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奇か嘘か

話そうと口を開けど、
吐くは色彩の花ばかり。

指の切り傷 滴るは、
青の猛毒。赤未満。

幾ら平凡を望めど、

涙は星になるばかり。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑤

「…でも、いくら仲良いとは言え、知っちゃいけないことは知らないままにしておいてるんだけどな~…暗黙の了解的な奴で」
笑いながら耀平は言った。
「だからあんまり黎に干渉しすぎるなよ。…異能力という存在全般にも言えることだけど」
そう言った耀平の顔から、微かに笑みが消えたような気がした。
…まぁ確かに、“常人”であるわたしが異能力に関わりすぎてしまうのは、ちょっとアウトなのかもしれない。
でも…それはそれでやってて楽しいと思うから、関わっているのだけど。
「…ねー黎、…“ロヴィン”見つかった?」
不意に話し出したネロの方に、自然とわたしの目は向いた。
「…まだ」
「そっかー」
素っ気ない黎の返答に対して、ネロは特に何事もないように呟いた。
…何の話してんだろ、この2人。
思わず心の中でそう呟きそうになったが、ちょうど師郎が何やら喋りだしたので、そっちの方に意識を向けることにした。

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言葉の旅人

立ち止まれば ふと思い出す
君の一言がまだ胸をさす
君が落とした恋の破片
拾う手と信号の色は
綺麗な綺麗な赤色
青色に変わるの
待ってるだけ
秋の交差点

信号機はまちの色を変えて
アスファルトの川を泳ぐの
白と黒の日々を駆け抜けて
君の一言思い出になるまで

だんだんと
日も短くなる
灯りをつければ
ひとり自分が映る
Love songで踊って
キレのいい自分が痛い
今はまだ悲しいフレーズ
新しいことば見つけるまで

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終わりに

たびのおわりに 
おとしたものと
ひろったものを 
ならべてかぞえる
よるのおわりに
ないてるとりと
むすんでひらく
ちょうちょとねこ

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君の毒を食べて、
僕の毒を食べてもらって、
そんなことをしても、
毒はなくならないのに、
傷は癒えないのに、
記憶は消えないのに、
痛みは残るままで、
毒は残るままで、
なのに今日も毒を食べて、食べてもらって。

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月の夜に潜む 影のような 黒い華

痛みも涙も全てを背負う 青い華

同じ場所に咲いた二人は 今 それぞれの風にのって
散ってゆく

風の気まぐれがまた隣り合う二人を見せてくれるように
ただ 祈って

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選手権

どうもこんばんは。memento moriです。
名にしおわばの九月でした。長いようで短い毎日でしたが、気づけば九月ももうおしまい。......?九月も......終わり?

選手権終わりじゃん!

そうなんです。終わっちゃうんです。終わっちゃうんですよ!!!
というわけで、「今初めて知った!」って人も、「あ、忘れてた!」って人も、是非是非書いちゃってください!待ってます。

審査員一同、精一杯見させていただきますので。よろしくです。
ではでは。memento moriでした。

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ちょっとした休憩を君と

窓辺に置かれた一輪の花と
カウンターに準備された珈琲
僕は君を待っていた
君が来たら
とっておきのケーキを出してあげるんだ

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桜木ノア #15 9月某日

「きっと、みんなにとっては大したことじゃないんだよね。宿題は人によるところがあるとしても、歯磨きとか。歯磨きするまでに1時間以上かかったりしないでしょ? やっぱりそういうのは、煩わしいよね。毎日だし。余計に睡眠時間削られるし。そんなときにさ、『めんどくせー』なんて声聞いちゃうとさ……腹立つよね」

「わかってるよ。そりゃ。みんなにとってはこんなの悩むようなことじゃないし、ていうか言えないし。歯磨きができないんだけどどうしたらいいと思う?なんて、頭おかしいじゃない。……いや、頭おかしいんだけどさ。頭っていうか、たぶん、心が。精神が。でも、理解されないじゃない。言っても分かる人がいないじゃない。だったら……言っても意味がないじゃない」

あぁ、なぜだろう。申し訳ないことこの上ないのだが、しかし、これが俺の本心である以上、偽るわけにはいかない。

俺は、桜木ノアに対して、怒っている。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ④

「うわ、黎らしっ」
ぽつっと師郎は呟いた。
「…まぁそーだろーねー。だって自分らの秘密を握っている人だもん…あんまり関わろうと思わないもんなー」
ネロはわたしの方を見ながら少し意地悪気に言う。
「だからさ、“そういう人”に関わってこられるのはちょっとね~」
そう言って彼女は嫌味ったらしく笑った。
「…ネロ、なんか邪悪なモノが出てんぞ」
何やら黒いモノがちらついたネロに気付いた耀平は、そう言って諫めた。
言われたネロははいはいと言ってそっぽを向いた。
「…ま、アイツはそもそもあんまり他人と関わらないからな」
耀平がわたしに向き直って言う。
「自分の事知られるの好いてないし」
「あ、でも俺らは結構知ってるじゃん」
耀平が喋っているところに、師郎がしれっと入り込んできた。
「アイツの好物とかさー、一応入ってる部活とか」
「いやそこらへんはお互い様だから」
耀平は真顔で返した。