「でも、不見崎(みずさき)さんもすごいと思うよ?」
「へ?」
意外な言葉に、思わず変な声が出てしまった。
「だって普通の人なのに”異能力”のこと知ってるんだよ? すごいと思わない? …だからわたしね、興味あるんだよね~」
ん?とわたしは思った。何か似たような発言どこかで…
「”異能力”を知ってしまった常人が、”異能力”を使っているところを見て、一体何思い、何をするのか」
いつの間にか笛吹さんは、わたしの目の前まで来ていた。
「…だからあの時、わたしは能力使っちゃったんだけどね」
彼女はいつもと同じようにニッコリ笑う。でもその笑顔に恐怖を感じるのは、気のせいだろうか。
「じゃぁ助けてくれた理由って…」
「まぁ…不見崎さんの前で異能力使ったらどんな反応するかな、っていう興味? ゴメンね、何かこんな理由で近付いて」
笛吹さんは申し訳なさそうにうつむいた。
吐いた言葉も何だかよそよそしい
もしかしたら、
あなたの隣にいることは
わたしの幸福じゃないのかもしれない
「こちらは創業何年になるんですか」
「今年でちょうど、三百年になります」
「ご主人は何代目ですか」
「初代です」
「iPhoneのパスワードは」
「3150、さいこお です」
「好きな音楽は」
「椎名林檎一択」
「本当に?」
「坂本慎太郎とチバユウスケ」
「きゅうり好きですか」
「アレルギーです」
「トマトは?」
「今ポケットの中に」
「今何時?」
「マクロファージ」
「ここはどこ?」
「南ブータン村」
「色即是空」
「不規則に食う」
「空即是色」
「食う得レシピ」
「一切合切全ては空」
「実際問題食えれば食う」
「…せーのっ」
「「お父さんいつもありがとう」」
「からの?」
「「アミノ酸+オリゴ糖」」
「海!」
「川!」
「齋藤!」
「飛鳥!」
「かわ!」
「いい!」
「写真集買った?」
「買いました!」
「どこで?」
「もちろん!」
「「Amazonで!」」
「…」
「…」
「スパイナンバーを言え」
「3928です」
「本当は?」
「7です」
「いいだろう。入れ」
「あの…ホントにこれって必要ですかね?」
「しょうがないよ。上の命令だもん。」
「ですよね。お疲れ様です」
「今度飲み行くか」
「良いですね。」
「…!」
ーーーーーーーーーバキュンーーーーーーーーー
「結構情報漏れてるな…。あと少しで入られるところだった。」
情報管理が大切な時代ですね。と、マダムは笑った。
脆クテ蒼白イ、
細イ首ヲ擡ゲテ
宵ニ浮カブ星々ヲ
一ツ一ツ丁寧ニ
数エテイルタダ一ツノ
病ヲモツ人間有リ。
あのぬいぐるみのように
あの雲のように
あのわたあめのように
洗濯後のタオルのように
ふわふわに
なりたいな
いつか鳥のように空を飛んでみたいな
そして空から見下ろしてこう言おう
僕は自由だ
毎日がちょっと疲れて
毎日がけっこう楽しくて
でも、ちょっとの疲れが
私を後ろ向きにしてきて
苦しいことが積もってくると
私は少しだけ逃げるのです
そうして
楽しくなれる時を待って
こころを癒そうとしているのです
「愛してる」
あなたと私を結んでくれた 結んでくれる
美しく言葉
あなたと私を運命共同体にしてしまった
恐ろしく残酷な言葉
全ては表裏一体
黒を持たないものは一つとしてないの
恋が表とするなら
愛は裏
願わくば、君に幸あれ
僕の見るすべての景色に君を連れて行けないけど
君の見るすべての景色を一緒に見ることはできないけど
君に幸あれと願う
きっと、君は僕より遥かに広い世界を見るだろう
君が思うより、ずっと広い世界を。
僕は君を支えよう
僕が出来る限り