どんなに嫌でも朝は来るから
そろそろ諦めをつけてしまおうか
アガる音楽、おはよう世界
未来の鍵はその手の中に
『ばいばい』は嫌だ
なんか、怖いもの。だから最近は
『またね』っていうの。
ちょっとした意識だけど、
ほっとするんだ。
これは、平々凡々とした私の日常に、ほんの少しルビを振ってくれた男の子との、数分の非日常のお話。
広がる橙色を見上げてカラスでも鳴いてくれないかななんて思うほどには、所謂いつも通りだった私の一日。強いて言うなら、課題が大量に出されたくらいだ。課題なんて、燃えてしまえばいいのに。
そんな日常にも綻びはあるもので、今日は偶然にもその綻びが拾い上げられた日だったのだ、きっと。
いつもなら、きっと気にも留めなかっただろうけれど、生憎私はイヤホンを忘れてしまい、五感が正常に働いていた。そのため、お使いでも頼まれたであろう男の子に、目を引き付けられてしまった。なんせ、今にも落ちそうな袋からはみ出したネギを、引きずるように運んでいるのだから。
……言わんこっちゃない。
「君、ちょっと待って!」
案の定袋から飛び出したネギを私は拾い上げ、男の子を追いかける。
男の子は驚いたように振り返った。真ん丸な目に宿るのは、不思議そうな色。
「これ、落としたよ」
慌てて袋を確認し、困ったように笑った。
「ありがと、おねえちゃん」
それが違和感だったから。
「……拾わないほうがよかった?」
なんて、ばかなことを聞いてしまった。男の子はさらに困った顔で笑った。
「ぼく、ねぎのしろいとこ、からいからきらい。でも、おかあさんに、おつかいしてきてっていわれた」
だから、そのまま落ちてくれれば食べずに済んだのに。なんて思ったのだろうか。
ばいばい、と振る小さな手が、とても大きく見えるようだった。
小さな背中さえ見えなくなってから、自動販売機に立ち寄る。
大きく息を吸ってみた。
「……よしっ、課題でも頑張りますか」
缶コーヒーのボタンを押したら、準備は万端だ。
透明人間は目には見えない。
でも確かに存在している。
だから気付いて。
色はなくても生きています。
あなたの「またね」には
「さよなら」ってことばも隠れてること
私は知ってるの
あなたは知ってた?
あなたはいつも私を抱きしめてキスしてくれるけど
それでもあなたのなかに不安があること
それもやっぱり私は知ってるの
あなたはどう?
あなたは私のことが好きだけど
私もあなたのことが好きだけど
愛してるけど
いつかは別れがくることを
きっとどこかで知ってるの
だからきっと私たちは
いつも互いを大切にするんだわ
あの人の瞳は、毒だね。
見た途端劇薬が目から流れ込んで
喉を伝って心臓へ流れ込む。
毒、といってもすぐ死ぬ訳じゃない。
心臓で鳴りを潜めてるんだ。
そう、君の心臓に埋め込まれた銀の輝きこそ
君を蝕む猛毒。
毒は、心臓を刺す。
あの瞳をトリガーとして。
何遍も何遍も突き刺すような痛み。
鮮血の伴わない、されど新鮮な、
蕾の綻ぶような、否、綻びそうな
もどかしさ。
痛みは、ときに快楽と数えられる。
あの瞳に出会うとき、君の心臓は毒に飲まれる。
じわりじわりとにじり寄るようなスピードで。
そして痛まない心臓を自覚したならば
その毒を、君は更に求めるかもしれない。
あゝそれこそが、かの毒の術。
嵌ってはいけない。
といったところで聞く耳はもう駄目にされている。
万事休す。
鈍色の心臓は、重いぞ。
痛みでさえ、刺すのではない、もはや鈍痛と成り果てる。
小学校、中学校、高校と進むにつれて、校則はどんどん緩くなっていったような気がする。
学校に携帯を持っていって良くなったり、下校時間が遅くなったり。
でもそれと反比例して、私の校則を破ってみたい欲もどんどんなくなっていった。
小学生の時は、決しておしゃれな女の子ではなかった私でも、スカートを少し折ってみたくなったものだ。
先生の決めた規則からちょっとだけはみ出すことに、スリルと快感を覚えていた。今思えば、典型的な思春期の尖った考えだったのだろう。恥ずかしい。笑
でも、中学校や高校ではあまりそういうことをしたいと思わなくなった。というか、そもそも規則をはみ出すだの何だのということ自体考えなくなったのだ。
どうしてなんだろう。
多分、そんな小さなことよりも、もっと他に大切なことが出来たからだと思う。
友達と話し合う本音。
将来の自分について。
間近に迫った学校のイベント。
そんなことの方が、今の私にとっては大事なことだ。
トゲトゲした対立より、自分を成長させることを大事に出来るようになる。
大人になるって、多分こういうことなんじゃないだろうか。
信じられない
ゴッコ遊びとは違うのよ
ウワサ話におどらされたくないの
キスして
酸っぱい
死んじまえばいいんだって 俺
ふらつく
足元 無理やり 蹴りあげて
息が詰まってた 気味悪がってた
そんなことさえも 今は知らんぷり
だってお前 俺のこと
許してばかりだった
ブレる
視界揺さぶる 俺の心臓
むかつく
胃袋 曇ってて また青くなる
入れ違いのハートビート
崩れ去るのがセオリーならば
俺はそこらでいいぜ
俺はそんなでいいぜ
うぇ
最悪だ
「私、このかんざし?というものをどこかで見たような気がするんだけど……。」
瑛瑠は、引っ掛かりをチャールズに漏らしてみる。すると少し考えたようにするも、チャールズにも心当たりがないようで、首をかしげた。
「ジュリアなら、何かわかるかもしれません。後で聞いておきます。」
チャールズの様子からしても、そのアカネちゃんが、何かしらの形でこちら側に関与していることは間違いなさそうである。
「英人さん、アカネちゃんと会った時、珍しく歯切れが悪かったの。人間かどうかを疑っていた。でも、魔力が感じられたとは断言していなかった。」
魔力といっていいかわからない,そんなことを言っていたか。
「それでも、何かおかしいとは感じていたんですよね?」
「英人さんは、そう。」
チャールズは深くうなずく。
「十分です。」
……少々不服である。また、蚊帳の外だ。
「ねえ、アカネちゃんの正体、見当がついているんでしょう?」
人は欲望の塊である。自己中で残酷で冷たい、でも人は一人では生きていけない弱い存在である。
優しい人間ほどずる賢いやつに騙され、優しい人間ほどイジメられる人が多いのだ、つまり人は優しさだけじゃダメなんだ、人を助けたければ強さそして決断の勇気も必要なのだ、人は悪いところが多いのも事実だけど良いところもたくさんある。これを見て考えてみると何かが変わるかもしれない。
自分は普通。周りと同じ。だが現実は自分は
特別。自分は一人。特別という名の落ちこぼれ
心は劣等感でいっぱい。
もう戻れない。もう引き返せない。
自分も同じ道を辿りたかった…。
一人一人の個性を。なんて優雅に語ってるけど、
大人は馴染め。馴染めと。それが正解なら、
私は不正解でも構わない。