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バイオリン

高くて
ハスキーで
それでいて、どこか大人しい音。

君の声に似てるなぁと思った。

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魔法譚 死にたくない魔法使い5

「アトは、お前ダけカ」
『クククククク……。よくぞあれだけの数を倒したものよ。褒めてくれる』
「じゃあ、ツイでにあんたモ消エテくれまセンカねェ?」
『ああ……。そうだな……』
〈ケットシー〉が塀に飛び乗り、捨て台詞を吐く。
『ええい、今回だけは見逃してくれる!次は気付かせる間もなく一瞬のうちに始末してくれるから覚悟しな!アバヨ!』
そう言って向こう側へ飛び降りた。しかし、
「オット、ドコへ行くンだ?」
その壁をすり抜けて、『死神』が追いかけてきた。
『な、馬鹿なッ!』
「今ノ言い方、まるでマタやっテ来るみたいジャあないカ。そんなコトは僕が許さナイヨ?」
『グッ……、ま、魔法は一人に一つ、そうじゃなかったのか!』
「知らなかったのか?『死』からは誰も、逃げられない」
ただの人間には聞こえない断末魔が、周囲に響いた。その日、ほんの一部の人間にしか分からないことだが、その周辺に大量のネコの死骸が目撃された。その数は、数千から数万匹にものぼったという。
「……一つ。死は、命あるものを等しく殺す。一つ。死を留める障害などこの世には存在しない。一つ。『死』、その正体は、自身である。以上がこの魔法のルール。……おお、怖い怖い。この世はまったく、怖いものばかりだ。そうだな、今は冷たい麦茶が1杯と安らぎのひと時が怖い、なんてね」

『死』そのものになること。それがこの少年の魔法である。

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無幻の月-終-

後日談ってやつをしよう
あの日から賢者は私の前に現れなくなった
そして私は真の意味で自由になった
肉体すら必要ない
魔力で生成すればいいのだから
この世だろうと冥府だろうと自由自在に出入りできる
これを自由と言わずしてなんと言う
少しヘマをしてどっかで噂にはなってしまったがあまり関係のない話だ
さて、今日からは何をしようか
何を、狩ろうか

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『祝福は似合わない』#1

 今日も今日とて仏頂面の彼は、ぶつぶつと文句を口から量産しては、その割にはやいスピードで仕事の書類であろう紙の束たちを整理していく。そういうところを見ると、やはり仕事ができる人なのだと思う。
 こんな天気の良い休日の昼下がりに、クーラーのきいた部屋でただただ仕事をこなしていくほかに過ごし方はないのだろうかと甚だ疑問ではあるが、口にはしない。そうして幾度となく嫌な目を見てきたからである。人間とは、学ぶ生き物だ。だから、私もただそんな彼をソファに座って眺めるだけなのだが、この時間は嫌いではない。眉間に皺を寄せているときのこの人の顔は、ゲームが欲しいのにクリスマスプレゼントが図鑑だったときの子どものような顔をしている。いつもは意地の悪い楽しそうな顔をしているものだから、日ごろやりこめられている分、やり返してやったようなそんな気持ちになる。
 こうして眺める時間は、最近また増えたように感じる。テリトリーに入ることを許されたとでも言おうか。人は、ずっと見つめられると居心地の悪いものだと思う。彼は特にそういうのを嫌っていると、感覚的に思っていた。そもそも彼は、興味を抱く対象が特殊である。心を許した相手とそうでない相手との差は歴然としており、対応もまた顕著だった。本来私は、興味を持たれない側の人間のはずなのだけれど。
 そんなことを考えながら視線を外さずにいたら、ばちっと音が鳴る勢いで目が合う。気象予報士でなくともわかる爆弾低気圧だった。
「なんでキミはそんなに僕の邪魔をしたいの。そこのおもちゃを使っておままごとでもしてなよ」
 訂正。何をどうしても機嫌の悪い彼は機嫌が悪い。そこのおもちゃというのが比喩ではなく本物のおままごと用のおもちゃなのがこの人の人柄をさらにわからなくするアイテムなのだが、まあ今に始まったことではない。

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ワイヤレス

束縛は勘弁してほしいけど
見えない何かで繋がってるのは
ホンモノっぽくていいっすね

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幻想曲

すっ…とその少女はヴァイオリンを構えた
闇と光が混ざりあった世界の狭間
蠢く醜い化物達
勇んで少女に飛びかかろうと伸び上がる影
少女が1音目を奏でる
美しい音に身体が震え
目の前で音に融ける様に亡霊は断末魔をあげながら消えていく
そして、
少女は最期の1音を余韻を楽し見ながら終えた時
闇は消え去り光に溢れた世界が残った
少女は満足そうに微笑みヴァイオリンを仕舞い
次の行き先へと足を踏み出した。

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『私』

私は助けを求めているの。
声にもならないくらい小さな音で。
誰にも気付かれずひとりで
苦しみに耐えてるの。

あいつらなんて。
そう思うけど
人の素晴らしさを信じているの。
いつか誰かが
気付いてくれるんじゃないかって。

私だけじゃないとわかっているから
諦めずにもがいてる。

あぁ
なんて素敵な日だ。
そう言える日々を探して
私は虹の麓へ歩くの。

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魔法譚 〜もうすぐクライマックス

どうも。知ってる人はこんばんは、初めての人ははじめまして。
テトモンよ永遠に!改め、大賢者の代弁者です。
もうすぐ企画「魔法譚」の3日目も終了、ついにクライマックスですね。
最後まで、皆さんと盛り上がっていきたいところです。
もちろん、最終日からの参加も大歓迎ですよ!

企画「魔法譚」の概要はタグ「魔法譚」から。
参加は作った作品に「魔法譚」のタグをつければOK!
皆さんのご参加待ってます!