罠、とナツィは反復する。
「あの精霊、私達の前に現れてもすぐに姿を消してしまったでしょう?」
だから逃げないように、人間にも見える状態で捕らえておくの、とグレートヒェンは続ける。
「そして捕まえた所を倒すのよ」
グレートヒェンは得意げにそう言った。
ナツィはふーん、と頷く。
「さすがに1日でかかるとは思ってないけど、罠は複数作るつもりよ」
でも牧羊地なんかに作ると何も知らない一般人に危害を与える可能性があるから、人のいない森にだけ張るわ、とグレートヒェンは言う。
ナツィは黙って聞いていたが、グレートヒェンが話し終えた所でこう尋ねた。
「お前、精霊を見える状態で捕らえておくって言ってたけど…わざわざお前が見えるカタチにする必要ある?」
俺なんて大抵の精霊は普段から見えているし、俺が"アレ"を倒すのならお前に見えなくても問題ないだろ、とナツィは真顔で言う。
「別に良いじゃない」
グレートヒェンはつまらなそうに答えた。
「ちゃんと精霊を倒したか確認する必要だってあるし…それにお前、昼間の時は精霊が姿を現してから気付いてたじゃない」
グレートヒェンにそう指摘され、ナツィはぎくっ、と気まずそうな顔をする。
もうそろそろ緞帳が上がる
やっぱやめようかな、怖気付く僕の
背中を悪戯に思いっきり世界が押した
仰け反って倒れ込んで目を開ける、光、光
数字の羅列・無限の矛盾の連鎖
漢字ばかりで小難しいこの僕です
まるで出来上がった道を歩くだけのよう
期待してたのに裏切られたんだ
出来てないどころか何もなかったんだ
だから僕は僕の世界に鉄格子を
前方にも後方にもバリケードを
でもなんだか悲しくなってきて
去っていく運命の背中をまだ追ってると
なんだか負けた気がするんだよ
「生きてみたいんだよ」
僕を包むその美しい歌声が
命ある者への讃美歌が
パックリと口を開けてる地獄の入口が
まだ生き足りないこの目で睨んでやるんだ
この光の中で 中で 中で
だからさ、止まないで歌声、歌声
お願いだから 生きたいから
知ってる
地に打ちつけられた時に描く世界が
絶望の色が
どんなものよりリアルで鮮やかなことを
知ってる
歓喜の涙を綴った衝動でできてる曖昧な世界が
淡いパステルが主張する声が
どんなものより確かに息をしてることを
1番わかるのは
きょうも平和で愛しくすらある日常のこと。
狸みたいに化かして見して
最速の貴方に逢いに行ったって
ずっと思ってた証明書は何処
地道に進んだっていつも過去しか逃せなくて
揃ったばっかりも続きも何処よ
貴方の悲しみを一緒に背負いたい。
誰かと天国へ行くよりも、貴方と地獄に落ちたい。
裏切られてもいいから信じたい
夕日に伸ばされる、私の影。
影は一本しか伸びていない。
「あ…来たわ…」
”彼”はぽつり、と呟いて、胸を押さえた。
『今日はもう「来た」んだ…早いね』
”彼”は哀しそうに微笑んで、私を見つめた。
「僕が消えるところ、見たくないやろ
帰った方がいいんちゃう」
『見たくない、けど』
『けど、一緒にいたいから』
私がそう言うと、”彼”は恥ずかしそうに頬を染めた。
…ような気がする。
実際には夕焼けの色と混ざって見えないのだが。
「っ…幸せもんやな、僕は」
最後にふっと笑って、”彼”は夕焼けに完全に溶けていった。
私以外誰もいなくなった教室。
その静けさの中で考えを巡らせる。
あの日、私がメモに気づいて、
屋上に行っていれば─
考えれば考えるほど、
”彼”の存在の大切さが心に染みる。
チャイムが鳴った。
今日も私は、一人で帰る。
【続く】
給食終わり、手を洗いに行くといつも一瞬目があうね...
でも、恥ずかしくて違うところ見てるフリする私
そのあとあなたもすぐ前を向き直す
いつも私と話すとき笑顔のあなた
きっと、私もとけるぐらい満面の笑みを浮かべてるんだよな
話していても時々後ろに下がって私をおちょくるね
もうちゃんと話きいてくださいぃぃ、
そういう私は、心から楽しんでいますよ?
あなたの行動全部にときめいて心臓がなります。
私、ちゃんと分かってるよ?
あなたは私を友達としか思ってないことぐらい。
私がみんなに「両思いかな?」ときいて「完璧」と答えられるたび期待する。
本当にそうだったらいいなって....
でも、あともう少しだけ....
貴方も私のことが好きだったらいいなぁ
ってね思わせて......
ここ最近妙な夢ばかり見る
異様に生々しい夢
自分がいて
弟妹がいて
家があって
いつも使っている鉄道があって
どれも夢だと気付けないくらい精巧だった
自分を現実から隔離しようと
己が作り出した檻なのだろうか