「⁈」
突然精霊が吐いた火球を避けようと、赤髪のコドモはアパートの通路の床を転がる。
その時、帽子が落ちて犬のような耳が露わになった。
「人工精霊風情が…」
女はゆっくりと立ち上がりながら言う。
「お前達、やってしまいなさい!」
女がそう言うと、アパートの外に精霊達が何体も集まってきた。
「やべ…」
赤髪のコドモがそう呟いた時、精霊達の内の1体に矢が貫通した。
「⁈」
矢が貫通した精霊は静かに消えていった。
「な…」
女が呟きかけた時、アパートの通路の柵にばさりと白い人影が舞い降りた。
「うふふ」
白い翼が生えた青髪のコドモは微笑む。
「油断しているのはあなたの方よ」
こつ、と青髪のコドモは通路の床に飛び降りる。
・二つ名
異能者が自称したり他の異能者から呼ばれたりする異名。どこかの異能者が「何かかっこよくね?」みたいなノリで付けたところ、他のノリの良い異能者たちも便乗し始めた。現在では全異能者のうち、実に6割が二つ名を持っている。そのうち半分程度は他の異能者にも知れ渡っている。基本的に支配者レベルの異能者の二つ名には「王」「皇」「帝」「神」などの文字が使われることが多い。それより下の位階の能力者がそれらの文字を使った二つ名を名乗ると、よほど実力が無い限りは表で陰で思いっきり叩かれる。実際の支配者の人たちは王や神なのでそんな細かいこと気にしないでくれることも多い(たまに狭量な人も居る)。
能力詳細
・各位階は具体的に何ができる?
観測者にできるのは良くてせいぜい能力対象と意思疎通ができるようになるところまでです。その結果、対象が意思と自ら動作する能力を持つ場合は、もしかしたら交渉して望む行動をしてもらえるかもしれません。
干渉者にできることは簡単に言うと「動作の依頼、定義への干渉」です。飽くまでも「依頼」であり、絶対に言うことを聞いてくれるとは限りませんが、無生物や概念相手でも使える上、あまり大規模な動作でなければ基本的にはやってくれます。また、能力対象になるためには干渉者以上の位階が必要です。
指揮者にできることは簡単に言うと「操作・使役」です。ある程度の強制力があります。支配者級の異能者に妨害されない限り、その指令は基本的に実行されます。干渉者以下にできることも大体できます。
支配者は何でもありです。以上。
たとえば「霊体」が対象だった場合、観測者はそれらを認識でき、おしゃべりも可能かもしれません。干渉者は彼らに触ることができ、もしかしたら軽く追い払ったり呼び寄せるくらいできるかもしれません。幽体離脱とかもできるかも。指揮者は彼らを使役できます。召喚したり祓うことも可能です。支配者は霊絡みでさえあれば何でもありです。
この世界観、設定で何か書いてみても良いよって方がいたら、書いてやってください。タグに「理外の理に触れる者」と書いていただければ幸いです。
異能設定
肉体年齢3歳以上の人間または人外存在に、大体2d6振って6ゾロが出るのと同じくらいの確率で何の前触れもなく唐突に発現する。人外存在の場合は若干確率が上がり、人間の倍くらいの確率で発現する。平均して学校の1クラスに1人か2人はいるくらいの確率。
能力名は以下の2要素によって説明される(「○○の●●者」みたいな感じで)。
・能力対象
異能で干渉する対象。1d100でファンブルするのと同じくらいの確率で同じものを対象とする異能者が現れることもある。
・位階
干渉の程度の強さ。4段階に分かれる。能力の強制力は上の位階ほど強く、能力同士が干渉した場合、より高い位階の能力が優先される。
能力の使用には代償が必要で、基本的には体力の消耗という形で処理される。稀にそれ以外の方法でどうにかしている能力者もいる。位階が上がるほど代償は大きくなるが、その分できることの幅も大きくなる。
また、能力を使い続けることで上の位階にランクアップすることもあり得なくは無いが、一つ位階を上げるためには普通にやったら大体数百年から数千年の年月が必要なので、人間には基本的に不可能。それこそ時間の異能者でも無ければ無理。ランクは以下の通り。
観測者:最も低い位階。対象を知覚認識する異能。所謂「霊感」「未来予知」「読心」などはこれに当たる。能力者全体での割合は2d6振って4以下が出る確率と同じくらい。
干渉者:2番目に低い位階。対象に触れ、その動作に干渉する。できることはあまり多くは無いが、能力使用による代償も少ない。能力者全体での割合は2d6振って5~7が出る確率と同じくらい。
指揮者:2番目に高い位階。ある程度の強制力と威力を以て能力対象を操作するもの。能力使用時、改変の規模に比例してより大きな代償が必要になる。能力者全体での割合は2d6振って8~11が出る確率と同じくらい。
支配者:最高位階にして能力の完成形。指揮者以下にできることは大体できる上、絶対的な強制力を持っている。威光による命令であるため、代償も存在しない。能力者全体での割合は、2d6振って6ゾロが出る確率と同じくらい。
朝の待ち合わせは歩道橋の真ん中。
どこの高校生カップルだよっていまだに思う。
馬鹿にしてるわけじゃないよ。
ロマンティックねって褒めてるんだよ。
今日は泣いてばかりの君に
そろそろ嫌気がさしてきたから
僕のわがままに付き合ってもらおうと思う。
まるで漫画みたいに、学校をすっぽかして
遊びに行くんだ。
遊園地の人混みは論外、海なんてベタすぎる。
映画館、が良いと思うんだけどどうかなぁ。
平日はほら、安くなるしさ。
制服で映画っていうのも青春ぽいでしょ?
