表示件数
2

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ①

「ちょ、ちょっと待ってちょっと待って!」
昼休み、暑いながらもそれなりに人がいる廊下を、わたしは同じクラスの亜理那に引きずられて走っていた。
「とりあえずちょっと待って!」
わたしの必死の叫びをやっと聞き入れたのか、亜理那は立ち止まってわたしの方を振り向いた。
「なぁにサヤカ?」
「何って…」
イマイチ状況を理解していない亜理那に、わたしはちょっとあきれてしまった。
…ついさっきまで、わたしは教室でいつものように本を読んでいたはずなのだ。
だけど亜理那に、ちょっと会ってほしい人がいるんだけどさぁ…いい?と聞かれ、暇だからいいよ、って答えたら…こうなった。
誰かに会うと聞いて、教室出てすぐかな、と思っていたが、教室出てすぐどころか、廊下の突き当りのほうまで移動してきてしまったのだ。
…しかも走って。
走らなければいけないって事は、何か重要なことなのだろうか。
なんとなく、察しがつきそうな気がするけど。
「ねぇ亜理那…一体誰に会うの?」
誰に会うのかまだ分からないから、わたしは尋ねてみた。
「え、それはね~…まだ秘密!」
そう言って亜理那はまだ誰に会うかも伝えず、ただ人差し指を立てるだけだった。

0

Warm

誰かが私のことを大切に想ってくれる
数じゃない
良し悪しもない
たった一人でいい
心からのコトバをくれる〝誰か〟がいてくれれば
それが、それこそが一番の幸せだと思うんだ

0

夏バテかもしれない

蝉の声も
風鈴の音も
君の澄んだ声も
なんにも聞こえないんだ

0

戦う理由

僕は血に塗られた戦場を行く

身を削られ、えぐられる感覚を感じながらも歩む足を止めなかった

天国も地獄もない

あるのは今、見ている現実だけだ

必死に刃を振りかざし

時には誰かを容赦なく切り捨て

踏み台にして

必死になって戦い続けた

死を恐れてないわけではない

生きるのに疲れてないはずもない

けど、この戦場で戦い続ける理由が僕にはあるから

守るべき人がいるから

僕はこの血に塗られた戦場で刃を振るうのを止めない

君に幸あれと‥‥

ただそれだけを願って

0

新しいギター

風を起こした 嘘をついた
あばらが傷んで 足がもつれた

新しいギター 低く構えた
つまらないギター それで良かった
かわいいギター 時を止めて
ずっと 嵐ん中

シャラシャラ鳴った 空気 割いた
煙散らした 眼鏡 ずれた

新しいギター 寝転がってた
ボロくさいギター 甘く響いた
かわいいギター 歌詞を揃えて
ずっと 頭ん中


つまんないから 笑ってた
あの子がいないから
笑えないから 歌ってた
あの子はいないから

かわいいギター 音 くゆらせて
ずっと あの子ん中
ずっと 体ん中

0

我儘でしょうか

晴れた日の夕暮れみたいに
当たり前にあなたのそばにいて
愛されていたいと思うのです。

0

Aoi空

電停に立つふたり
"時のトラム"が通過した
愛だけを奪って
乗り遅れたふたりは3年後、
"時のトラム"にのった

きっと、3年前も今も
ふたりは手を繋いで歩く
ただ一つだけ違うのは
そこに愛はない
今では気心知れたfriend

展望台に立つふたり
一緒に行った街のエーガ館
今では跡形もなく
オフィスビルが建っている
台風一過の空を写して

きっと、74年前も今も
頭の上には一面のAoi空
ただ一つだけ違うのは
2羽の白いハトが
平和な時を運んでること

1

仏の顔も三度までって。

仏様ってのは案外
人間のことが嫌いなのかもね
たかだか108の煩悩も許せないなんて
ひとの許せないところなんて
せいぜい一つか二つでしょ
全くの完璧を求め過ぎるのかもね
自分みたいな完全無欠をさ
神様くらいゆるくていいのに
女神さまくらい愛してくれたらいいのに

0

きみが

君がね他の人とね
仲良くしてるの見るとね
なんだか心がくるしくなって
焦ってしまうんだよ
私の1番に君がいないことも
君の1番に私がいないことも
どっちだってつらいなんて
ただの我儘ってわかってるのにな

0

_____の詩

鳴りやまない
あの言葉が
あの一行が
あの文字が。          A,本

鳴りやまない
あの歓声
あの拍手
あのイントロ。         A,ライブ

鳴りやまない
花火の音
下駄の音
景品が倒れる音。        A,夏祭り

鳴りやまない
グラウンドをかける音
体育館に響くボールの音
外にいても聞こえる合奏。    A,部活

鳴りやまない
君だけの着信音
LINEの着信音
君の声
体育館シューズの擦れる音
胸の鼓動
どうしよう
鳴りやまない
君の、きみの、キミの………
全てが。            A,恋

わたしの夏休み