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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑪

「ここなら多分誰にもバレないね…で、不見崎(みずさき)さん、何が聞きたい?」
彼女は笑顔で首を傾げた。
「あー、えーと」
急に話を振られたせいで、わたしは一瞬混乱した。
「…笛吹さんてさ、」
わたしが恐る恐る話し始めると、彼女はちょっとうなずいてこちらの目を覗き込んだ。
少しの間を置いて、わたしは質問の続きをした。
「…もしかして、”異能力者”?」
「もちろん!」
笛吹さんはにっこりと笑って答える。
「ていうか、ソレ言われるの分かってたんだ、あの時点で。そもそもあの時の能力発動は半分くらい意図的なものよ?」
半分予想通り、半分予想外の返答に、声が出なかった。
「まぁ、”力”を使わなくてもあの場はどうにかできたかもしれない。でも、時間なかったし…それに、不見崎さんなら分かってくれると思ってたから」
「え、どういう…?」
わたしは思わず呟く。分かってくれる、って…?

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実は世界はこんな僕に託されていたりする

言わなきゃわかんないこともある って
言ってもわかんないのにわかんないよ
わかんないこと言われても
わかんないままなのに
わかんないこと言われなかったら
わかんないこともわかんない
わかんないわかんないわかんないわ
ただ黙ってつったってるあなたとわたし
視線があってるかもわかんないし
喋っても話してもホントのところは
なにを思ってるかなんかわかんないわ
当てずっぽうじゃあ当たらない
考えたところで計り知れない
底知れないその思考を
そこここどこでもおしえてちょうだい
広大な言葉と感情の海で
流されるように漂うように
容赦なくとめどない波の随に
どこにも辿りつけないわたし



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あなたの声は聞きたいけれど
時間がなかったりしちゃって
でも気にかけてくれてるのは
すごくすごく感じ取っていて
ただ今は
あなたの言葉に心を落ち着けられています

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告白は演じて

「ここ来てみたかったんだー! ほら、早く早く!」
「来てみたかったんだって……ここ遠足の定番スポットじゃねーか。一回くらい来たことあるだろ?」
「……あのね、『来てみたかった』って、そういう意味じゃないよ?」
「え?」
「……君と、来てみたかったの」
「はい、カットー!」
「どう?上手く撮れた?」
「演技じゃなくて撮影の心配かよ……」
「だって、私演技上手いもん!」
「はいはい。いいからカメラ代われ」
「ちょっとくらい褒めてくれたっていいじゃん!」
「俺のほうが上手く出来るからいいんだよ」
「え〜、ほんとかな〜?」
「当然だろ」
他でもないお前に告白するんだから。

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突然の告白(?)

お兄さんも妹もいて、お姉さんだと思った人が年下だったりして。誰かが誰かを想いあって、先輩のように後輩のように、語り合ってはまた贈る、そんな関係が好きです。

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失意

前よりもずっと深い関わりになって
その分だけ余計に
前よりも言葉を怖れるようになった

だから
君を気にかけていないわけじゃないんだよ
むしろずっと気になってる
でも言葉が足りないのは
それ以上に君を傷つけるだろうから

君の声が聞きたいけれど
拒むことなどしないだろうから
だから僕は見守るだけなんだ
バカなことを喋るだけなんだ

何もできないからこそ
誰かの力になりたいや
それ以上に怖がりだから
ここで座り込むしかないんだ

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剥離

きみから一歩はなれるたびに
その分だけ僕が剥がれていくみたいで
三歩目から痛みが倍になったから
きみも歩きだしたことが わかった

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Lonely fin.

 ざーざーと音を立てるのは雨。
「けんか、しちゃった。」
 知らしめられる。君の瞳が抱えている涙の理由が、僕じゃないこと。
 張り裂けそうな痛みや潰れそうな苦しさとは裏腹に、僕にしか見せないその顔を独り占めにしたいと思ってしまう。
 手をそっと伸ばして、伝う涙を拭いてあげる。誰かのために、涙なんか流す必要ないのに。こんなの、僕にしかできないのに。
 こんなにも近くて、こんなにも遠い。それでも、傍にいたいんだ。
「しょうちゃんは優しいね。」
 違うんだよ。あわよくば、僕にしないかなって、君の不幸を願う嫌な奴なんだ。
 ごめんね、好きなんだ。好きなんだよ。

 ……君には届かない。

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多分ね、
そのまんまの言葉って
案外伝わらないものだ。
どれだけかは知らないけど
何かに託したり屈折させて
つまり言葉を換えて
言わなきゃいけない。
気づかないうちに
みんなそうしてる。
とくに、そう
モノをかくひとなんかは。
だから
そのままの言葉が
胸に突き刺さるって
すごいことだと思う。
どれくらいすごいかって、
いったい、どれくらいだろうねぇ

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確かに刻まれ壊れていく和の調和

目には見えない。確かに聞こえる笑い声それは
フェイクか。はたまた真実かそれを止められる者
はもういないそれを導ける人ももういない。
なぜなら亡くなってしまったから…。破滅は刻々と誰も気付かず静かに刻んでいく。目に見えてる
ものは全てが嘘。感じている事は幻想であり
現実逃避。真実には誰も興味がない。目に見えて感じている。誰かが虐げられ争う醜い偽りの
いつもの日常。それにしか…。手にしている愛情は目に見え汚れている汚い愛情。だが今。後悔
しても。嘆いても。今更遅い。刻は止まない破滅は一歩ずつ近付いてくる…。
一人は自己満足を得るために…一人は愛を手に
入れ幸せに…一人は生を得る為に…。壊したのは
自分?周り?…それとも…元々が壊れていた…?
自分は今!誓おう!壊れたとしても後悔は
しないと!壊れて現実が見えたとしても嘆きは
しないと!問おう!自分に。もし壊れたとしたら
本当に嘆くのか?本当に泣き崩れるのか?と…
それはもう無いだろう。なぜなら既に壊れている
から。

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Voice in the Rain

雨の日の午後は
暗くなった部屋のなかで
君のことを考える
こんなに大きな雨音に
負けないように張り合うように
喉を枯らして声を張り上げて
ギターを掻き鳴らしているんだろう
大好きなことを叫んでいるんだろう
張り合いも手応えもない世界で
届くかどうか心配になって
怖くて黙っていられない
だから君はギターとアンプで
世界と自分を
繋ぎとめておきたいんだろう