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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 14.ヌリカベ ⑬

その様子を見て歩き出した時、ふと視界に見覚えのある4人組が目に入った。
「あ」
わたしも相手方も、思わずそう呟く。
「…」
目が合うと、両者の間に微妙な空気が流れた。
「…何だよ」
最初に口を開いたのは、4人組の1人、小柄な少女ことネロだった。
「何って…」
「いや何か用かよ」
ネロはジト目でこちらを見る。
「用って…特にないけど」
「あっそ」
わたしが言い終わる前に、ネロはそう吐き捨てた。
「て言うか珍しいなお前」
おれら以外の人間と一緒にいるなんて、と黄色いTシャツの少年…耀平が言う。
「友達か?」
そう耀平に聞かれて、わたしはうんとうなずく。
「友達、わたしのクラスに転入してきたばかりなの」
わたしがそう言うと、坂辺さんは恥ずかしそうな顔をした。

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ユーラシア大陸縦横断旅54

朝霧に包まれたロンドン、ウェストミンスターから朝6時を告げる鐘が鳴り響く
各自着替えを事前に済ませ、手荷物を持ったまま一階に降りて朝食を取る
「イギリスの朝と言えばBangers&mash だと思ったんだけど、流石に重かったかなぁ」
「Bangers&cheeseが朝のメインかなぁ…Mash は昼とか夕方のイメージだね」「それ、先に言ってよ」「やっぱり2人とも訳わかんないこと言ってる」そんなやり取りをしていると、待っていたダブルデッカーバスが来た
「方角的に左がウェストミンスターだね」「あと、トラファルガー広場もな」「トラファルガーって、ナポレオン戦争でフランスを破った海戦の勝利記念広場?」「そうだよ。懐かしいなぁ…初めてその広場行った時、俺は前日の香港からの乗り継ぎ便の座席ポケットに帽子しまって置き忘れたから母さんの帽子借りて写真撮ったんだ。」「なるほどね。だから、あの時帽子好きの君が帽子被ってなかったんだね」「実はそうなんだよ」俺達は思い出に浸る
「忘れっぽい所があるのは意外ね。まぁ完璧志向なのにそう言う抜けてる所があるのも人間味があって好きなんだけどね」そう言って彼女が笑ってる
「あっ…もうそろそろだね」「そうだな。右にキングスクロスってある看板見えたから」
「駅名言われても私にはさっぱり分かんないや」
「俺の脳内地図がダメになった時に備えて頭の中に地図くらい入れといてくれよ。まあ、そうやって抜けてる所があるから俺の彼女は可愛いんだよなぁ」「「あなた(君)が完璧を求め過ぎるだけや(だ)ろ」」「マンナル湾は必要ないっての」「「正論とセイロン島を掛けるんじゃない!」」
辛辣なツッコミが入ると同時にチューブの駅が見えた「Euston…ここなんでしょ?」「そうさ。僕が発券するから、荷物持っといて」「任せとけ」
三者三様の台詞を放ち、新宿の南口やソウルの龍山を彷彿とさせる見た目の駅舎に入る
そして、ウェストミンスターから7時の鐘が鳴る

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やっぱり優しくて頼りになる主人公。

『だって…君と俺はもう繋がったんだから。』
これだけでも伝わります。優しくて、頼りになる主人公だと。
すごくめんどくさいメンバーをめんどくさがらずに対応して、敵にも優しい時があるし、やっぱりかっこいいです!
世界一優しい主人公かも(笑)

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ユーラシア大陸縦横断旅53

宴の後片付けも済んだ午後11時、幼馴染に質問を飛ばす
「明日はどこ行く?」「そっちは行きたい所ないの?」「バローなんだけど」「北イングランドにある造船の町かい?」「そうそう。あの町は日本を守った軍艦の故郷なんだ」「その軍艦に乗っていた司令官の孫弟子を自称する君なら行きたいと言うだろうね。」「孫弟子?確かに言われてみればそうだ」
そうやって男2人、談笑していると彼女が口を挟む
「私、行き方分からないんだけど」「EustonからLancaster経由だろ?」
そう言って確認を取る「そうそう。ただ、往復に時間かかるよ」「まぁ仕方ないさ。マージー川越えて北上しなきゃいけないし、それでいてあの町空港無いし」「ロンドン行きの国内線が飛んでる最寄りの空港、マンチェスターなんだよね…」「そうそう。ランカスターには空港無いし、マン島やベルファストまで行けば確実なんだろうけど、生憎そのどちらにも船出てないしな」そこまで男2人が話の主導権握っていると彼女は「地図が頭ん中ないからさっぱり分からん」と言って頭を抱える
それを見て「嘘だろ…」と言って俺も頭を抱える
「確かに、君は地図と国旗が昔から好きで何度も見ちゃう何となく頭の中入っちゃってるからなぁ」と言って幼馴染が笑う
「昔は鉄道が好きで、そこから派生して地図と歴史が好きになったんだ。昼は一緒に地図を見ながら、あるいは実際に街歩きをてそこに載ってる土地の歴史の話を楽しみ、夕焼けを2人で眺めて夜は2人で夜景を堪能する。それが俺の理想のデートなんだよなぁ」昔を懐かしむように言うと、「それ、付いていける人少ないよ」と幼馴染が苦笑いを浮かべ、「レベルはかなり高いけど、上手くやっていけるの私しかいないね」と言って彼女も苦笑いだ
「そうそう。君しかいないんだよ。」と言って頷く
「そう言えば明日は早いし、そろそろ寝た方が良いんじゃない?明日の列車8時半だからね。先に寝るよ。おやすみ」そう言って幼馴染は自室へ戻る
「窓開けて換気したら寝ようか」そう言って窓を開けると窓の外に霧の向こうに満月が浮かぶ。感慨深くなっていると、思い出と今を繋ぐ鐘が日付が変わったことを告げる