でも、もし君が
どこか行きたいところがあるならついていこう。
何も学校が全てじゃないんだよ。
もっと世界は、広いんだよ。
泣き止めって意味じゃないんだ。
慰めたいわけでもないよ。
希望とかそう言う話でもないの。
ただ、まあ、君の言葉を借りるなら
「俺たちずっと一緒」らしいから
思い出の一つでもつくってもいいのかなあ
って昨日の夜に思ったの。
ただ、それだけ。
「あっはははは!くにあき下手くそ!」
「ううう、今のものは難しいね……」
「ずーっとあったよ」
「俺の時はなかったよ」
「えーうそだあ」
「本当だよ」
そんな他愛もない会話をしていると、「今帰った」と不愛想な男の声と共に、後ろの障子が開いた。
「あ、おとーさんおかえりー」
少女の父親、睦葵だ。オリーブ色のTシャツにジーンズという、ファッションに無頓着な彼らしい服装だ。
「誰かと話していたようだった。友達でも来ていたか」
睦葵は表情一つ変えず、仏頂面のまま娘に尋ねた。別に怒っているわけではなく、それは少女も邦明もよく分かっていたので気に留めず、質問に答える。
「ううん。くにあき来たの。まえ神社行ったときに会ったでしょ?」
「……そう、らしいな。だが僕にはもう見ることができない」
「なんでー?」
「……僕は、深層のものを見るには様々な経験をし過ぎた。それに、もう多角的な視点を持つことは難しい。固定観念を知り過ぎた」
「う?こてー……?」
「あ、え、ごめんな、難しい話をした」
「うん。むずかしーのあたし苦手ー。どーゆーこと?」
「そうだな……ええと、取り敢えず、邦明さんは今は居るのか」
「いるよ。さっきジュースまいた」
少女は邦明を指した。勿論睦葵には見えていないが、そこにいることはよく伝わった。
「そ、そうか。毎年来ているのか」
「毎年じゃないよ。今年が初めて」
「なんだ、三十年も経つのにまだ一度も来ていなかったか」
「う?」
「いや、何でもない」
「そう?」
その後睦葵は三秒ほど考えた末に、こう伝えてくれと少女に告げた。
「『じいちゃん、ありがとう。取り敢えず今は楽しいから。心配しなくていい』って」
終
なんで泣いてるのって聞いても
君は知らんぷり。
どうしたのって肩を揺らしても
君は笑ってる。
教えてくれないとわかんないよって言ってみるけど
「なんのこと?」って君はそればかり。
僕は、そんなにも、
信じるに足らない人間なのかなぁ。
「俺たちずっと一緒だよ!」って
今どき小学生でも吐かないようなセリフを
真正面から告げてきたのは君でしょう?
