。
「……私がもしもお付き合いを承諾したら?」
「それはもちろんお付き合いしたいけどね。」
思考が追い付かず閉口してしまった瑛瑠に、望は微笑む。
「ぼくは、今自分が幸せなら、それでいいんだよ。」