俺が君を初めて見たのは2017年の大晦日
君の圧倒的な鬼気迫るダンスを見た時
あまりの可愛さと隕石が降って来たような
凄まじい衝撃に目眩がした
君のおかげで友達も増えた
この時間が永久に続くと信じて疑わなかった
しかし君は新たな道を行く
これから先、君が何処へ行っても
俺は君を応援する
無限の愛を持って
君を悪く言う奴は
君を羨んでいるだけだ
君は一人じゃない
何万という国民が
この先何があっても
君を守る
だから安心して
行ってらっしゃい
友梨奈ちゃん
「…こちらにございます」
雪に覆われた村外れ。この辺りを治める領主―あの屋敷の主人は、人気のない森の入り口で立ち止まった。
「…どうぞ先へお進みください、わたくしはここで見張っておきますから―何も知らない一般人に、魔術のことなど知られる訳にはいかないので」
そう言って屋敷の主人は少女らを促した。
「…ご案内どうも」
少女はすれ違いざまに屋敷の主人に言った。
”使い魔”もその後に続く。
…暫くの間、少女らは黙って新雪の中を進んでいたが、ある程度進んだ所で少女は立ち止まった。
「…あいつ、逃げたわね」
呟いて、少女は振り返る。
「…まぁ、あれでも貴族なのよね。貴族同士の覇権争いでいつ命を狙われるか分からないのに、ただの精霊に殺されるのは死んでも御免よね」
言い終えた後、少しの間沈黙が下りた。
が、すぐに思い出したように少女は言った。
「…そういえば、お前…名前は?」
”使い魔”はフッと顔を上げた。
「名前を知らなければ、何て呼べば良いのか分からないでしょう?」
少女はにこにこと笑いながら尋ねる。
暫しの間、”使い魔”は黙っていた―が、不意に口を開いた。
「…”ナハツェーラー”」
ふーん、と少女はうなずいた。
「あの魔術師らしいわね。自分が作ったモノに、”吸血鬼”の名前を与えるなんて」
「何か文句?」
間髪入れずにそう訊かれて、少女は笑いながらいいえ、と答えた。
「ただただ、あの人らしいと思っただけよ」
少女はそう言いながら、また歩き出した。
遅く帰った今夜は
手軽なアレが欲しいわ
3分で終わる恋など
あなたは知らない
だから今日は教えてあげる
まずは熱い夜を沸かして
誰かの鳴き声が聞こたら
ドーナツ盤に針を落としましょう
BGMは短い洋楽がいい
タイマーなんてものは要らない
窓から冷い夜風が
カーテンを揺らして
オレンヂのルームライトが
あなたの頬を照らせば
2人の影が天井で泳ぎだす
待ってる時間は長いでしょう
私と出会った人はみんな
手軽で便利なものよ
すぐおいしい すごくおいしい
なんてね
「休むの?」
「…………」
「行くんだったら送るけど」
「いい」
わたしは腰をさすりながらこたえた。
「じゃあお母さん仕事行くから。ご飯、適当に冷蔵庫のもの食べて」
昼近く、ふらふらしながら起きて、冷蔵庫を開けた。何もなかった。
お腹減ったなあ。
「一食抜いたところで死にはせぬ」
稲荷大明神が言った。
「そーだね」
「だがつらいだろう」
「それほどでも、ちょうど痩せたいと思ってたし」
「君の体質じゃ痩せてもすぐリバウンド」
「何が言いたいんですか?」
「ところでさ、狸顔って言われたことない?」
「あー、あるかも」
「その一言が君の無意識に影響を与えてるのさ。その無意識をシフトすれば、がり痩せ間違いなし」
「どうしたらいいのでしょう」
「そんな君にはこれ。狐の面による呪いダイエット。狐の面から連想されるオカルティックなイメージで神経がまいって食が細り、見る見る健康的に痩せるよ」
オチをつけようと思ったがこの話、けっこう面白いから続く。
