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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑲

「…やっぱすごいなぁ」
「そう? こいつのお陰で僕は色々と大変だったんだけど?」
思わずこぼれた感嘆の言葉に、美蔵はちょっと微妙な顔をする。
「”クラーケン”が発現し始めた頃、よくこの能力で周りに被害が出てたんだよ。自分も、異能力なんてものが顕れ始めてるなんて気付かなくて、無意識のうちに能力を発動しては周りを盲目にして、面倒ごとを随分起こしてた…自分でも周りに何が起こってるか分からなくて、周りとトラブって大変なことになってたし」
彼は少し間をおいて苦笑する。
「…ま、完全に発現したら原因が全て分かってすっきりしたけどな。もちろん”クラーケン”のせいで色々大変だったけど、別に憎んだりはしてねえよ…”異能力”は自分という存在の、一側面みてえなもんだから」
「自分の、一側面…」
わたしは思わず復唱する。つまり、さっきネロが言っていたように、もう1人の自分ってことか。
「そ。人間の長い歴史の中で、延々と引き継がれてきた”もう1つの自分”。ま、自分は唯一無二なのに、他の人に引き継がれるってちょっと意味分かんないけど」
ま、ずっとそういうもんなんだけどなーと彼は笑う。

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少し昔のお話

あの人が生きていなかったら
私はここにはいない
私の存在がなかったら
私のことを知る人もいなくて
私は傷つくこともなかったけれど
私はこんな風に喜ぶこともなかったんだ
あの場所で生まれた
私の曾祖母
会ったこともない人だけど
そんな人のおかげで私は生きてる

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溜まり場

僕の役は割りは負の感情を吸い取ること(周りの悲しみを自分のように捉えること)

だから僕は負の溜まり場

こんな役割やりたくてやってるのではない

やらなければ、いつか負の感情は殺意に変わる。僕がその干渉役になることで抑えられる。

この環境耐えらんない!

これは自分のためではなく、ほかの人ため

だから、苦しい

自分のために生きたい!

こんなことしても自分にはいいことない!

誰かこんな腐った環境から出して!

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世にも不思議な人々㉟ 死なない人・死なせない人その1

「やあお帰り、少年。まーたボロボロになって帰ってきたね?」
少年、と言うには肉体的に成長し過ぎた、一応年齢のみは少年の2m超えの大男に、彼の3分の2程度しか無い、とても彼と同い年とは思えない少女が心底寛いだ様子で話しかけた。
「……ここは俺の家だ。何故ここにいる。そんな当たり前のように」
「案ずるな、君の親には了承を取っている。嬉々として招き入れてくれたぞ」
「……そうか。それなら仕方無いな」
良いのか。
「傷を見せてみな?私が治してやるからさ」
「いらん。どうせ大したことはない」
「腕の骨が露出するほどの裂傷を大したことないと形容するのは君だけなものだよ。全身傷だらけのズタボロだし。何をしたの?」
何故平気なんだろうねー?痛みは?気合でどうにかなるレベルを大きく超えてますけど?
「おお、そんな酷かったか。うん、確かに。こいつは実に気持ち悪い。いやな、ちょっとばかし、な」
ちょっと、何だ。
「そうでしょ?いくら君が不死身でも治癒は君の専門外なんだから」
ほう、不死なのね?道理で気にしない訳だ。
「おう、で、今回は何で治すつもりだ?包丁系は大体やっちまったろ?牛刀とかどうだ?」
「この間やったよ」
「あれ片手剣じゃなかったのか。鮪包丁は?」
「それもやったね。あれは確か半月前だったんじゃないかな?」
「あれ日本刀じゃなかったのか」
会話が剣呑過ぎます。治す算段はどこに消えた。
「まあ、私の力なら最悪縫い針1本で十分なんだけどね」
「何でも良いから早く治せ」
「了解。じゃあ果物ナイフ辺りで行きますかね」
そう言って、少女は果物ナイフをどこからか取り出し、大男に向き直り、ナイフを深々と彼の胸に突き刺した。ってちょっと待てぃ。治すって何だっけ。
「ごっふ」
そしてナイフを抜くと、胸の傷を含め全身の外傷は消えていた。
「うおお…、相変わらず慣れねーな。つーかもっと丁度良いものあったんでは?」
「気にするな。治してもらったんだから文句言わないの」

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朝起きて初めに触るのがスマホだとか、
何をするでもなく開ける冷蔵庫だとか、
机の上に散らばった勉強道具だとか、
それでつくづく思うのだ。
僕は僕に愛されてない。

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なんとかなる!ではなく、なんとかする!

なんとかなる は周りから影響を受けて成立すること

なんとかする は、自分がしたいことを、自分の思うように、思った未来(リアル) を 自分がいたいところで、成立すること

1

 

写真なんてデータの紙きれ

の、端をピンと弾いて
限りなく現在の近くを
通り過ぎた音を鳴らす

だけ。

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moment

好き キライ 好き キライ
揺れる感情 消える太陽
夜の街を舞い踊る
情熱の輝き
降り注いで 闇夜の空を赤くして

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私が1年前紛れ込んだ街
茶色の石畳、白い建物
そこにはたくさんのお店があった
魔法でみんなを引き合せる本屋さん
行事を起こす植物屋さんと工事屋さん
星を売る流星屋さん
気まぐれ屋台の鞠屋さん
何度も何度も感動させられるこの街
私はお店に入ってお手紙を残したり
お店の前のポストにスタンプを押したりした
ご近所さんどうしのお付き合いが素敵で
誰かの記念日には全力を挙げてお祝いして
幸せ涙に溢れるこの街で
私は果物屋さんを始めて1年ちょっと
ようやく、馴染めてきたかな