「あとお前と関わると面倒な事が起こりそうだからってのも」
「うっ」
わたしはうろたえる。
…確かに彼の言う通りかもしれない。
わたしとの関わりによって、彼らにとって不都合な事が起きているのは事実だし。
でもそこまで言わなくても…
「人と関わるかどうかはその人の勝手、こっちが何を思ってもこっちの自由」
他人の思いなんて理解できないし、と黎は続ける。
「自由…」
わたしは思わず繰り返す。
確かに、その辺りはその人の自由だ。
黎はうつむきながらさらに言う。
「他人の感情なんかよく分かんないし、理解できない」
だから勝手に関わられても、基本的にはどうでも良い事、と黎は付け足す。
「でも…」
不意に彼は口ごもった。
わたしは何を言おうとしているのだろうと首をかしげる。
「お前だけは、何か干渉され過ぎそうで嫌…」
消え入りそうな声で彼は言った。
「…」
黎はこちらをちろと見た後、逃げるかのように駆け出した。
「あ」
わたしがそう言う頃には、彼は視界の外だった。
最後の方、何だったんだろ…
わたしは路地裏でただただ呆然と立ち尽くしていた。
ふと思い出した。
君の声と、朝日と、ランドセル。
何で今さら。
「ごめんね」と、夕日と、キュロットスカート。
あの時はまだ分かったつもりだった。
好きも、恋も、青春も。
今が全てだと信じてた。
計算ドリルと、交換ノートと、素直な気持ち。
懐かしい、たった数年前の私が。
たまに痛む、あの頃の失恋の痕が。
あえてゆっくり帰った放課後も、
わざと傘を忘れた放課後も、
何一つカタチにはならなかったけど。
それでもまだ心に残った欠片を、
甘くて苦い、カカオたっぷりの想い出を、
懐かしいと思えたのは、15歳の私。
貴女の怒りに飲み込まれてみたい
きっと燃え盛る炎のように美しいから
僕は貴女に魅了されている
人は何かに必死になることなく生きることなど
どうしても出来ない
でもその必死さの裏では
皮肉な程変わらない暦が流れる
突然の雨に振られて立ち止まる
それを機に空を見上げると
今まで気づかなかった美しさがある
でもそれは必死さがもたらした
美しさなのかもしれない
だからこそ美しさは体に染み込む
そんな雨に生かされていると実感する
LoveとLike合わせたらLiveになるなぁ、、、
盃に額を当てて
つま先の猫に気づきかける
さっぱり分からないこの世の仕組みに
さっぱりわからないわたしの気持ち。
君がいなかったら僕はいない、なんて
そんなこと言える柄じゃない
君がこの世界に、いなくても
皮肉にも、僕は、存在するだろう
この世界には、余った僕がいて
この世界に足りない誰かがいる
ここは誰かがいない世界
そこは僕がいない世界
あそこは君がいない世界
そう、君の世界に僕はいない
それでも僕を探してくれるかい?