「協力?」
“そうか、別に戦わない選択肢がないと言うだけで協力しちゃいけない訳じゃない”
「そう、明確な攻撃手段がないだろ?お互いさ」
「ま、まぁな」
俺は少し拳を作った。
「もちろん、それは超能力という意味だ、その拳はこの話に意味がない」
やはりバレている。こいつも本当に未来が…
「確かに協力した方が良さそうだ」
拳を解き、その手を彼に向ける。
「同じ能力同士だと話が早くて助かるよ」
彼もその手を掴んだ。
「お互いまだ名乗ってなかったな、俺は常磐守、よろしくな」
「僕は奥野智也、君とは仲良くなれそうだ」
『さぁ超能力者の原石達よ、準備はいいか?』
会場を先程の静寂に包む声。
『あと10分でスタートだ。存分に生き残りたまえ!』
部屋の壁面にモニターが現れ、タイマーが表示される。
「いよいよ始まるね」
「あぁ、やるしかねーな」
0:10
この辺りから色んな人間の思惑が頭の中に飛び込んでくる。
0:09
「僕らみたいな考えのやつもいるだろうね」
0:08
「どうかな…基本人間なんて自分勝手だからな」
0:07
時間を止める。または時間を早回しする。
0:06
色んな考えのやつがいる。
0:05
それを認知できるなら…
0:04
せっかく智也もいる
0:03
攻撃しなくたって
0:02
やりようはある
0:01
「来る…」
0:00
画面がその数字を表示した瞬間、
景色が全て停止した。
「さすが、まずは第1関門突破かな」
外に出れば香る甘いチョコの匂い。
バレンタイン特集で騒ぐテレビやお店。
それを横目に歩く君。
その君からは酸っぱい匂いが香っていた。
そんな君に声をかける僕。
驚き振り返る君。
瞳に涙を浮かべた君。
慌てて誤魔化しながら話す君。
何気ない会話を交わす僕ら。
別れ際に声をかける君。
恥ずかしながらチョコを渡す君。
なんの躊躇いもなく受け取り「ありがとう」と言う僕。
なぜか笑う君。
その笑顔からは
なぜか優しく、やわらかい香りが溢れていた。
想いをチョコにのせて、君に。
…なんて書いてみたけれど
正直バレンタインなんて企業の戦略だと思う。
「なにやってんの?」
バッチリ校則違反の短いスカートに
小さな花を耳に咲かせた彼女が来る。
「バイトのポスター!
もうすぐバレンタインだからさぁ」
「うわ、もうそんな時期かー!」
チョコ会社は売り時だね、なんて彼女は笑う。
「バレンタイン、チョコいる?」
なんでもないように、そっぽを向いて聞いてみる。
「そういうのは聞かないもんなんじゃないの」
色気がないよ、色気が
って彼女はまた笑う。
3年前のバレンタイン。
初めてできた友達との友チョコ交換。
ずっと楽しみにしてきたのに、やっぱりそれは
社会情勢的にも、衛生面的にも叶わなかった。
今年こそは、という思いは
きっと誰にも負けていない。
「手作り大丈夫な人?」
彼女が聞いてくる。
これは、とワクワクしながらも冷静に。
「大丈夫な人」
でもやっぱり気になって。
「作ってくれるの?」
お楽しみに〜ってひらひら手を振って
彼女は教室を出て行ってしまう。
彼女を纏う香りは心なしか
待ち焦がれたチョコレートの香りがした。
・二つ名
異能者が自称したり他の異能者から呼ばれたりする異名。どこかの異能者が「何かかっこよくね?」みたいなノリで付けたところ、他のノリの良い異能者たちも便乗し始めた。現在では全異能者のうち、実に6割が二つ名を持っている。そのうち半分程度は他の異能者にも知れ渡っている。漢字オンリーの四字熟語みたいな雰囲気のやつもあれば横文字のやつもある。仮名と漢字が混ざっているのもいる。基本的に支配者レベルの異能者の二つ名には「王」「帝」「神」などの文字が使われることが多い。それより下の位階の能力者がそれらの文字を使った二つ名を名乗ると、よほど実力が無い限りは表で陰で思いっきり叩かれる。支配者の人たちは王や神なのでそんな細かいこと気にしないでくれることも多い。
・後見
