「ここって…」
そうわたしが言いかけたが、ネクロマンサーは不意に何かを呟いた。
「…いるんだろ?」
そう言いながら、ネクロマンサーはどこからともなく具象体の鎌を出す。
「…隠れても無駄だっての‼」
そう叫んでネクロマンサーは何もない所に飛びかかった。
すると、何もない所から誰かが転ぶ物音と共に人が現れた。
「…え?」
わたしは思わず声が出てしまった。
なぜなら、そこに現れたのは…
「いてて…」
先週駅前で出会った高校生が、目の前で転んでいた。
「えっと…どういう事?」
「え、何知り合い?」
わたしの発言に対し、ネクロマンサーは訝し気な顔をする。
ぽかぽかと辺りを太陽が照らす昼下がり。
足音だけが路地裏に響いている。
わたし達5人は、謎の気配を追っていつの間にか商店街の裏路地に入り込んでいた。
「これ、本当に見つかるのかな…?」
何だか不安になって、わたしは思わず呟く。
「お、ネクロとコマイヌの異能力を疑ってるのか?」
師郎がわたしの顔を覗き込む。
え、いや…とわたしは答える。
「時間がかかってるから…」
「ははは」
しゃーないしゃーない、と師郎は笑った。
「人探しをする時は時間がかかって当然だから」
のんびり待つしかない、と師郎は続けた。
わたしは…そうなの、と答えるしかなかった。
それから暫く歩く内に、ネクロマンサーとコマイヌは立ち止まった。
わたし達も続けて立ち止まる。
見ると路地の行き止まりだった。
帰って来て、一言も今日の話をしないのが、君が限界な合図。
「お疲れ様。こっちおいで」
「……」
素直に来るから、君は本当にかわいい。
ぼくは君にそっとブランケットを掛ける。キミが頭からつま先まで、すっかり隠れるくらい大きなブランケッと。ふかふかでふわふわで、兎みたいなブランけっと。
キミの、頭も、手も、足も、全部かくして。そうして、包み込む。やさしく、でもしっかりと、ぼくの心がキミの心にとどくくらい。
「……」
やっぱり、震えてるね。でも、もうだいじょうぶだよ。ここにはぼくとキミ以外、だれもいないし、このブラんけっとで包んでるから、誰もキみをみれやしない。
「……」
落ちついてきたかな。ふるえが止まったね。そろそろ明かりをけそうか。いつでも出てきていいよ。
「……」
むささびみたいだ。ほんとうにきみはかわいいね。
ぼくはきみに、とっておきのえがおをぷれぜんとするよ。ここあにとけたましゅまろみたいな、とっておきをね。
さあ、もうねむれるね。
おやすみなさい。
「企てる」という字は人が止まると書く
悪いことを考えているうちは人は前には進めない