時は流れ 日々は少しずつ入れ替わる
かつてはこどもだった私は
気づいたらおとなに呑み込まれて行った
人の縁は巡りめぐり
それでも貴方が繋いでくれたものは
未だここにある
摩訶不思議 あやふやな貴方が
確かに紡いだ糸
貴方と出逢えて良かった
君と彼と彼女とあの子と
出逢えて私は「しあわせ」と「すき」を知った
ありがとう
ほかの言葉で形容出来そうで出来なくて
幸せが一気に押し寄せて来たと思えば
こんどは心がきつく締めつけられる
無限ループ…
わたしが想いを貴方に届けたとしても、
貴方がそれを受けとるとは限らなくて、
それでもほんの少しの可能性に賭けて、
ダメだったとしても、
わたしは、あの娘は、あの人も、、、。
誰かに、恋をする。
前を向かざるを得なかった
強欲でも気に出来ない
どうしても自分が1番可愛くて
そんなあたしが好きなあなたは
この世界の色でしかないから
何も無いところでつまづいた
いや、
ここまで真っ直ぐ歩き続けられていたのが奇跡みたいだ
いや、
その実真っ直ぐなんて程遠い蛇行か
いろんなものを引き摺っている
思い出すだけで自分を殺したくなる後悔や
今でも突き刺さるあの子の眼差しとか
捨てたつもりだった夢だとか
もう覚えてすらいない別れ
夕日が眩しかった場所
歌い損ねた歌
全部全部かかとにしがみついてくる
嗚呼、世界ばかりが美しい
つんのめった足は
誰かが吐いたガムを踏んづけて
いつかの僕もこんなだったな、とか
訳の分からないことを考えて
この空より寒い
明日の無い今日に
ため息をついた
「…っ!」
ナツィは思いっ切り鎌を振って精霊を払いのける。
精霊はそのまま後ずさった。
「厄介な奴」
ナツィはそう言って大鎌を構えた。
「随分と急ね…」
グレートヒェンはそう呟きながら立ち上がる。
「一番近くの罠まで、”奴”を誘導するわよ!」
グレートヒェンがそう叫ぶと、ナツィは微かに頷いた。
そして精霊に斬りかかった。
だが精霊はその攻撃をいとも簡単に避けていく。
「この野郎!」
ナツィは再度飛びかかったが、今度は何かに弾き飛ばされた。
「魔力障壁⁈」
マジかよ…とナツィは宙を舞いながら呟く。
文字通り魔力で出来た防御壁である魔力障壁を野生の精霊が使うだなんて、聞いたことがない。
アレはやっぱり人工物、とナツィは雪原を転がりながら思った。
「そろそろお昼休憩にしようかしらね」
そう言ってグレートヒェンは立ち止まる。
「屋敷の人がお昼を用意してくれるって言ってたし」
そう言ってグレートヒェンはナツィの方を振り向いた。
「一旦屋敷まで戻りましょう」
グレートヒェンはそう言って、今まで来た道を引き返し始めた。
しかしすぐに足を止めてしまった。
「…?」
何か知っている気配がする、とグレートヒェンは思った。
だが辺りを見回しても、ナツィを除けば何もいない。
気のせいかしら…とグレートヒェンはまた歩みを進めようとした。
その時だった。
「―」
突然背中に衝撃が走り、グレートヒェンは雪原に突き飛ばされた。
「!」
その直後、グレートヒェンの背後で金属音が響く。
「ナツィ‼」
振り向くと、ナツィが黒鉄色の大鎌で精霊の攻撃を封じていた。