ふと見ると、”彼ら”と一緒にコバルトブルーの服を着た少年がいる。
「あれ? 今日はミツルもいるの?」
わたしが思わずそう言うと、ミツルはちょっと手を挙げた。
「よっ」
元気か、とミツルは笑いかける。
「まぁ相変わらず」
「そうかい」
ミツルとそんな会話を交わした時、ふと見慣れない少女と目が合った。
「あら」
明るい茶髪を高い位置で束ねた背の高い少女はそう微笑んだ。
「…久しぶりね」
そう言われて、わたしはポカンとしてしまう。
「え、えーと?」
どちら様でしたっけ…とわたしは尋ねた。
「あら、覚えてないの?」
わたしの様子を見て、少女はふふっと笑う。
幼い頃 夏祭りが大好きだった
でも 花火がはじける時の大きな音は怖かった
今は 花火を打ち上げる夏祭りが身近にないから何か物足りない
何も咲かない暗い空に向かって一人
「たーまやー、かーぎやー!」って叫んでやる
こうしたら空も寂しくなくなるでしょ?
分かれ道に差し掛かる。選んだのは、奥にアパートがある左の道。アパートの2階への階段を駆け上がり、元来た方へ振り返る。
気配の正体はアパートのすぐ前まで迫っていた。濃紺のがさがさした毛皮、身体中についた縦長の瞳を持った眼球、人間のそれを思わせる数対の腕、道路の幅いっぱいに詰まるほどの巨体を持った、見るからにこの世のものでは無い化け物が、全ての眼を私に向けていた。
(……あんな大きな化け物だったのか……。最悪、ここで何とか躱せないかと思ったけど、あいつの大きさ的に無理かな……)
化け物はアパートの前で立ち止まって、私の方をじっと見ている。あんな執拗に追いかけてきた割に、意外と敵意が無いのか?
そう思っていたら、突然化け物が腕を何対かこっちに伸ばしてきた。2階の廊下を走り抜けて回避したけれど、行き止まりでこれ以上逃げられない。さあ、覚悟を決めろ。
「……よし、来いっ」
化け物が残りの腕もこっちに伸ばしてきた。タイミングを合わせて廊下の手すりを乗り越え、化け物の背中に飛び降りる。化け物の背中は意外と弾力があったとかそういうのは良いとして、何となく気持ち悪かったので目玉を避けて背中を飛び降り、家の方に逃げた。あの身体の大きさならすぐに追っては来られないだろう。
家の前では相変わらず黒い人影が待ち伏せていたので、素通りして入り組んだ住宅地に繰り出した。狭い道の多いこの辺なら、あの化け物は上手く追っては来られないだろう。
そう思っていると、またオバケに会った時の感覚が全身に走った。びくっとして周囲を見回したけれど、周りに嫌な気配は何も無い。
「……あれ、もう終わり……?」
恐る恐る家に引き返してみたけど、何もいない。
「何だったんだろ……」
とりあえず、さっきあったことは忘れて家に入った。何も起きない。やっぱり家はリラックスできる場所じゃ無きゃ。
恐らくちょっとした
楽しいくらいの病気だったんだろう
青い熱に侵されてふらふらとした足取りで
気付けば君の家の前
「幽霊か何かみたいだね」
ってあの時君は笑ったね
でも行き先を失くしたナビゲーターは
今でも君に取り憑かれてる
今はあの日と同じ8時45分
君が来ないのは道に迷ってるに違いない
未だにそう思ってるんだ
日傘で隠れた君の気持ち
まだあの瞳と目が合わない
日差しが君を狙ってる
そう思ってたのに「僕が怖いの?」
答えが聞こえないよ
あぁ、
誰か太陽を喰べて
溶け出して落ちた雫が何なのか
僕にはもう分からないから
恐らくちょっとした
悲し過ぎるくらいの病気だったんだろう
インターホンが僕に喋りかけてる
「サヨナラ」って告げてる
君は何も悪くない
そう、君は悪くない
とりあえずこのインターホンは
とりあえずこのインターホンは
壊して走り去ろうか
もう会えなくて悲しいけど
壊して走り去ろうか
『うだるような暑さ』という名の先行予告はものの1週間で日本中を震撼させた。
今週は『戻り梅雨』という衝撃の特報が公開され、またしても日本中を巻き込んでいく。
人々が次々にこの<夏>に熱中していく。
今年は一体どんなロングランを、興行収入を記録するのか…
映画<夏>製作委員会の皆様へ
激アツな名作を期待しています!