僕たちが名づけた感情と
あなたが大切に持っていた不確かな受け皿、
受容するまでに陰るのは必然だ。
それでもいつか訪れる
きっと腑に落ちて言葉を生み出す喉を見つめて
僕たちが名づけてしまった感情を
口に出す刹那が恋しい。
自分だけの色で
真っ白なノートに書き出していく
一文字一文字大事に
美しく、流れるように
筆を思いやりながら
僕もう大人になったんだよ
歳を指折り数えるのも面倒臭いや
とくに変わったこともないけど
しいて言うなら … 泣けなくなったよ
嫌いな人に「好きだ」と言った
好きな人に「嫌いだ」と言った
大人になるってことは
独りぼっちになることだって
おじさんが言ってた
美しいかもしれないけど
別に素晴らしくはなかったよ
世界が見え過ぎるのも怖いな
嘘吐きピエロのバカ!!
置いていかないでよ
みんな先に行ってしまったんだ
甘えてばっかりの
僕を見捨てて
x+y=君
x−y=僕
公式は分かっちゃいるけど
じゃあxはナニ?
I want you. You want me.
So, I just running over the town.
Ah, Ah, oh, oh…
なんで?なんで?なんでなの?
うん、え?道しるべはナシ?
僕はこんなに
大きくなってしまったんだ
子供たちが居なくなった街の
駅の人混みの中で君を探している
居ないはずの君を探している
車窓に君が映ることを
未だ待っている
ぐるぐるぐるぐる
涙はからっきし
ぐるぐるぐるぐる
なんでだっけ、忘れちまったよ
まあ、でも要らないか
こんなにもままならぬ僕には
そんなもの不必要!!
Ah, Ah, oh, oh…
I want you. But,do you want me?
こんなにも半端な僕には
ちょいと重荷すぎるよ
手提げカバンの中の感情が
あちこちに散らばった
焦って、焦って
なかなか拾えなくて
そしたら誰かが
「はい、どうぞ」
と拾ってくれた
ありがとう、と同時に
垣間見えた君の顔
ぐるぐるぐるぐる
泣きたくないなら
ぐるぐるぐるぐる
笑えばよかったんだな
忘れていた、
何もかも置いてきた
あの頃を取りに帰ろう
揺られ、倒され、また揺られ
張り付いた笑顔で泣いていよう
生きたがれ、大人ちゃん
明後日の方向はどっちだ
それから、本当に3時間くらい、ひたすら走り続けた。スタミナを考えてか、蓮華戸さん(仮)は少しゆっくり走っていた(それでも十分過ぎるほど速かった)けど、やっぱり焦りが見える。ルートは大体一直線。少し離れてはいるけど、川に沿って移動してるみたい。
「はぁ……はぁ……、これ、どこに、向かって、るんですか……」
「………っはあ、えっと、ね……、………ッ、『奴』は今どこに!」
言われて双眼鏡を覗きながら後ろを向く。すぐに見つかった。『奴』はもう、300mかそこらしか離れていないところまで近付いていた。
「ああ!もうすぐそこに!このままじゃ追い付かれます!」
蓮華戸さん(仮)はそれに答えず、安っぽい腕時計を見ながら走っている。
「蓮華戸さん!」
「………大丈夫。ギリギリ勝った」
蓮華戸さん(仮)が急に曲がり、川に架かった橋を渡る。何とかそれに対応して、私もついて行く。『奴』の鼻歌のような声が聞こえてくるような気がする。
「だ、大丈夫なんですよね!?」
「……うん、もう大丈夫」
私が橋に足を踏み入れたと同時に、蓮華戸さん(仮)が言う。
後ろを振り向くと、『奴』がすぐそこまで迫っていた。
「ごめん、それ返してもらうね!」
蓮華戸さん(仮)が、さっき私に寄越してから放置されていたマックスコーヒーの缶を引ったくって、『奴』に思い切り投げつけた。それは見事に『奴』の頭に命中し、その足を止めるに至った。
「さあ、これでチェックメイトだ」
誰か…助け、て……
寒い。冷たい。痛い。
…でも、生温かい?
手足の感覚が、どんどん消えてゆく。
なのに、痛みだけは残っている。
俺は今、何処にいる?
とにかく、誰か…
「…い、葵生!」
「……?」
目を覚ますと、知らない男子が横に座っていた。
俺と同じ高校か?
制服が同じだ。
でも、何故、俺の名前を?
「!、葵生。良かった。大丈夫か?」
「……」
「どうした?葵生?」
「君、誰…?」
俺の言葉を耳にした途端、彼の表情が変わった。
三山美咲(みやま みさき)。1人称の子。13歳。バスケ部所属。
特技は絵を描くこと。趣味は絵を描くことと音楽を聴くこと。
勉強はそれなり。一人っ子。
好きな食べ物はまぐろ。嫌いな食べ物は納豆。
好きな教科は数学。嫌いな教科は英語。
江上遥(えがみ はるか)。東京行きたい子。13歳。バドミントン部所属。
特技兼趣味はお菓子作り。休みの日はずっとお菓子を作っている。
勉強は下の上。2歳下に弟、5歳下に妹がいる。
好きな食べ物はピザ。嫌いな食べ物は野菜全般。
好きな教科は家庭科。嫌いな教科は数学。
トントン。私は先生がいる部屋の扉を叩く。
『先生?入ってもいい?』
爆発音とともに、
「ちょっと待て」という声が聴こえる。
5分ほど経つと扉が開いた。
「お待たせ。」
『先生、また魔法の薬学してた?』
「あぁ。少しだけだ。」
先生は魔法を使った薬学を“隠れた専門教科”としている。
先生の使う魔法の薬学はとても綺麗で素晴らしい。
『今日は失敗したの?』
「掛け合わせができると思ったのだが何処かで間違えてしまったようだ……。 片付け、手伝ってくれるか?」
『えぇ。もちろん。その代わり、チョコレートね。』
「わかってる。魔法の事は誰にも言うなよ。」
『もちろん、わかってるわよ。』
私は魔法使いでも魔女でもない。
いや、普通はみんなそうだ。でも私は、夢のような彼の秘密を知っている。
手伝いをしながら彼に問う。
『ねぇ。先生の魔法の事、私にバレたけど何もないの?お仕置きとかさ。』
「君が黙ってるから何もない。私も何も言わない。」
『誰かが魔法を使ったら、“魔法の存在がバレた”って事がバレるんじゃないの?』
「あぁ。もうバレてるだろうな。」
『大丈夫なの?』
「君が秘密にしてくれているんだ。何もないだろう。」
私は“そっか”といい一息つく。
『だいぶキレイになったんじゃない?』
「そうだな。元通りだ。」
『良かった 良かった。』
「そういえば、何か用事があったのでは?」
そう言いながらチョコレートを渡してくれた。
『えっとね〜……。 忘れた……。』
「まぁいいさ。思い出してからまた来るがいい。」
彼はホットミルクを差し出す。
『ありがとう。……魔法の事、先生にお仕置きがなくて良かったよ。』
先生と話したかっただけとは言えなかったが、帰宅のチャイムがなるまで話し合っていた。
甘くて
苦くて
すぐに崩れてしまうけど
もろい訳ではないの
望みを持って
絶望を噛みしめて
踏み出したくて
このままでいたくて
変わりたいけど
変わりたくない
そばにいたい
遠くから見ていたい
ずっと心が左右に揺れて
時々自分を見失うけど
でもまたすぐに帰って来る
君が好きだと
この気持ちの元へ
ほら今も
揺れてる心は密かに
どこかで君を想っているよ