表示件数
0

 

外を歩く八月が 僕のことを見て見ぬふり

溶けたアイスは戻らない 一滴一滴零れる雫

茜空が告げる夕刻も

熱のこもる月夜の香り

不夜城は今夜も眠れないみたい

明日にご期待 目覚ましすらつけないのに

青い 青い 夏の想い

ここにあるのは変わらぬ色の

遥か遠く、遠くに見える 淡い理想だ

吐き出しそうだ!

忘れたのよ 顔も声も

なのに消えない笑顔はなぜ

僕の呪いだ 僕の話を貫く白だ

地べたに座り 何もせぬなら

何もせぬなら

僕を殺せよ、八月。

0

 

ただ僕は 誰かの声を叫びたいんだ
薄灰色の僕の目も変われるかな

ただ夏の一日 頭が疲れて眠りたいのさ
コーヒーに甘えて駄弁るのも偶にはいいかな

ただ僕を思い出していた
ただ僕の生き方を確かめていた

まだ今は見えない地面も見えるかな
失った僕の夏の重力よ

0

スコールが過ぎぬまに

ーここで見た虹を覚えてる
バンコクのドンムアン空港
終了間際の保安検査場
姿なくなるまで手を振った

このスコールが過ぎた頃
あなたははるか空の上
2人の距離が縮めたローソク
今にも消えそうな火

授業を抜け出して
タクシーに飛びのった
フロントガラスを叩く雨
ワイパーと心の鼓動はMAXに
doku doku dok dok dododd…

ー 私は今、虹を見ている
バンコクのドンムアン空港
滑り込んだ保安検査場
ラゲッジの波に飲まれるだけ

面と向かって言えずごめんね
ラーゴーン カップ(さようなら)

0

LOST MEMORIES 番外編「夏休み」(中中)

 精一杯笑顔を作る。驚いているのは花だけじゃない。
「瑛瑠?私、待てるよ……?」
 怪訝そうな歌名に、瑛瑠は微笑む。
「ごめんね。実は足、ちょっと痛くて。あとで、土産話でもたくさん聞かせてください。」
 ――お願いだから。
 すると、今まで何も言わなかった英人が、歌名の肩をたたいた。
「歌名、行くぞ。」
「英人くん⁉」
「花さん、瑛瑠のこと、よろしくお願いします」
 その様子に、望は呆れたようにため息をつき、瑛瑠を見て苦笑した。
「ほんと、霧も大概だけど、瑛瑠さんも困った人だよね」
「すみません」
 確かに、察しのいい英人や望に甘えて、自分を守ってしまった。歌名に申し訳ないことをしたとは思っている。
「ぼく、瑛瑠さんと花火見るの楽しみにしてたんだけど。……今日、ちゃんと花火終わるまでは起きててよね。同じ時間だけは共有したと思っていたいからさ」
 ふっと囁き、望も扉へ向かう。歌名、行くよ,と声をかけるものだから、とうとう出なきゃと思ったのか、
「瑛瑠、お土産いっぱい持ってくるからね!」
 なんていうものだから、瑛瑠も乗っかって、お土産期待しています,なんて言ったのだけど。

0

すき

あのひとに恋した私は
ほかの誰もみえないくらいに
一途だったから
あのひとと離れた今は
どうしていいかわからないんだ
未だほかの人が見られないんだ