自分にとって好きってなんだろう
ほんとに自分はあなたが好きなのかな
分かんないや
私は絵を描くのが好きだ。
へたっぴでちっちゃい絵。
誰も気に留めないけど、私が好きだからいいんだ。
そう、思っていたのに。
私の絵に救われたと言う人がいる。
いつもありがとうと。
その言葉に私がどれだけ救われているか。
きっとその人は知らない。
言葉にしても上手く伝わらないでしょう?
こういう、気持ちって。
でもね。これだけは言わせて。
本当に、いつもいつも、ありがとう。
うんざりするほど自分と向き合った後に見上げた空は、今にも泣き出しそうで。
それでもどこかに太陽を探している自分に気づく。
綺麗事ばかり言っていられない世界で、綺麗事のような願いを隠す。
雨は降り出す。
こんな、ばかみたいな私じゃない、“何か”になりたかった。
例えばあなたのように。
あなたは私のヒーローだから。
私だって、
私だってあなたみたいになりたい……!
こんな詞(うた)じゃ何も変わらない。
それでもキミのために詠い続けたい。
だってこんなにも、世界は美しいのだから。
空は晴れたよ。
まただ。また、聴こえる。
ショパンの雨だれが。
どこからか聴こえる。
美しく、どこか切ない音が
私の心に雨を連れてくる
音が降ってくる
傘も差さずに
あなたは音の中に立っている
私はただそれを見つめている
ひたすらに美しいあなたを
私はあなたのピアノに恋をした
「降参だ」
やっぱり、お前らには勝てないやと彼は顔を上げた。
その目はさっきのように光っていない。
「でも2方向から挟み撃ちにするのはずるいと思う」
「は⁈」
円の発言に対し、ネロは声を上げた。
「別に良いじゃねぇかそれ位!」
「そうだそうだ!」
ネロの言葉に耀平も賛同する。
「お前だって異能力が強力過ぎるじゃないか!」
「は? 仕方ねーだろ‼」
やがてネロと円は言い合いを始めてしまった。
どうしたら良いのやらとわたし達は見ていると、向こうから声が聞こえた。
「ちょっと円!」
円がぱっと声がした方を向くと、そこには円と同い年位の、彼によく似た少女が立っていた。