表示件数
0

空の青さを知る君は明日海へ行く

舞は少しがっかりしつつ、ゆっちにまた心配されてはいけないと、話を別の話題に変えた。おかげで、放課後には鼻歌を歌うほど、気分は爽快だった。しかしそれは、帰り道に頭上をはやぶさのごとく通り過ぎた戦闘機の爆音にかき消された。

0

軽犯罪

重い荷物
・抱きかかえて殺すために寝る
・背負って生かす

私は罪を犯すということ
貴方は自分に罪を与えるの

0

泡となる

ある海に 異形頭で鱗の欠けた人魚がいました
その人魚は 周りの人魚たちにからかわれていました
ある日苦しみが限界に達した人魚は
涙の雫をこぼしながら 泡になりましたとさ

0

チミツ

細やかに練られた秘密が
とても甘いのを知ってる?

パパやママにさえ 知られない
バカなままでいま 味わえる

くだらないダジャレでも
感じるようになる もうじきに

ハチミツみたいさ 悪戯なsweet/sweet
服、似合ってるよ かなり素敵

つき刺して その先へ
振り出しへ 戻ったって
打ち明けて ボクに 秘密
浮き足で 踊っちゃって

細やかに練られた秘密が
とても甘いのを知ってる?

ハチミツみたいさ

0

空の青さを知る君は明日海へ行く

「いいね!行こう!歌いまくって舞の気分あげちゃうぞ〜!お…。…。あ、私、今日、家の片付けあった…」
ゆっちは、笑顔から一気に申し訳なさそうな顔になり、舞を見た。
「そういえば、ゆっちの地域、この前の空襲ですごい被害受けたんだっけ」
「うん…まだ瓦礫とか片付いてなくて、あはは…」

0

空の青さを知る君は明日海へ行く

2xxx年日本
科学が進み、グルーバル化が進み、人々はより、豊かで平和な暮らしをしていた。
ならば、どんなに良いことだろうか。
しかし、世界はそう簡単にまわらないものである。
歴史は繰り返す。戦争も繰り返す。あたりまえという感覚に痺れて。

「舞!おっはよ〜!!この前の空襲、びっくりしたね!!」
「おはよ〜ゆっちはあいかわらず、朝から元気だね〜」
「そういう、舞は最近ずっとなんか、怒ってるように見えるけどどうしたの?」
「別に〜なーんも、月曜日だからだよ、きっと」
そう、舞は最近、確かにイライラしていた。しかし、なぜなのか、自分にもよく分からなかった。舞はゆっちの声に起こされるように、重たい頭を机から離し、ぼんやりと教室を見渡した。朝から昼のテンションでじゃれる男子、机に突っ伏して軽くいびきをかく人、宿題を忘れたのか青ざめながら、声をかけまくっている人、廊下では、他のクラスの女子が固まって何やら、アイドルの話をして盛り上がっている。
何気ない日常。
でも、そんな何気ない日常は、窓をカタカタと揺らす風と爆音で一瞬消え去る。全員が一瞬窓の外を見、再び視線を戻す。
「あ、舞、見て見て!まただ、さっきも飛んでたんだよ、あの戦闘機、最近、よく見るな〜」
そう、舞のイライラの理由はそれにもあった。
今、日本はとある国と戦っていた。気がつけば早6年が経過していた。正確に言えば、日本のある領地に攻めてきたところを守っている、らしい。どちらでもいい。こんな、戦争早く終わってほしい。日本が徴兵制を復活させてから、何百年。過去には第三次世界大戦とか、色々あったらしい。そして、今起こっている、戦争のおかげで舞含め全員がそこそこ楽しみにしていた春の合宿が中止になった。その他にも空襲のおかげで、様々なことができなくなった。この前だって…
「ねぇ、舞?ねぇ、大丈夫?」
舞はゆっちの声でハッと我に返った。その瞬間、一気に周りの雑音が耳に入ってきて一瞬世界がぐにゃりとした。
「ごめん、ちょっとぼっーとしてた。」
「そう?なんか、ものすごく怖い顔してたから、心配しちゃった。何かあったら、なんでも言ってね。あまり、役立たないかもだけど。」
「うん、ありがとう、そうだ!今日放課後カラオケ行かない?」

0

おとなる

大人んなってしまったか?
もしかしてそうかも

音 鳴りだしてしまったら
ボクはまた子ども

ボクとキミはドキドキ
ヒーロー 敵を八つ裂き
ま、出来やしないけど

大人んなってしまったか?
もう戻れないと思うけど

音 鳴りだしてしまったら
うまく巻きもどるんだなー コレが

ようやく人に成った
ようやく人に成った
そうは言えどもなんか
まだまだひとでなし

0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 9.エルフ ⑰

「…まぁ、とりあえず」
話がいったん落ち着いた所で、わたし達の間に耀平が割って入る。
「もう黎のことつけないって事で良いですかね?」
そう聞かれて、恵梨さんははい…とうなずいた。
「すみませんでした」
「分かったんならそれで良いんだよ」
もうつけてくるんじゃねぇぞ、とネロは念押しした。
「…じゃあ、わたしはこの辺で」
恵梨さんはわたし達に一礼すると、駅の方に去って行った。
「これで一件落着かな~」
去って行く彼女を見送りながら、ネロは伸びをする。
「ま、そうだろうな」
あれ程言っといたんだから大丈夫だろ、と耀平はうなずいた。
「んじゃ、俺達も行くかね」
師郎がそう言うと、だなとかだねーと言って、後の3人は同意した。
そして彼らは歩き出した。
「あ」
わたしも…と言って、わたしは彼らの後を追いかけた。

〈9.エルフ おわり〉