異能者が他の異能者、特に自分より下の位階の能力者を自分の下に置いて世話すると宣言すること。基本は支配者級の能力者しかやらない。たまに指揮者級で力のある能力者がやることもある。簡単に言うと、「こいつ私のお気に入りだから手ぇ出すなよ?」ということ。元々はとある支配者級の異能者が、自分の住む地域一帯で起きる異能者どうしの諍いを手っ取り早くおさめるために考案したシステムであり、後見された異能者は周囲から、後見した異能者の手下扱いされると同時にいじめられにくくなる。後見対象をどうするかは人によって違う。宣言だけして放っておくこともあれば、能力の制御の練習に付き合ってあげたり、お友達になったりということも。
ざっくりした設定はこのくらいです。質問があったらレスしてください。あとは皆さんの想像力にお任せします。今月いっぱいくらいを目安とした企画です。書いて良いよって人はタグに『理外の理に触れる者』を入れて投稿してください。
“ここは…一体…”
俺が目を覚ますとそこには見たこともない人達が大勢いた。年齢も人種も様々、世界中から集まったといった感じだ。それを見ていると何故か
【サバイバル】
という単語が呼び起こされる。
“なんでだ?そもそも俺はなぜこんなところに…俺は確か…あの時、コンビニを出てから…”
『やぁやぁ、超能力者の原石どもよ』
突如として館内放送で鳴り響く。
無機質で抑揚のない声
『君達はサバイバルを行ってもらう』
その言葉は会場を、ざわつかせた。
しかし俺を含め、1部はやけに落ち着いていた。
『と言っても食料も寝床もある、やってもらうのは殺し合うという意味のサバイバルだ』
???
会場は当然先程以上の動揺に包まれる。そのざわめきを切り裂くように放送は続く。
『君達は、自覚無自覚に関わらず世界中から集められた超能力者の原石、そして同じ部屋にいるのはそんな超能力の対象が同じ者どもだ。もう言わなくてもわかるな?自分が超能力者として他の奴らより優れていることを証明しろ。それがこのサバイバルだ』
ざわめきは放送が続くにつれて静まっていく。気づけば皆放送に釘付けだ。
『制限時間は1時間後の午前0時からの1日、そこで生き残った者は超能力者として我々が生活を保証しよう。元に世界に帰りたければ死にものぐるいで生きろ!以上』
放送はそうして途切れた。
怯える者、やたらに目付きを鋭くさせる者、どう勝つかを考え始める者、放送の受け取り方も多種多様だ。
俺はと言えば…
『あぁ、そうだ、言うのを忘れていた、各部屋制限時間内に50人以下にならなかった場合、全員その場で死ぬものとする。戦わずに生き残ろうなんて考えないことだな』
考えていた生き残り方が潰された。
戦うしかないのか…
「ねぇ、僕と協力しない?君も…未来が見えるんでしょ?」
時の異能のお話
以下が異能の位階の能力です
観測者
時の流れや時の術痕を見る、辿ることが唯一できる。タイミング次第では回避や影響を減らすことが可能。
これら全て体力消費を伴わない
干渉者
相手(単体)の時を止めることができる。大人数は無理。
基本的になんでも止められる。術の中では体力消費が最も少ない。
その日の間であればタイムリープができる。
体力はその飛び越える時間に応じる。
指揮者
対象ではなく全体の時間をコントロールすることが可能(対象を絞ることはできない)
その扱う時間に応じて体力を消費する。
支配者
体力消費なしで時間停止、過去未来の往来が可能。
対象指定も、全体も両方できる。
朝食を済ませ、台湾のお茶を淹れて嫁と次に行く場所を話し合っていると俺宛に手紙が4通届いた
「住所的に、アイツらか?」そう呟くと嫁が「アイツらって知り合いでもいるの?」と訊いてきたので「国際郵便は元カノの地元からだけど、何故か国内便は新潟からなんだ」と返し、手紙を読んでみると、1通は松山の副長と付き合ってる元カノが新潟滞在時に書いたもの、他はロシアにいる元カノ達がそれぞれの地元から書いた手紙だった
「裏に和訳がある」と言って裏返して渡すと嫁が手紙を読み上げるが、途中から表情が変わる
