表示件数
0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ④

「よくどちらの異能力が優れているか競争をやっているんだが、今度はそれにお前さんも協力して欲しいって話なんだ」
わたしが?と言いながら、わたしは手渡された”果たし状”に目を落とした。
そこには綺麗な字で最近2人の間にケンカがあった事が書かれており、後半には”直接対決しましょう”と少し物騒な事が書いてあった。
「えーと、『今度化かし合いで本当の決着をつけましょう』って…」
「ま、アイツはわざとらしい所もあるからなぁ」
師郎は苦笑する。
「で、この対決を手伝って欲しいんだけどさ」
今度の土曜ヒマ?と師郎は尋ねる。
「いやそれはともかく」
わたしは気になる事があったので、少し質問する事にした。
「何でわたしに手伝いを?」
ネロ達でも良いんじゃない?とわたしは聞く。
「あーそれは…」
師郎は笑いながら頭をかく。
「ネロ達も審査要員として入るんだけど、アイツが『異能力を知ってしまった一般人に会ってみたい』って言いだしてさ」

0

本物

本物の愛はどこにあるのかもわからずに、
秩序という枠の中に感情をはめていく。
柔軟剤の香りはわるくないけれど、
そこに本物は見当たらないのと同じこと。
本物を名乗っていてもからっぽなものは、
ずっとそばにいても、
温かくはないのね。

0

Platonic Company

冷えた手を
縋りに来た人たちがいるの
私には
変なプライドがあるの
ただただプラトニックに
なんの意味もなく
ぴとりと着いた細胞で
血管が芽吹いてしまったの
まだ
何もわからないけど
私を癒すために
期待していたくて

0

バックにいれる

その大切ななんかを
カバンにしまってる
大事そうに抱えてる
見せちゃくれないよね

ポテトくわえて待ってる
いつかハマっちまうのに
僕は壁に手をついてる
君をまって笑ってる

0

ドクター=ファンクビート

ここには少し不思議な医者がいるらしい
自分のことを「大天才」と言っている医者だ
その名は「ドクター=ファンクビート」
診察が終わり、診察室を出ていく患者に彼は言う
「お幸せにどうぞ」

0

こんな時間に帰りたくはないの、


あなたへの言葉を探している
そんなにまぶしく笑わないで
もう、会えなくなるのに
一緒になんてやさしい言葉、僕に言わないで

0

いちご大福

寝ぼけた頭で浮かべた
あなたのいちご
きっと食べ時が悪かったの
だってそうじゃないと
報われないのは嫌よ

0

神っぽいな

「この世に神はいないのか」と嘆く者がいる
人々は神を探し続ける
シスターの格好をした少女が呟いた
“Gott ist tot”

1

なんにもない

なんにもない
やることはあるけど
心の中はなんにもない
なにも思えない

朝起きてごはん食べて
ぼーっと高校野球見て
そのあとごはん食べて
また高校野球見ながら
仕方なく宿題して
わかんなくて
でも「わからへん」の言葉は
空っぽの部屋に響くだけ
『打ちました!タイムリー2ベースヒット!』
「すごいやん」だって
「ほんまに?!」が居ないから
行き場を失って口先で萎れてく

なんにもないのが
心の中になんにもないのが
自分を透明にしていくようで
正直、怖い

いつか いつか 私の心が
なにかでいっぱいになりますように