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夜の散歩

夏の夜はあたたかな匂いをしている
手をつなぐのもわずらわしいほど
たくさんの音と温度がまざりあって
とろりと身体にまとわりつく
その感覚もきらいじゃない

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骰子。

人は、

形のないものを信じて生きる。

例えそんなものはないと言われても、

どこかでそれを信じている。

いつか、いつかまた、

あのハルジオンのようになれたなら。

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交換日記

死際に
人生のこれまで
ノートに書き殴る
生まれた日の事
あなたと出会った事
あなたが先立った事
2、3ページで済む
大した事のない日々
残りのページは
来世にとっておくから
次はあなたが書いてよね

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言の葉クッキー

こんにちは 青空の香り
さよなら  夕焼けの味
ありがとう 幸せの香り
ごめんね  涙の味

言葉に宿った想いが
優しいクッキーになりました
おひとついかが?

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一本道

目の前は想像のできない一本道
昨日歩いた道と今歩いている道は
似たようで違うでしょう?
ほら、そこに咲く花は昨日はなかった
頑張って育てた花が
実らないこともある
一日中雨の日もある
どれだけ嫌でも
自然と足が動くの
明日という未来に向かって

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8.6

太陽が昇り
夕日が出る。 
僕らはそれを綺麗なものと呼ぶ。

ある人からは
とても怖いものと呼ばれる。
『あの日』を思い出して
悲しくなるらしい。
怖くなるらしい。

私達が体験をしていない『あの日』。
どれほどの怖さだったのだろう。

太陽が昇り
隣にいる貴方が生きていることが
幸せで平和だった。
太陽が沈み
隣にいる貴女と昼寝していることが
幸せで平和だった。

いつか忘れられる前に
僕たらは
あの日を受継ごう。
例え反対をされても
この事実は消えることのないものだ。
そして
消えることのない痛みなのだ。

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オールドファッション

ドーナツ屋の片隅で
ふざけあっている
恋人たちもやが
淋しい大人になってゆく

二人の跡がくっきり
亜麻色のソファに
老夫婦が座って
薄いコーヒーすすってる

Ah, 明日に目をつぶって
きみのうなじを味わうだけの
この恋を愉しみましょう

この店もいつからか
さびれてしまった
長い列に二人で
並んだのもの遠いあの日

Ah, 心にぽかり空いた穴
躰をくぐらせ、浮き輪にして
この夜を泳ぎましょう…

Ah, ドーナツ屋の片隅で
誰もが忘れ去った夏の片隅で
ひどく愛し合いましょう

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そうだよね。
他人なんて関係ない。
どれだけ苦しくても
赤の他人だものね。

お前の味方とか言って。
結局は『自分』を守るため。

私は貴方に振り回されている。
貴方は
本当は
酷い人なのね。

そんな事言っても
結局は貴方に助けを求めちゃう
馬鹿なのだろうけれど。

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きっと、きっと。

朝ごはんを頬張る君の笑顔がこびりつく
蒸し返したさようならなんて
味の薄いオムレツよりも虚無で
なんとか言えよ なんとか言ってくれよ
掴んだ胸ぐら 乱れた桜
肩に乗った頭をそっと抱き寄せる
おやすみ、の意味が違うように感じた
それはきっと

夏祭りのあとの汗ばんだ空気
フランクフルトのマスタードの風味
横を駆け抜ける子供たち
鳥居の前でようやく
僕だけが逆方向に進んでいることに気づく
もういいよ もういいんだよ
銃声みたいな叫び声 誰かが気にしたSNS映え
誰もが亡くした心をあの子だけが持っている
それはきっと

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好きな人には幸せでいてほしい。

好きな人に笑顔でいてほしいと願うのは
自分がいるのに泣かれると
ああ
自分では貴方の全てを埋めることはできないのか
とショックを受けてしまうから。

でも私が死んだときには
泣いて泣いて
頭おかしいんじゃないのってくらい
泣き叫んで欲しい。