「『私は貴方に振られた理由が分からず、また貴方の元カノ達と一緒になって貴方に会いに行っても何故避けられていたのか分かりませんでした。でも、今の彼氏を通じて教えてもらった話を聞いて納得しました。貴方とお付き合いしていた当時、私は日本語を学び始めてすぐの頃で貴方が苦しんでいることも貴方が意図的に早口の日本語で喋っていた理由も分からなかったです。試合後、彼が男友達と話した後で『アイツの元カノ達は誰1人として日本の事を知らなかったが故に、アイツは自らが抱えた悩みを話して、解決策になることを提示して要求したら皆傷付くことを知って気を遣ってあまり多くのことを語ろうとしないでいたのに、誰1人としてその配慮に気付かないで酷いことを言い続けたが故にアイツが耐えられなくて振った。それにしてもよく耐えたよなぁ…俺達なら無理だ』と言って男同士での話の内容を訳してくれて初めて知りました。それから、貴方のことを理解して受け入れてくれる優しい人と結婚したことも知りました。奥様は田舎の左遷先で僻地出身の割には頭が良い美人さんだそうですね。彼は辛いことがあると1人で抱え込むので、どうか優しくしてあげてください。お二人とも末永くお幸せに』だって。何故最後に私の故郷がボロクソに言われてるの」と言って嫁がフグのように頬を膨らませているので、「まぁ、東京人のイメージではモノレールが走るの遊園地や動物園かベッドタウンだけだからな。それで北九州も自動的に田舎認定なんだろう。まぁ、言葉は悪いが俺に言わせればまだ見ぬ土地、九州は想像もつかない僻地だから、強ち間違っちゃいない」と言うと「あんなに栄えてる福岡が田舎?そりゃないでしょ。まあ、流石に東京23区には敵わないけど」と言って嫁も笑い出す
知らぬ間に太陽は南から西へ傾き始めていた
悲しみの数だけ優しさを知るということを教えて下さった
優しさの数だけしあわせを知るということを教えて下さった
苦しみの数だけ優しさを持ち合わせているということを教えて下さった
努力の数だけ日々の生活は答えてくれると
そう 貴方に教わりました
いつからか、自分には霊体なのだろうか、怪異というのだろうか、分からないが、そういった異質なものを見る能力があることに気が付いた。ただ、知覚したり意思疎通したりできるが、それ以外のことはできないらしかった。こういうものを『観測者』というらしい。
また、この能力には個人差があるらしく、まだ能力対象が同じである者に出会ったことはない。これによって孤独を感じることもしばしばある。異能を持つ者が近くにいればいいのにと思うこともある。ただ、他異能、他位階どうしが同じコミュニティの中で生活していれば、胸糞悪い場面に遭遇してしまうことも有り得る。だから本当は、会わなくていいように世界がなっていれば良いし、そう思うようになっていれば結果的には幸せでいられるのだ。
この度は、そういった異能に関する奇妙な体験をしたのでそれについて書こうと思う。
まずは予備知識として、私の在籍する中学校について説明しよう。
校舎は四階建てで、一階には特別教室があり二階には昇降口と職員室、PTA室、会議室などがある。三階には図書室と、元は普通学級の教室だったが、生徒数が減って使わなくなった教室と、特別支援学級の教室が連なっている。そして四階に音楽室と普通学級の教室がある。
この内問題なのが三階である。
この階は基本的に通ってはいけないことになっている。西、中央、東側にある階段と、図書室以外の利用は禁止だ。入学した当初、「三階の特支の中には人に会うのが苦手な生徒がいるのだ」との説明を受けた。
ある日の帰り際、図書館を利用した。帰る時、図書室に一番近いのは西階段だったが、中央階段から降りた方が昇降口が目の前に来て昇降口が近い様な気がする。先生が図書室にいたものの、生徒はもういなかった。だからその程度の軽い心持で三階の廊下を通ろうとした。
その時、後ろから声が掛かった。
「駄目だよ、特支の方通っちゃ」
振り向くとそこには図書室から出てきた国語科教員小木がいた。
「何故です」
「通ったら駄目って言われたでしょ」
「生徒がいないから大丈夫だと思いました」
「駄目なんだよ」
「そうなんですか」
「そう。だから帰るよ、ほら」
「分かりました」