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薔女造物茶会 Act 12

「!」
待ちなさい!とピスケスが駆け寄ったが、地上にはロザリーの姿はなかった。
「透明化魔術…」
逃げやがったわね、とピスケスは呟く。
「…追いかけないのか」
ナツィがピスケスにそう尋ねる。
「そうね…」
ピスケスは暫くその場で考える。
「…あの子達がいるから、今回はパス」
どうせ学会の人がどうにかやってくれるでしょうし、とピスケスは自分の後ろに目をやる。
ピスケスに付いて来た3人は気まずそうな顔をした。
ナツィはため息をつく。
「…何でついてきたんだよ」
ナツィにそう言われて、露夏は別に良いじゃんと呟く。
「ピスケスが行くわよとか言うから」
「何だよそれ」
その様子を見て、ピスケスはふふふと笑う。

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自分、高校生

自分、高校生 学生やってます。
当事者からすると楽しくないです
でも人生たぶん「そんなもん」だから。
なんて知らない癖に語ります

「わからない」だらけですが何ですか?
「知らない」ことは恥ですか?
「間違えました」を言えない大人のほうが
みっともないと思います

自分、高校生 青春やってます。
当事者からすると大変です
でも人生たぶん「こんな感じ」だから。
なんて若い癖に語ります

「恋」に論理なんて求めません
「愛」まで深くもないかもしれません
「愛してる」を軽く言わないからこそ
味わえる酸っぱさもありますよ


青くて甘くて幼い僕らを
どうぞ嗤ってください ご自由に

ただ僕らは真っ直ぐです
だから 生きているんです
なのに 生きているんです

矛盾こそ 愛そうと。



自分、高校生 今日も語ります

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ユーラシア大陸縦横断旅15

ここはラオスの首都でありタイとの国境の街でもあり、メコン川に面した交通の要衝、ビエンチャン
中国行きの高速列車出発までまだかなり時間がある
中国に入ればGoogleやYouTubeといった俺がスマホに入れたアプリの大半が使えなくなる
だから、基本的にはモンゴルのザミンウード到着までは手持ちのカメラでの写真撮影がメインになるので、充電しておく
中国人の友達に事前にお願いして昆明で合流してもらうことになっている
さて、出発2時間前だ
中国式のシステムの鉄道だと、色々改札システムが面倒だから国際線のフライトに乗る要領で駅に行かないといけない
だから、俺たちは出発の3時間前から駅にいる
ちらっと隣を見たら彼女は少々不安そうだ
一方、俺は憧れの長距離列車に乗れると知ってめちゃくちゃワクワクしていた
手続きが終わって乗り込んですぐに列車が動き出す
え?
京急の快特の横浜以南と変わんないな?
あっ…ラオスも雲南省も山がちだから制限速度がキツいのか…
まぁいいか
寝てればすぐに昆明だろう

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ユーラシア大陸縦横断旅14

結局、彼女の要望通りチャオプラヤ川を遡るように川沿いの鉄道を北上してアユタヤへ行くことに
結論から言うと、この選択は間違っていなかった
バンコクからラオスまで行くなら、アユタヤを通るからな
そして、可愛い彼女の無邪気な横顔が見られて幸せだなぁ
でも、やっぱり俺の故郷、東京ではまだまだ発達途上だがバンコクでは普通に発達している通勤手段である市内巡回船に乗りたかったし、タイ王国が誇る前国王、プミポン様の霊廟もお参りしたかったけど、ここは妥協して正解だな
旧日本街の跡地の公園で2人揃ってまるで童心に戻ったかのようなレベルではしゃぎまくって楽しすぎて、最後2人とも泣きながらアユタヤを後にしたなぁ
さあ、いよいよ明日には一気に中国、広州まで行けるぞ〜

