かり染めのうた
われた花瓶
れんらく先もわからない
ない夢を描いても
いみは無い、知ってるよ。
まだあなたを覚えている
まだあなたを忘れられないでいる
来世では、物語の住人になりたい。
願わくば、優しい世界の、
主人公を形づくる脇役として。
私には、主人公が自分のこの世界がちょっとだけ息苦しいから。
布団の中で また思い出した
死にたくなるよな 思い出話
死にたくなるほど 重くはない
軽めの リグレット ユー・ソー・キュート
ふと外を見たら
夜がもうそこまで来ていた
夕日に照らされ輝く街は
外国の写真を見ているようで
映画の中に迷い込んだ気分
不安になって
前を見れば君がいて
その事が私を安心させた
何にもしてないのに
時間だけは飛ぶように過ぎていき
人混みの中一人になった
残るのは喪失感と寂しさ
記録には残らない
記憶だけの特別な夢
だいすきだって
好きで堪らないなんて
ふっと言ってしまったけれど
あなたの近くにいれるなら
それだって構わない
すき
好き
大好き
灯りの消えたきみのなかで
跳ね回って飛び回って
元気に遊ぼう 夜も寝ないで
昼間はいつも寝てるから
夜更かしも平気
眠れないきみとつき合ってる
満更でもないネコの表情
いまさら止まれないウサギの衝動
愛がどうとか言ってないで
初めてが痛いとか泣いてないで
楽しんで僕を感じてよ
生ぬるい夜風が気持ちいいでしょ?
この雰囲気を加速している
アンケート用紙にはなんて書いたの?
満足している 可もなく不可もなく
物足りない 正直飽きている
どれにマルをしていても
寝ちゃった夜は変わらないんだけど
バツの悪そうな鳴き真似もいいね
爪はちゃんと切っておきなよ
いつでもどこでもだれとでも
傷が残ったら憶えちゃうから
しょうがないから今日のところは
ふくらはぎの引っかき傷は
僕がキスマークを重ねてあげる
「さあ、さっき言ってた『あの双子』について聞かせてもらおうか」
「えぇー、嫌だね、たとえ負けてもお前らのことなんか嫌いだから教えてやんねー」
「安芸ちゃん、ゴー」
「了解!」
安芸がゆらりゆらりと一つ目小僧君に近付いていく。
「え、何、え、ちょっ、待っ、止め、ぎゃあああああああああああああああああ!!!」
「……さて、教えてもらうよ」
「う、うぐぅぅ……、だ、誰が教え」
「安芸ちゃん」
「りょうかーい」
「え、いや、止め、止めて!分かった!話すからさ!あれだけは!あれだけは許せ!」
「さあ話せ」
「あれは今日の昼間のことだった。突然変な二人組が出てきて、『お前の能力はこの次元じゃ異端過ぎる。悪いが消えてもらう』的な発言をしてきて、で、気付いたら周りは夜で知らない場所に居たと。それが事の次第だ」
「わーお語彙力の低さよ」
伏見がからかうように言う。
「うっせ」
「ところで、君のいたところじゃ、能力ってどんな感じだったんだ?」
「異能力者は能力発動時に目が光って異能力者としての別の名前になるんだ。俺のは『ヒトツメコゾウ』。『自分の身体のパーツを増やしたり減らしたりする』能力だ。あと前の異能力者の記憶も受け継ぐ。確かに異端だわな。ってあれ、そう考えると俺をこっちに飛ばしたあいつらはどうなるんだ?」
「気にするなよ。まあ、この次元じゃあ全てを受け入れるから。こっちで楽しくやるが良いさ」
日常的に日常生活ができない。
それは、どういうことなのだろう。
「なんかさ、身体が、動かなくて。いや、動くはずなんだけど、動かなくて。家に帰った後とか、うずくまったまんま動かなかったりする。1時間……とか。ご飯も食べずにお風呂にも入らずに、なんならイスにも座らないで、床にうずくまって膝抱えて」
桜木は、どこかここではない別の場所を見ているかのように見えた。
「声が、するときもあるんだよね。心の声が。『痛い、苦しい、嫌だ』って。ずーっと。いや、まあ3時間もすれば無くなるけどね。でも、その間はずーっと。言われるだけで結構苦しいんだよね。それで、いつもはそんなことないんだけど、部活中にそんな風になっちゃったから、つい……。まさか部室でいきなり泣くわけにもいかないしさ」
あはは、と言って。桜木は、またどこかを見る。
俺にはきっとその言葉の半分も理解できていないけれど、彼女が色んなものをこらえてきたのは分かった。
だから。
「言いたいこと、正直なこと、全部言ってみろよ」
その全てを、吐き出して欲しいと思った。
女の子のほうがこれからの時代は〜
とか言っても
男も女も価値とか意味とか探しながら
勝ちとか負けとか引き分けながら
死ぬまで生きてかなきゃいけないしね
恋におちたときには
落ちきってる鮮度
消費期限ギリギリになっちゃ
おいしく食べてもらえない
味が消えないうちにお腹で溶かして
あなたの血肉にしてちょうだい
腐りきった青春はいらない