「ここなら多分誰にもバレないね…で、不見崎(みずさき)さん、何が聞きたい?」
彼女は笑顔で首を傾げた。
「あー、えーと」
急に話を振られたせいで、わたしは一瞬混乱した。
「…笛吹さんてさ、」
わたしが恐る恐る話し始めると、彼女はちょっとうなずいてこちらの目を覗き込んだ。
少しの間を置いて、わたしは質問の続きをした。
「…もしかして、”異能力者”?」
「もちろん!」
笛吹さんはにっこりと笑って答える。
「ていうか、ソレ言われるの分かってたんだ、あの時点で。そもそもあの時の能力発動は半分くらい意図的なものよ?」
半分予想通り、半分予想外の返答に、声が出なかった。
「まぁ、”力”を使わなくてもあの場はどうにかできたかもしれない。でも、時間なかったし…それに、不見崎さんなら分かってくれると思ってたから」
「え、どういう…?」
わたしは思わず呟く。分かってくれる、って…?
言わなきゃわかんないこともある って
言ってもわかんないのにわかんないよ
わかんないこと言われても
わかんないままなのに
わかんないこと言われなかったら
わかんないこともわかんない
わかんないわかんないわかんないわ
ただ黙ってつったってるあなたとわたし
視線があってるかもわかんないし
喋っても話してもホントのところは
なにを思ってるかなんかわかんないわ
当てずっぽうじゃあ当たらない
考えたところで計り知れない
底知れないその思考を
そこここどこでもおしえてちょうだい
広大な言葉と感情の海で
流されるように漂うように
容赦なくとめどない波の随に
どこにも辿りつけないわたし
あなたの声は聞きたいけれど
時間がなかったりしちゃって
でも気にかけてくれてるのは
すごくすごく感じ取っていて
ただ今は
あなたの言葉に心を落ち着けられています
「ここ来てみたかったんだー! ほら、早く早く!」
「来てみたかったんだって……ここ遠足の定番スポットじゃねーか。一回くらい来たことあるだろ?」
「……あのね、『来てみたかった』って、そういう意味じゃないよ?」
「え?」
「……君と、来てみたかったの」
「はい、カットー!」
「どう?上手く撮れた?」
「演技じゃなくて撮影の心配かよ……」
「だって、私演技上手いもん!」
「はいはい。いいからカメラ代われ」
「ちょっとくらい褒めてくれたっていいじゃん!」
「俺のほうが上手く出来るからいいんだよ」
「え〜、ほんとかな〜?」
「当然だろ」
他でもないお前に告白するんだから。
お兄さんも妹もいて、お姉さんだと思った人が年下だったりして。誰かが誰かを想いあって、先輩のように後輩のように、語り合ってはまた贈る、そんな関係が好きです。
前よりもずっと深い関わりになって
その分だけ余計に
前よりも言葉を怖れるようになった
だから
君を気にかけていないわけじゃないんだよ
むしろずっと気になってる
でも言葉が足りないのは
それ以上に君を傷つけるだろうから
君の声が聞きたいけれど
拒むことなどしないだろうから
だから僕は見守るだけなんだ
バカなことを喋るだけなんだ
何もできないからこそ
誰かの力になりたいや
それ以上に怖がりだから
ここで座り込むしかないんだ
きみから一歩はなれるたびに
その分だけ僕が剥がれていくみたいで
三歩目から痛みが倍になったから
きみも歩きだしたことが わかった
ざーざーと音を立てるのは雨。
「けんか、しちゃった。」
知らしめられる。君の瞳が抱えている涙の理由が、僕じゃないこと。
張り裂けそうな痛みや潰れそうな苦しさとは裏腹に、僕にしか見せないその顔を独り占めにしたいと思ってしまう。
手をそっと伸ばして、伝う涙を拭いてあげる。誰かのために、涙なんか流す必要ないのに。こんなの、僕にしかできないのに。
こんなにも近くて、こんなにも遠い。それでも、傍にいたいんだ。
「しょうちゃんは優しいね。」
違うんだよ。あわよくば、僕にしないかなって、君の不幸を願う嫌な奴なんだ。
ごめんね、好きなんだ。好きなんだよ。
……君には届かない。
目には見えない。確かに聞こえる笑い声それは
フェイクか。はたまた真実かそれを止められる者
はもういないそれを導ける人ももういない。
なぜなら亡くなってしまったから…。破滅は刻々と誰も気付かず静かに刻んでいく。目に見えてる
ものは全てが嘘。感じている事は幻想であり
現実逃避。真実には誰も興味がない。目に見えて感じている。誰かが虐げられ争う醜い偽りの
いつもの日常。それにしか…。手にしている愛情は目に見え汚れている汚い愛情。だが今。後悔
しても。嘆いても。今更遅い。刻は止まない破滅は一歩ずつ近付いてくる…。
一人は自己満足を得るために…一人は愛を手に
入れ幸せに…一人は生を得る為に…。壊したのは
自分?周り?…それとも…元々が壊れていた…?
自分は今!誓おう!壊れたとしても後悔は
しないと!壊れて現実が見えたとしても嘆きは
しないと!問おう!自分に。もし壊れたとしたら
本当に嘆くのか?本当に泣き崩れるのか?と…
それはもう無いだろう。なぜなら既に壊れている
から。
雨の日の午後は
暗くなった部屋のなかで
君のことを考える
こんなに大きな雨音に
負けないように張り合うように
喉を枯らして声を張り上げて
ギターを掻き鳴らしているんだろう
大好きなことを叫んでいるんだろう
張り合いも手応えもない世界で
届くかどうか心配になって
怖くて黙っていられない
だから君はギターとアンプで
世界と自分を
繋ぎとめておきたいんだろう