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ユーラシア大陸縦横断旅13

ハットヤイの街を抜けてすぐ、進行方向右側に湖が見えた
「あの湖ってどこに繋がってるの?」彼女は見たことないものを眺める5歳の子供のようにはしゃぎながら尋ねる「アレか?アレは、ソンクラーの街に繋がっていて、そこから海に繋がっているよ。」「ソンクラーって、かつて日本軍が上陸したシンゴラのこと?」「そうだね。まぁでも、シンゴラはタイの領土だからタイ語ではソンクラーという名前になるね」「山田長政が最期を迎えたパタニーってどの辺?」「シンゴラの南さ。俺たちは西海岸に近い内陸部からタイ入りしたけど、東海岸に沿って北上するとタイに入って最初の街なんだとよ」「私が歴史好きなの知ってるでしょ?だから、山田長政ゆかりの土地行きたかったなぁ…」「センセープ運河の船乗りたかったけど、君のためならプラン変えるよ。ただ、アユタヤとバンコクって距離があるからアユタヤだけでいい?」「距離ってどのくらい?」「東京から函嶺洞門くらい」「箱根駅伝で喩えないで(笑)」「博多から下関くらいって言えば分かるかい?」「意外と離れてるんだね」「だから、アユタヤ行ってたら市内観光してる時間がないんよ。まあいいか、近代的な都会なら俺の故郷、シンガポール、KLの街並み見たんだし」「東京出身者は羨ましいなぁ…」「でも、君が俺の隣にいなくて故郷の福岡県にいたから俺、夕陽見るのがつらくなってたんだよなぁ」「そっか…東京から見たら福岡って西の方だから、まさに日が沈む方角か〜」
そんなやり取りを経ておよそ10時間、チャオプラヤ川をまず渡り、チャオプラヤ川に繋がるような構造で張り巡らされた運河を渡った。
そして、着いたのだ
正式名称がべらぼうに長くて全部言えない街、バンコクに!

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ユーラシア大陸縦横断旅12

朝飯はマレーやインドネシアでよく食べられているブブールというお粥に決定
そして、列車に乗り込む
「Любимый(ロシア語でパートナーを呼ぶ時に使う言葉、ただし女性が使う)、昨日は色々迷惑かけてごめんね。疲れちゃったんじゃない?」
「気にしないでくれよ。一昨日の昭南島滞在の方が頭使って疲れたから大丈夫さ。」「え?昭南島?シンガポールのこと?」「そうだね。これがその写真さ。古戦場のブキテマ高地、それから2・15の交渉が行われたフォードの工場跡とか色々あるよ。そうだ!昨日のKL、そして今朝撮った君の可愛い寝顔の写真も見るかい?」「寝顔は消してよ〜(笑)」「こんな綺麗な彼女の寝顔を消せなんて、流石に酷だろ」「そんなに綺麗だった?」「バシー海峡に沈む夕陽よりも綺麗だったけど?」「バシー海峡って?」「台湾とフィリピンの間の海峡さ。俺、KLを訪れてからおよそ2年半後に台湾島の最南端に位置する墾丁というリゾート地を訪れたことがあるんだ。その時に最南端の岬で夕陽を観たんだ。これがその写真ね」「糸島の海みたい」「まぁバシー海峡も玄界灘も東シナ海と繋がってるから同じようなもんだしな」
そんなやり取りをする2人を乗せ、およそ16時間かけてクルンテープまで向かう

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ユーラシア大陸縦横断旅11

まだ暗いのに、外で鳴り響く放送で目が覚めた
何の音だ?
よく聴いてみれば、イスラム教の礼拝時間を告げるアザーンだな
ここはまだイスラム圏のマレーシアだし、この宿の近くにモスクがあるから、普通に聞こえるな
夜明け前か
なんだ、アレ?
向こうに見えるのは…税関の建物?
ということは、本当に国境の街だったのか
到着時は真っ暗で分からなかったなぁ
確か、列車遅れて到着が日付変わる直前だったし、KL着いてから彼女、ほとんど寝てないよな
それだったら、あの子も疲れてるよなぁ
もう少し寝かせてあげるか
空が中央線快速、いや讀賣巨人軍の色になってる
となると、日の出か
写真、撮るか
朝日や夕焼けよりも彼女の寝顔の方が画になるって友達がよく言ってたけど、本当そうじゃないか
そんなことを思ってたら彼女も起きた
よし、これからセンセープ運河の船乗りに行くか