空気は乾燥してるし毎日嫌なことばっかだし周りは嫌な奴ばっかだし田舎だし学校遠くて通うのめんどくさいしでも行かないとお母さんうるさいからしぶしぶ荒れた唇を噛んで前歯で皮をむきながら、ぷぷぷってむいた皮を吐き出しながら雪道歩いてたら電車来てたから胸揺らしながらホームに向かって階段ダッシュしたんだけどそしたらわたしの胸はお母さんゆずりの巨乳でずっとコンプレックスでいつか絶対小さくする手術するんだって一年前から定期的に浮かんでくる強迫観念に支配されちゃってわーってなっちゃってホームにうずくまってたら大丈夫ですかって声かけられて顔上げたらトレンチコートに肩かけ鞄、ハット姿の老紳士。うつむいて大丈夫ですってこたえたら、「そんなに世のなか素晴らしい人いますか? あなたは周りにばかり求めているようですがあなたは素晴らしい人に見合うだけの人なのでしょうか……まあそんなことはいい。あなたを不愉快にさせるような人はあなたより劣った人なのです。そんな人に出会ったとき、わたしだったらほっとします。自分の劣等感を刺激されずにすみますからね」なんてぬかしやがる。
何言ってんだこのじじいって心のなかでつぶやいてから今日はもう駄目だ。もう帰ろって思ってとりあえずベンチに座って呼吸整えてたらじじい、肩かけ鞄から稲荷寿司出してきて、「朝ごはん、食べてますか? 朝食べないから貧血起こすんですよ」って。わたしはずっとうつむいてたけどじじいがにやにやしてやがるのはわかった。
むかついたわたしは稲荷寿司引ったくってむさぼり食って顔を上げたら地元の観光協会の作った稲荷大明神のオブジェ。
田舎は変化しない。老化するだけだって最近きいた。あと、同じことの繰り返しがいちばん脳に悪い。単調な生活は精神病、認知症のもとだって。絶対東京行こ。
むかし、ある王国に、とってもおしゃれな王女様がいた。
トレンドはすべてキャッチし、また自らもトレンドを作り出すファッションアイコンになっているにもかかわらず、まだまだもの足りないなあ、なんて思っていたところに、世界各国を放浪して服飾ビジネスの勉強をしてきたという仕立て屋が現れた。
仕立て屋が王女様にすすめたのは賢い者にしか見えない生地で作ったドレス。王女様はドレスが仕上がるとさっそくおひろめパレードを行った。
「王女様、裸だったね」
パレードを見送ってから、息子がわたしにぼそりと言った。わたしは、「そうだな」と言って息子の手を引き帰路についた。
十年後、息子は宮廷画家になった。息子は単に絵が上手いだけでなく、営業的な才能もあった。息子の名前は近隣諸国にたちまち知れ渡った。
先日、久しぶりに息子が会いに来た。息子はわたしに、「何か描いて置いてくかい? 俺の絵なら、らくがきみたいなのでも売れるんだ」と冗談めかして言った。わたしはもちろん断った。台所で妻が舌打ちするのを息子もきいていたようだが、「気が向いたら、声をかけてよ」と言い残して帰った。
たとえ気まぐれにでも、これから息子に絵を描いてもらうなんてことはないだろう。なぜならわたしは、息子の最高傑作をすでに所持しているからだ。
裸の王女、というのがその絵のタイトルだ。
下絵はわたしが描いたんだけどね。
人は皆、狐の面をかぶってる。
私は正直でいたいと思うけど、
狐の面をかぶらないと仲間はずれにされるんだ。
嘘をついて生きるのか、心の中を殺されるのか。
どちらかを選ばなければならない。
僕らの世界は 腐ってる。
でもそんな中、狐の面をかぶらない人もいる。
1人で戦う者がいて、共感したものが増えていく。
割合は少ないけどさ。
だからこの世界は腐っていて、 とても綺麗な物なんだろうな。
生きてる時間の長さってとてつもなく長い同じ感覚
いつまで経っても同じ。寝てる時とは感覚が違う。いつまで経っても終わらない地味な仕事をする感じ苦痛が付き纏う。達成感を味わえない。
分からない事が多すぎる。知りたい事が多過ぎる。
なんでこれはこうなの?なんなのこれ?とか多い!
はぁ〜。判らん!