君の全部を見せろ、とは言わないけどさ。
親友の定義はわかんないけど、
君が泣いてる理由も
やっぱりわかんないけど、
ずっと一緒にいる君が、僕の隣で泣いているのは
あんまり嬉しくないんだよ。
あぁ、泣くなって意味じゃないんだ。
だから、そう、なんで言うんだろう。
僕は君に、笑ってほしいのかなあ
あれから七七回目の夏。日本で戦争が終わってから、日本が戦争で負けてから七七回目の夏。
蝉の声がやかましく響き、草木は深緑に萌え、蒼天に輝く太陽は地上を焼かん勢いで照らす。少女は縁側でくつろぐ。
何という事はない、いつもの夏。
しかし今年は少し違った。
「いやあ、今年も暑くなったみたいだねぇ」
「あづいよー。くにあきはあつくないー?」
「全然。俺もう死んでるから、外のことは関係ないんだね」
「ええーずるいよう」
今年は曽祖父、邦明が遊びに来ている。七七年前に内地から遥か遠く離れた土地で戦死した曽祖父だ。陸軍の第一種軍装に身を包んだ、敵意の全く感じられない優しい顔の男だ。
彼は仏壇に供えてあった缶入り桃ジュースを手に、少女の隣に腰掛けている。手にしていると表しているが、正確にはそれは缶の魂で、実際の缶を持っているわけではない。ただ、魂のみの、つまりは幽霊になったそれを飲むことはできる。仏壇に置いたものが何か物足りないような味になるのは、この為である。
今年の春に小学校に入学した少女も、同じく仏壇のパイナップルジュースを手に、細かい花柄のワンピースをひらひらさせながら素足をばたつかせる。こちらは本物の缶ジュースだ。
「そうだ、睦葵…….父ちゃん居るかい?」
「んー?いるよー。さっき山のおはか行ったー。あとちょっとでかえってくるよ」
「そうかい」
「うん。でもあたしも行きたいって言ったけど、あついからまた今度だって」
「そうだね」
会話をしながら少女が邦明の手元を見ると、缶のつまみを本来と逆の方向に引っ張っていた。少女は不思議そうに、教えるように自分の缶を見せながら開けた。邦明はバツが悪そうに笑って開けようと試みた。が、
「おわっ!」
挑戦むなしく開けた時の衝撃で中身を盛大にぶちまけた。中身は三分の二ほどに減り、袖を濡らす羽目になった。
俺達の3試合目は兄貴の彼女さんが先発登板して1回3分の1で15失点と炎上し、中継ぎとして俺が登板してその後無失点に切り抜け、女性陣をベンチに下げ、控えていた高尾組の男衆の活躍でなんとか3回に4点、4回に4点取って逆転し、そのまま16-15で勝利した
4試合目は高雄の男衆がバッテリーで俺と兄貴で二遊間、彼女達は控えで臨むがまたも先発炎上で3回表から9回の表まで俺が火消しを行い、逆転のサヨナラホームランで勝利し、5、6試合目は俺の出番なし
全体のリーグ戦最後、かつチーム防御率の関係で俺達はこの試合で勝てば上位3チームに入ると言う意味で運命の決戦である7試合目は2試合目の時と同じバッテリーで俺が先発となる
俺の出番がなかった時に彼女に付きっきりでブルペンで教えてもらった変化球をやっつけ仕事と言わんばかりに投げまくり、7回裏までパーフェクトに抑えるが、こちらも無得点のまま8回裏の1番打者にいきなり三塁打を喰らい、その後連打で5番を相手に無死満塁のピンチになりマウンドに彼女が駆け寄ってきて「どの球種なら確実にストライク取れる?」と訊かれるが答えられずにいると「とりあえず、ど真ん中に大きく構えるから信じて投げ込んで」と言ってくれたおかげで迷いが消え、本塁と一塁でゲッツーを取り、続く6番の打球は三遊間抜けそうなので覚悟を決めて走って一塁に送球して攻守交代だ
9回表の攻撃は兄貴、俺、俺の彼女の打順で始まる
ネクストに向かう俺に彼女が「私、打つから一塁で見てて」と耳打ちしてくれた
気付いたら兄貴は初球から死球で一塁へ歩き、代走が入る
俺は初球を強振して二塁打、無死2、3塁となり彼女のランニングホームランで逆転し、3-1で9回裏の守備に入る
二死一塁の2-3から粘られるも三振に打ち取る
そしてすぐに彼女が駆け寄り、目には涙を浮かべて「このまま勝つよ。私達は優勝に向けて準備してるって所見せないとね」と言うので「心の準備はできてるみたいだな。大濠公園に咲く桜のように美しい勝利を見せつけるか」と返すと「どちらの台詞も廣岡の応援歌みたいだな」と兄貴がツッコんで笑いを誘う
その日の夜、駿河湾の波の音を子守唄に皆明日のトーナメントに備えて眠りにつく
皆気合いバッチリだ
貴女は人一倍、人を笑わせている
そして人一倍、人を元気にしている
そして人一倍、人思いな方
貴女の優しさ、私は人一倍尊敬しております
お誕生日おめでとう御座います
もっと変な言葉
もっと変なせりふ
もっと変なからだ
もっと変な世界
もっと変な風
もっと変な水 ちょうだい
(もっと君の言葉
もっと君のせりふ
もっと君のからだ
もっと君の世界
もっと君の風
もっと君の水 ちょうだい)